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2-10 エミリオ殿下

 ところで、ルーバ爺さんはどうしたかな?


 急ぎ元の場所へ戻りキメラの尻尾と槍を回収してから、殿下達がいた部屋の中を覗いてみたが、ちゃんと逃げ出していたようで誰もいない。


 進みながらレーダーで見たら、爺さんが駆け込んできた場所に人が集まっている。

 驚いた俺は走ってそこへ行ったが、そこには爺さんと殿下御一行の他に、なんとエド達が残っていた。


「あれっ、なんで残っていたんだい?

 てっきり助けを呼びにいったんだとばかり思っていたのに」


 だが、エドは首を振って言ってくれた。


「今から呼びに行ったのでは間に合いませんよ。

 それよりも、アルフォンスさんを助けて逃げ出す方法をなんとかと思って」


 俺は笑って、感謝を込めて奴の背中を軽く叩いた。


「ありがとう、エド。漢だな」

 

 それから俺は小さな王族の前に赴くと膝を着き、恭しく挨拶をした。


「エミリオ殿下でございますか?

 御無事で何よりです。

 キメラは無事退治いたしましたので御安心ください。

 私はアルフォンスと申します」


「うん、アルフォンスとやら、御苦労であった。

 本当にあの怪物を一人で倒したのか?」


 エミリオ殿下は、興味津々と言った感じの、水面に写す光の如くキラキラと輝かせた目で訊いてくる。

 まあ、あれはギリシャ神話のワンシーンみたいなもんだから、男の子なら目が無いよな。


「はい。

 やっつけましたでございますよ」


 俺もニッコリと笑顔で答えた。

 ふふ、これは実に可愛らしい王子様だこと。

 片膝を着きながらでも、思わず笑顔になるぜ。


「後でそのお話を聞かせて!」


 もう好奇心を隠せないという歳相応の有り様に大変好感が持てた。

 幼い王子様にとっては結構厳しい体験だったろうに。


「よろしゅうございますとも」


 そして爺さんに向かって念押しするのは忘れない。


「それで、爺さん。

 約束は忘れていないんだろうな?」


「わかっておる。

 アルフォンスとやら、大儀であった。

 約束は必ず果たそう。

 それよりも殿下は大変御疲れの御様子だ。

 済まぬが、飲食物と天幕の準備を御願いしたい。

 あと地上へ戻るまでの間の護衛も御願いしたい」


 まあ、それは当然か。


「わかった。

 その話、受けよう。

 ただ、こちらの者達は冒険者故、仕事のランクに見合った報酬を約束してほしい」


「わかった。

 では頼むぞ」


「だそうだけど、エド達もいいよな?」

「ええ、それはいいんですけど、本当にキメラを倒したのです?」


 俺は奴の尻尾だけを出して見せ、大笑いしてやった。

 いきなり血塗れの首を出すと女子供には刺激が強すぎるからな。


「ああ、また豪い事骨が折れたけど、きっちりと殺しておいた。

 あいつはきちんと倒しておかないと撤退中に背後から忍び寄ってこられても困る。

 いやあAランク魔物って本当にしぶといわあ~。

 魔法のレベルを上げておかないと、この先が思いやられるぜ。

 これがダンジョンの試練っていう奴なのかね」


「あんた、とんでもない人だな……」


 エドも俺のそんな言い草に飽きれ返る。


「さってと」


 仕方がない、王子様がいるんだ。

 今日はあれを出すか。

 俺はどんっとバンガローを出した。

 見慣れない代物に皆が驚いた。


 ただの木造の簡易な建物とはいえ、この世界の物とは有り様が違うからな。

 異世界人から見れば、まるで地球の工業製品のように異質に映るのではないか。

 凸凹な造形のローマ時代の金貨と、現代の精緻な記念金貨ほどに違う。


 ぴっちりと決まった規格に沿って、デザイン通りに精密に組み立てられている物だからな。

 そのデザイン自体も柔らかい感じの和風な物なので、こちらの世界の物とはまた少し趣が異なる。


「ささ、殿下。

 どうぞ、こちらにて御寛ぎくださいませ」


 彼には御付きの方が二名いる。

 一人は護衛の女性で魔法使いか何からしい。

 もう一人は侍女か。


 バンガローをもう二つ出して、一つはうちで、もう一つは侍女達用にした。

 最初に出した物は爺さんと殿下で使ってもらう。

 布団も既に出しておいた。


 暖房器具を使わせるのは止めておいた。

 却って体調を崩しそうだ。

 これからまだ地上へ帰らねばならないのだから。

 ここはそんなに寒くない。

 聞いていた通り、ダンジョンが適温に調節しているんだろうからな。


 バンガローを出すのは、なんかあれだったけれども、さすがに王子様を冒険者用のテントには寝かせられない。

 中にアルミ蒸着マットの上に布団を敷き、毛布を敷いて掛け布団を用意する。

 あと上等な枕も置いて。

 大事だよな、枕。

 これもネットを見ながら、結構たくさん試作してみたのだ。


「粗末な小屋で申し訳ございませんが、これで御勘弁を」

「収納持ちであったか」


 爺さんが感心したようにそう言ってくれる。


「はは、商人の嗜みさ」

「何? 冒険者ではないのか」


 それを聞いて爺さんも驚いていた。

 まあ普通、一介の商人がAランクの魔物をソロで殺らないよね。


「ああ、冒険者でもあるが本業は商人だよ。

 さてさて、じゃあ御飯の支度をば」


 それで食事の準備をしようと思ったが、侍女さんから声がかかった。


「その前に湯浴みの支度は出来ませんかしら。

 荷物は全部捨てて逃げてきてしまいましたし」


 侍女さんから、そんな要望が入った。


「シャワーしかございませんが」


「シャワーとは?」

「これです」


 俺はシャワーボックスを出してお湯を出してみせた。


「ああ、これですか。

 王妃様の故郷では雨水を溜めて使っていますね。

 あちらは雨の多い気候ですし。

 でも暖かい御湯が出るのは素晴らしいです」


 使い方を説明してやり、もう一棟バンガローを出して中にシャワーボックスを設置する。

 ちゃんとバンガローを目隠ししておく気配りも忘れない。


「こんなものでいかがですか?」


 石鹸・タオル・Tシャツ・トレーナー・パンツとか適当に用意してみる。

 さすがに殿下たる御方に石鹸も無しではね。


 匂いで魔物が寄って来たら俺が戦うまでだ。

 さすがにこの階層でそうそう、あんなキメラのような化け物は出まい。


 エドの話では、キメラは四十階層以下の階層ボスのような魔物だそうだ。

 なのに自分の縄張りをほったらかして、こんなところをうろついていたんかい。

 どれだけ御散歩好きなんだよ。

 犬かっ!


 犬か猫かという観点からみれば、どっちかっていうと、あれは猫科のような気がするのだが。

 少なくとも顔はライオンだよな。

 鬣の無い雌だったけど。

 壁に飾る首用としては今一つかな。


「申し訳ないですが、女性用の着替えは手持ちが……」

 

「仕方ないですわ。

 ありがとう」


 ちょっと残念そうだった。

 まあ、あれだけの騒動の後じゃ汗もかいただろうし、下着の着替えくらいはしたいだろう。


 自宅には、昔プレゼント交換用にネタグッズとして買って使わなかった土産物のパンツの缶詰とか、昔あった二四時間営業ドライブインのゲームコーナーで景品としてゲットしたカプセルパンツなんかもまだ持っていたのだが、さすがにあんな物はキャンプに持ってきていない。


 あれは車に乗せて一緒に遊びに行ったブラジル人のおっちゃんに頼まれて取ったんだよな。

 しかも自分で金を払って人に取らせたくせに本人は要らないとか言うので、そのまま我が家の所蔵になっていたのだ。

 まあちょっとエッチくさいデザインだったので、さすがに高貴そうな女性には渡せんがな。


 缶詰パンツの方は空けた事がないので中身はわからない。

 三十年くらい経っているから、もう缶詰の中身が風化しているかもしれない。

 缶のまま蓋を開ける前に再生をかければ、なんとかいけるかも。

 まあ、どっちみちキャンプにそんな物は持ってきていないがな。

 持ってきていたのは食い物の缶詰ばかりだ。


 食事用にアルミテーブルも出しておく。

 キャンピングチェアなんかも。


 だが、これに体が小さい殿下が座るのはなんだな。

 バンガローに据え付けられていたテーブルで食べていただくとするか。

 あれは家族連れが使うので、子供でも使いやすいように作ってある。


 アルミテーブルはうち用にした。

 それからバンガローの前にいた護衛の女性に話しかける。


「殿下の御食事はどうしたらいい?

 それなりの物は用意できるが、火で煮炊きをするのはダンジョンではマナー違反だそうだ。

 というか魔物が寄ってくる」


 ぐふっ。

 俺は血を吐きそうな気持ちで、この台詞を言った。

 その件に関しては絶対に人の事を笑えない。

 ダンジョンじゃないが、あの最初の山というか森では大失敗だったぜ。


 うっかりと俺の方がグリオンの御馳走になるところだった。

 それはもう、しっかりトラウマになっている。


 それを聞いて彼女は沈黙した。

 そうか、彼らも食事の支度をしていて……。

 さては助言をくれる冒険者のガイドがついていなかったのだな。


 大事だぜ、ガイド。

 昔の軍人だった探検家達だって、荷物持ちを兼ねた現地人のガイドなしでは真面に探検も出来ないのだから。


「そ、そうね。

 なんでも御食べになるけど、まだ七歳であられますので子供向けのメニューがいいかしら」


 わかる。

 彼には特に目立ったアレルギーなどはない。

 そういう事までわかるセブンスセンスって最高。


「肉とかも大丈夫?」

「ええ、特には問題ありませんけど、あまり辛いのは駄目です」


 そうかあ。

 とりあえず、とっておきのカレーは今回駄目そうだな。

 あれも、ルーもレトルトも中辛ばっかりだから子供向けじゃない。


「わかりました。

 一応私の方で見繕っておきます」


 さってと。

 じゃあ、とりあえずは唐揚げ一択だな。

 やっぱり子供にはこれさ。


 ハンバーグは手持ちがない。

 今度頑張って作ってみるか。

 人に頼んだ方が絶対に確実で素晴らしいものになると思うが。


 俺は日本でも手作りハンバーグなんて作った事がない。

 作り方はなんとなく知っているのだが。

 まあネットでレシピを見る事は出来るから、なんとなく作れそうだ。

 あの昔からある袋から出して焼くだけの奴は、つまみ用によく焼いたもんだ。


 後はポトフにサラダ、卵焼きに。

 ロールパン、いやここはパンの缶詰の出番か。

 こいつは美味しいと評判のデニッシュパンなのだ。


 ミルクにオレンジジュースに、あと生ハムにスパゲティサラダ。

 後はフルーツ缶でも開けておくか。

 デザートにケーキは必須だな。


 あとトイレについても訊いてみた。


「ここでは殿下はどうしていたんです?」

「天幕を張って中で」


 うーん、イメージが湧かないな。


「えっと、座ったままするっていう感じかな?

 お尻の始末は?」


「そういう魔法があるの」


「頼むう~。

 そいつを俺に教えてくれ~」


 彼女は自分の身体にそれをかけて見せてくれた。

 やったぜ、見事にお尻拭き魔法を見取りでゲットした。

 生活魔法というらしい。

 ちゃんと一式教えてもらって覚えたよ。


 コテージをコピーして、中にトイレのドンガラを作る。

 後は後は、うーむ、どうしよう。


 トイレはイメージ作成で洋式便器と、子供用も兼ねたタイプの小便器を作り、洋式便器はボットン風に仕上げた。

 北米のキャンプ場とかにあるタイプだよな。

 こいつはカナダで実物を見た事があるから比較的楽にイメージできる。

 アイテムボックス内にてイメージ作成で合成して、比較的簡単に出来た。


 毎日使っていたものは、案外とお尻が覚えているもんだな。

 便器には覚えたての生活魔法を付与して、排泄物はそれで処理するようにした。


 女性用と自分達用も作る。

 ここの空間がバンガローだらけになってしまった。

 ほぼキャンプ場のバンガロー・コーナーだ。

 ああ、あの山奥のキャンプ場を思い出すな。

 俺はいつか、あそこへ帰れるのだろうか。


 この場所では用を足されたものはダンジョンが始末してくれるが、しばらく消えないからな。

 ここにいるのは、臭ってはならない高貴な御方ばかりなのだ。

 爺さんだって本当は偉い人なんだろう。

 徴用するなんて言っていたし。


 今後のためにも、生活魔法を付与してダンジョンでない場所で使うためのトイレを作成しておいた。


 まだ時間は早いが、殿下の御食事の世話をする。

 結構長い間御飯を食べていなかったらしくて、殿下も夢中で食べていた。

 爺さんと殿下が食べて、御付きの二人が世話をしている。


 エド達は護衛、そして自分は給仕を担当した。

 その間にさっきの武勇伝を、面白おかしく殿下に聞かせてやる。

 殿下が、それはもう夢中で聞いていた。


 最後はデザートのケーキだ。

 それをエリ-ンが羨ましそうに見ている。


 殿下を寝かしつけてから侍女達も食事を摂りだしたので、俺とエリ-ンとエドも一緒に食べる。

 交代で後からデニスとロイスが食事だ。


「なかなか素晴らしい食事でしたわ。

 殿下も御喜びでしたし。

 特に最後のケーキは御気に入りの御様子です」


「まあ、私もそれなりの商人ですので。

 それにしてもスパルタでございますなあ。

 殿下もあの御年で、こんな少人数でダンジョンでレベル上げとは」


「いえ。

 他の者は、殿下を逃がすために全員が犠牲になりました。

 その御蔭であの小部屋に逃げ込めたのですが。

 三十人いた護衛の内、生き残ったのは私だけで……」


「そ、それはまた」


「実は訓練というのは部外者への方便で、殿下は少し訳ありでダンジョンへ御越しでしたので。

 それも今となってはもう」


 それで冒険者が一緒についていなかったか……。

 そして、それが命取りになったと。


「いやあ、事情は聞きませんよ。

 我々が聞くには重大すぎる内容なのでしょうから。

 殿下の御命が助かっただけでも良しとせねば。

 まあ、この先は我々が通ってきた道だから、そうそう危険もない。

 道案内もベテランのCランク冒険者がついていますしね」


 そういう事は、すべて人任せなこのおっさんである。

 俺は方向音痴だからな~。

 俺が先頭を行ったら、どんなシンプルな道も確実に『迷』宮になってしまう。


 ここでも上へ行っているつもりで、どんどん深層へ向かっていってしまうだろう。

 普通なら上下の違いくらい感覚でわかりそうなものだが、俺にかかったら怪しいものだ。

 アップダウンが頻繁に繰り返されるルートを選び、最奥の底まで行ってしまうかも。


 車で走ったアメリカじゃ看板が出るまで五十マイルくらい豪快に迷ってしまった。

 単に向きが真反対だったのだ。


 バイクで走ったカナダでは、何度も同じジャンクションに戻ってきてしまい、同じヒッチハイク中のバックパッカーの人から何度も素晴らしい笑顔で『親指を立てたヒッチハイク希望の合図』で挨拶をされてしまった嘆かわしい記憶がある。

 もちろん、その度に笑顔でピースサインを返しておいたがな。


 言葉が通じていなくても、何度も行ったり来たりしながら戻ってきてバイクに乗ったままキョロキョロしているので豪快に道に迷っているのが傍から見て丸わかりなのだ。

 あんなシンプルなアメリカ大陸のフリーウエイで何故迷う!


 これらの豪快な方向音痴のエピソードは、もちろん全て作者の嘆かわしいノンフィクションだ。


「ありがとうございます。

 私達も今晩は、そろそろ御暇させていただきますわ」


「しっかりと休んでください。

 明日からまた行軍ですので。

 見張りは冒険者がやってくれますから」


 王族の護衛というからには、貴族の子女なのだろうか。

 色白で人形みたいな凄い美人さんだ。

 その割には鍛えているのか、かなり肩幅とかあって体格も良さそうなのだが。



 翌朝、俺が食事の支度を始める。

 今朝はロールパンの焼いた奴とコンソメスープ、オレンジジュースとミルク、それとサラダとハムエッグ。

 ウインナーも焼いたのをつけて、それとカップのヨーグルトだな。


 そして殿下のために背負子を作っておいたので、それをエドに背負わせた。

 俺のスキルって、トイレとかこういう物まで作れちゃうのな。

 ロイスの方が体格が良いのだが、戦士である彼には戦闘の方へ役割を割り振った。


「よっ、子連れ狼!」


「よしてください!

 あ、いや失礼いたしました、殿下」


「くすくす。

 二人は仲がいいんですね」


「はあ、まあ」


 ははっ、俺のために命をかけて敵わないような強敵と戦おうとしてくれていた漢だからな。

 俺だってその気持ちは熱く受け止めるさ。


 先頭が俺で、もはや露払いのための人間兵器だ。

 雑魚相手なら、今や俺は完全無双だった。


 二番手は警戒のためにシーフのデニスがつき、その次が背中に殿下を背負ったエド。

 その後ろには殿下を守るよう護衛の女性がつく。


 次が爺さんと侍女さんで、その護衛にエリ-ンがついて、そして殿(しんがり)が偉丈夫の戦士ロイスという完璧な陣形だ。


「じゃあ、頑張って地上に向かって行きますかあ」


 まるで行楽の山登りに行くような、俺の気楽な掛け声で出発した。


 照明ポッドを山ほど打ち上げる。

 もうその数は五百にまで増やした。

 そいつが先の先まで道を照らしてくれるので、驚く初見の一行。

 それは、まるでハイウエイの照明のように行先の道行きを明るく照らしてくれる。


 バリヤーポッドを殿下の周り及び全体の二重に厳重に張り巡らせる。

 そして一行の周りを戦闘ポッド一千基で埋め尽くす。


 それはもう一方的な大虐殺だった。

 レーダーMAPに映る敵影をレーダー連動射撃で全て撃ち払う。

 

 天井のスライムも粉々だ。

 狙いなど一切不要。

 うっかりと出くわした人間を誤射しないよう、マップでは人と魔物を識別するように工夫した。


 自重は一切無しでいく。

 エド達冒険者が完全に引いていた。

 王家の関係者も口をあんぐりと開けている。


 日本のアニメでも、ここまで徹底的にやらないよな。

 でも現実は安全第一なのさ。

 俺の作った黄色いヘルムには緑の十字が刻まれている。

 

 俺の心は既に宝物庫へ飛んでいた。


 いや、まだ車を出してないだけ良心的か。

 あれはまた見せると説明が難しい代物なのだ。

 ここはスロープタイプのダンジョンだから車で行けない事もないのだがね。


 俺の車は地元の自動車メーカーで作っていた奴なのだが、その中でも異彩を放っていた異様なデザインの車種だからな。

 また色合いが超ド派手な真っ黄色なのだ。


 そもそも車を運転できるのが俺だけなので、あれで行くのは無理だ。

 さすがに、どう詰め込んだって、この人数は押し込めない。

 エド達を置いていくのなら話は別なのだが、さすがに俺のために命懸けで残ってくれていた連中に対してそれは出来ない。


 それから俺達は順調に地上へ向かって進軍し、女の足に合わせて三日がかりでダンジョンを脱出した。

 ポッドから撃ちまくっていた初級魔法が、軒並み上限であるLv10にまで上がっていた。


 戦闘ポッドの制御もかなり上達して、地上へ戻る頃には多数のポッドから前後左右の敵を見事に撃ち分けられるようになっていた。


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[一言] いっその事νガンダムのフィンファンネルを100機出して ビームの代わりにファイヤーランス撃てば? キビキビ動くファンネルの攻撃で消し炭に成る魔物達! 似合うでしょう?「行けフアンネル」と言っ…
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