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43-4 乗り物三昧

 とりあえず子供用の汽車を作る事にした。

 本物の汽車自体が、この世界には存在しないのだがな。

 ドラゴンに引かせたりすると、昔のハイドが使っていた海竜船みたいになってしまうし。


 一応本物っぽく、二百五十ミリゲージと四百五十ミリゲージの二種類のレールを作り、軌道をそれに合わせてやった。


 子供用の代物だけど、どうせアルスやドワーフが乗りたがるに決まっているので幅広の物を作っておく事にした。

 俺が子供達と乗ってもいいしね。


 その前にエリ達に声をかけた。


「よお、今楽しい事をしているから、ポールとマリーを連れておいで」


「わかった。

 ちょうど新作スイーツを創り終えた所だから、仕事のキリがいいわ」


 あの子は転移魔法でやってこられるので、迎えにいかなくてもいいから助かる。


 ポールが、色々と作るところから見たかったかな?

 まあ丁度いいタイミングだったか。

 すぐにやってきたので、ポールには汽車の設置を見学させてやる。

 エリはマリーを連れて、順繰りに回るつもりのようだ。


 何故か、一緒についてきたエリーンが張り切っている。

 即席のパンフレットを作ってやっておいたので、それを片手に回るつもりのようだ。


「さあ、全部制覇しますよ~」


 そこまで、まだ出来ていないっての。

 だがパーツ類は今までにコツコツと作ってきてあったので、それらを組み合わせていって、どんどんと設備を作っていく。


 この汽車は自動制御で動いている。

 実は、ただのゴーレム汽車なのだ。


 精霊に運転手をさせてもいいかなと思ったのだが、あいつらって結構気まぐれだったりするので、ここは堅実なゴーレムを採用した。

 ただの子供向けの遊園地アトラクションなので、どうしても精霊を使わないといけないような高度な制御は特に必要としない。


 こいつなんかは、周回するミニレールの上を、ゆっくりと安全に動かしていくだけなのだし。

 バランのような強大な敵を退治するわけではないのだ。


 あ、どうせなら王都とアドロスをゴーレムのモノレールかなんかで繋いでもいいな。

 そうすれば、一般の人も気安く来られるようになる。

 前からやろうと思っているが、まったく進んでいない企画だ。

 ゴーレムなら自動運転で任せておけるし。


 汽車用のスペースは広めにとってあるので、レールは長めに設置しておいた。

 これは汽車バージョンと馬車バージョンの両方を作ってみた。


 こっちの人間は、汽車の本物を見た事がないから汽車は微妙な代物かもな。

 俺だって動いている実物なんて見た事が無いんだけれど。

 母方の爺さんなんか満州まで仕事に出かけていて、蒸気機関車の満州鉄道が足だった。


 うちの爺さんが乗ると、向こうの日本人車掌は先に座っていた地元の人を強引にどかして、日本本土から来た日本人の爺さんに席を空けてくれていたという。


 そういう威張った事をするから、向こうの人から日本人が嫌われるのだがなあ。

 俺なら、そういうのは辞退して地元の人をそのまま座らせてやるんだが。

 孫だからって爺と考えが一緒とは限らん。


 爺ちゃんも家族には凄くよくしてくれたいい人だったらしいけど、そういうところは俺と意見が一致しないと思う。


 まあ、こいつは只の遊園地の乗り物なのだし別にいいんだけど。

 これはレミとかが喜んで乗るような、ちっちゃい子用のものだ。

 そのうち施設の中を走るような鉄道アトラクションも作るか。

 異世界で本物の鉄道を作らずにそんな物を作ろうとしている、どうしようもない奴がここにいた。


 ゴーカートはどうしようか迷う。

 本物の車が無いのに、それこそ変だよなと思いつつ。


 あと、チビどもがゴーカートに乗って目茶苦茶しそうだし。

 本物の自動車なんて見た事がないだろうしなあ。

 乗った事があるのも、ばったもんのバスくらいだからな。


 この世界には俺が持ち込んだ愛車しか存在しないし、あれはレミやファル、あとはトーヤくらいしか子供は乗せた事がない。 

 あれは原色カラーの真っ黄色で目立つしなあ。


 とりあえずゴーレム汽車を走らせてみる。

 客車を二両連結にして。

 シートは二人乗りがなんとかできるくらいの大きさにしてある。

 少しの間、色々と試運転をさせて、それからレミを乗っけてみる。


「おいちゃんは?」


「これは小さくて子供専用だから。

 トーヤ、レミと一緒に乗ってやって」


 後ろでアルスが乗りたそうにしていたが、さすがに二人乗りは無理だろう。

 これにドワーフがちんまりと縮こまって乗っている姿を想像して、思わず噴いた。


「アルス、今から450ミリゲージの大きい方を作るから、少し待っていてくれ」

「やったあ」


 それを聞いて、アルスはにこにこ顔で待っている。

 汽車はオモチャみたいな軌道の上を、トーヤとレミ、そしていつの間にかやってきたファルを乗せて走り回っていた。


 ゴーレム汽車も楽しそうだ。

「ポッポーっ」とか言いながら汽笛を鳴らしている。


 それを見守りながら、俺は用意してあった450ミリゲージの汽車を並べ、線路を組んでいった。

 こっちは大人とおチビなら二人で乗れる幅がある。


 親方の図体では、たぶん乗り切らないだろうなあ。

 これは、わざわざ空間拡張してまでドワーフを乗せるような物でもない。

 只の子どもの乗物なんだから。


 こっちは一両に二シートで四連結の本格派だ。

 最大十六人乗れるそいつを五両ほど走らせてみた。


 造物主である俺が交通ルールをきっちり守るタイプのせいか、俺の作ったゴーレムどもも、こういう事は大変きちんとしている。


 こちらも試運転しつつ、安全確認が終わったら俺も戻って来たレミと一緒に乗る。

 アルスが大はしゃぎで俺達の後ろに乗った。

 そっちはファルが合席だ。


 他のチビ達も、こっちに回ってくる。

 今頃、観覧車はドワーフの花盛りだろう。


 想像しただけでも暑苦しいな。

 あいつらって、火焔爆発魔法フレアの名を持つ神の信奉者だし。

 各ゴンドラにエアコン魔法は装備してあるのだが、そういう問題じゃない。


 動き出すと広がって宙に浮くタイプの回転遊具とかも入れたかったが、工数の関係で今回は導入を見送る事にした。

 あんまり一遍にやってもなんだ。

 安全を考えて順番にやっていこう。


 観覧車も、なんとか大丈夫だった。

 ゴーレムが管理しているので安全に関しては大丈夫だろう。

 観覧車だって、それ自身がゴーレムみたいな物なのだし。


 あと、おチビコーナーに歩く大きなワンコとかを置いてみた。

 ハンドルで動かす、よく遊園地なんかにあるアレだ。


 試運転しているとワンコどもが殺到してきた。

 連中もワンコ体形では一人で乗れないので、全員から服を咥えて引っ張られた。

 その中にミニョンママも混じっているし。


 仕方が無いので、何台も出して他のメンツにも練習させる。

 真理は、いつものようにさらっとこなしたし、アルスには以前から車を与えてあるので、これまたあっさりと乗りこなした。


 そろそろ神殿の仕事も終わりだろうからジェシカを迎えに行く。


「よお、今遊園地を作っているから遊びに来ない?」

「遊園地って何?」


「来ればわかるよ。

 楽しいところさ」


「じゃ、行く。

 着替えてくるよ」


「あ、ラフな格好にしてね。

 スカートじゃない方がいいかな」


「わかった~」


 早速着替えて来たのだが、これがまたなんとジャージだった。

 本当に流行っているんだな、これ。

 元は俺の寝巻きだったんだが。


 まあ、超美少女は何を着ても似合うけどなあ。

 これはさすがになんだな。

 神々しい神官服との落差が半端ない。


 まあジェシカも年齢的に女子高生相当だと思えば特に問題はないがな。

 むしろ王宮のファッションリーダーのくせにジャージを愛用しまくって、王宮内で走り回っている王妃様の方が……。


「いってらっしゃい、ジェシカ」


 ミレーに見送られて、俺はジェシカを連れていった。

 遊園地へ戻る頃には、エルフさん達が歩くワンコを乗りこなしていて、プリティドッグを乗っけていた。


 みんなワンコ形態に戻っていて、エルフさんとのコンビは可愛さマックスでド迫力だった。

 いつの間にか王妃様がやってきていて、うっとりとそれを眺めていた。


 やがて親方達がやってきてワンコを乗り回し始めた。

 むろん、それらは親方が乗っても潰れない仕様にしてあるのだが。


 あの筋肉達磨どもめ、初めて握るはずのハンドルを、いきなりであっさりと見事なまでに使いこなしていやがる。

 この分だと車さえも余裕で乗りこなしそうな勢いだ。

 相変わらずな連中だな。


 プリティドッグどもは、よっぽど御気に入りなのか、歩くワンコの頭の部分にベタっと張り付いている。

 尻尾がかなり忙しい有様だ。


 さっきまでは汽車に夢中だったのだが。

 ワンコって本当に乗り物が好きだよな。

 今度ドライブに連れていってやろうか。

 バスでお出掛けもいいかもな。


 ジェシカも女将さんと一台を相乗りして楽しそうだ。

 さっきはエディが女将さんと乗っていた。

 思いのほか需要があったので、歩くワンコは十台に増員してある。


 ゲートを開き、御山へ行って爺達にも声をかけてきた。

 ジェニーちゃんが遊園地の設備を見て目を輝かせた。

 彼らをメリーゴーランドと、コーヒーカップに観覧車と順番に案内してやった。


「あの綺麗な大きい奴に、御爺ちゃんと一緒に乗りたい!」


 孫娘は観覧車が御気に入りのようだ。

 同伴者として御指名を受けた御爺ちゃんの方は、もう頬が緩みっぱなしだ。


 まあ、この爺が竜の姿に戻ったら、優にこの観覧車の倍の大きさはあるんだが。

 人化した時の質量とかの問題はどうなっているんだろうなあ。

『人化中の質量は亜空間へ保存の法則』でも存在するのか?


 少なくとも、人化したバルドスの足跡は特に大地にめりこんだりはしていない。

 それはどっちかというと親方の足跡の方がな。


 この魔法やスキルのあるような世界で、そんな事を言ったところでヤボっていうもんなのだが。

 どうも俺は昔から理屈っぽくていけねえ。



 あちこちの関係者を連れてきたので、試作した遊園地はかなり賑わった。

 賑いついでにエルミアの子達のところへ行った。

 まだ十五時半くらいだからな。

 今回のイベントは夜が本番なのだ。


「こんにちは、神父様」


「おやアルさん、この間はどうも。

 今日はどうされました?」


 相変わらず子供達に手を焼きながら、優しい笑顔の神父様が答えた。

 今日は、もう治療の仕事は終わったようだ。


「実は遊園地という物を作ったので遊びに来ませんか?

 晩御飯はうちで御馳走しますよ。

 実は夜の部が楽しいので。

 御泊りしていっても大丈夫です。

 まだ人数の少ない小学校の方の居住スペースが空いていますから」


「そうですか。

 それでは御言葉に甘えて、行かせていただきましょうか。

 おーい、みんな。

 ケモミミ園へ御泊りで招待されたから集まって。

 楽しい御遊びがあるそうですよ」


 子供達、中でも小さな子達が殺到して、そのタックルを腰を落として慣れた感じにまとめて受け止める神父様。

 大変だな~。

 うちも他人事じゃないんだけれど。


 神父っていう職業は、実は体力勝負の御仕事だったのか。


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[気になる点] 爺さんが乗ると、向こうの車掌は地元の人をどかして、爺さんに席を空けてくれていたという。  そういう威張った事をするから、向こうの人から日本人が嫌われるのだがなあ。 >日本人が嫌われる、…
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