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26-5 御正月を遊ぼう!

 今年の御正月は、写真を一つのテーマにしてみた。

 俺のでっち上げ品ではない、地球から持ち込んだ物のコピー品のカメラを使うのだ。

 園児にデジカメを渡したら一体どうなるものやら、ちょっと興味があったのだ。

 被写体として着物エルフさんを大量に召喚した。


「うおー、カメラ~」

「しゃしんー」

「でもカメラって、なにかしら」


 みんな、てんてこまいで新玩具を弄りまくりだった。

 でも楽しそうだな。


 いや、別に園長先生がエルフさんを呼びたかっただけとか、そういう意味はゴニョゴニョ。

 だが真理が笑っていた。


「楽しそうね。

 男の人って、みんなそうなのかしら」


 え? まさか武も同じような事をやっていたとか?

 いや、あいつの場合は出会いの時から愛のパンチをくれる嫁さんがいただろ?


 綺麗なエルフさん達は園児に大人気だ。

 どっちかっていうと女の子に人気か。


「エルフさん、ステキー」

「おねーさん、こっちむいてー」


 むしろ園児の男の子には刀を差したエルフ武士が人気だった。

 御正月に合わせた着物コスプレという事らしい。

 エルフさんも男の子だったんだね。

 園児に誉めそやされて、なんだか嬉しそうだ。


 それをエルフの女性は少し冷めた目で見ていた。

 心なしか園児の幼女達もそれに習っているような。

 ま、まあいいか。

 それよりも、みんなで正月を遊ぼう。


 今日の遊びのメインは凧上げだ。

 まあ、御察しの通り普通の凧じゃないけどな。


 まず全長二メートルくらいの「人間が乗れそうな」奴だ。

 見た目は安全ベルトで『凧に装着』される感じなのだが、実は魔法により安全に搭乗されている。

 もう、みんな乗りたがって大騒ぎで、どうしようもない。

 とりあえずは安全を確認するという名目で園長先生が試乗する。


「えんちょうせんせい、ズルイー」

「ぼくが、いちばんにのりたかったのに~」

 

 みんな、ぶうぶう言っていたが、それだけは駄目だ。

 園長先生が事前に安全確認をしている事くらい、園児達だって知っているのだ。

 だが俺が直前の安全確認は必ず俺が自分でやるのをみんな知っているので、すぐに文句は収まったのだが。


 うおっ。

 これが意外と楽しい。

 自前の風魔法、エセ航空機その他の乗り物などとはまた違った楽しさが!


 今度は熱気球でも作るかな。

 あれは子供に大受けするはずだ。

 理科の授業も兼ねて小学校でやるか。

 日本だったら絶対にやらないけどね。

 あれは風任せの乗り物だから。

 俺は風魔法で操縦出来るので安全なのだ。


 そして子供達を乗せて、大空にて風に揺られてぐいぐいと上がる大凧。


「うおー、すげえ~」

「いい眺めー」

「チビルー」


 あ、本当に漏らしやがった。

 浄化。

 俺が作った凧は完全防水仕様なんで特に問題はない。

 ちょっと匂ったけど。

 下に少し垂れたかな、あはは。


「きゃー、たかい~!」

「えー? たのしいよー」

「ゆれる~」


 子供達全員を順番に連れての大空散歩は、ちょっと楽しすぎた。

 若干、高所恐怖症気味の奴がいたのが玉に瑕。

 もっともその子も俺が抱っこして安心させてやったら、後で「もう一回行く!」って言っていたが。

 なんか今年もあれこれと楽しくやれそうな予感がする。


 少し工作の時間を入れてから自作の凧も飛ばしてみた。

 凝り性な奴らは、ネットでダウンロードした設計図から色々と作っていた。

 地球と違って風は魔法でいくらでも出せるので、凧上げをするのには困らない。


 おっさんは、昔子供の頃に流行ったアメリカで開発された三角形の凧にトライする。

 あれがなかなか上手く飛ばせなくって悔しかったんだよね。


 職人的凝り性なトーヤは、科学技術に基づいて作られた高度なサイエンス凧をチョイスした。

 そいつは、おっさんが前もって作っておいた自信作なのだ。

 こいつの再現にはマジで苦労したぜ。


 これは我が祖国日本で開発されたものだ。

 こんなものが世の中にあるなんて、おっさんも子供の世話をするようになるまで知らなかったのだが。


 カスタマイズに必要なパーツは俺が作ってやる事にする。

 トーヤの奴も最近は分解一辺倒ではなくなったようだ。

 仲のいいエディも一緒にやっていた。


「ドラゴンにしてね! エンシェントがいいの」とトーヤからリクエストがきた。

 ビデオで見せてやった御山の爺のスタイルが大層御気に入りらしい。

 そいつは鳥型のものにドラゴンを印刷して軽くでっち上げる。

 さすがに、いきなりでオリジナルデザインの物の作成はキツイ。

 単なる遊びの合間の作業で、そう時間は取っていないので。


 一方、エディはといえば。


「ぼくはトリさんがいいな。

 いつも、おもっていたの。

 トリさんみたいにつばさがあったら、すきなところへとんでいけるのに。

 ごはんのいっぱいあるところへって」


 こっちはまた切実な……。

 エディのミミを優しくもふっておいてやってから、どんどんとパーツを調整して作っていく。

 エディも目をキラキラさせて、その作業を眺めている。


 あれこれと手慣れているトーヤが、器用にあっという間に組み上げていく。

 新参者であるエディもなかなかのスピードだ。


 体重の軽いレミは、うっかりと凧に引っ張られて飛んでいかないように、おっさんと一緒に遊ぶ。

 ファルにはレインボーファルス型を作ってやった。


「来てー」


 あっという間に凧を組み上げてしまったファルが、いきなり叫んだので何事かと思えば、レーダーで見ると精霊が飛んできている。

 レーダーで確認すると風の精霊ストームとある。

 自分の意思で必要な時に精霊を呼べるようになったのか。

 いつもは連中が勝手にまとわりついているだけなんだが。


 ただでさえ高く上がる科学凧が風の精霊を載せて、ぐいぐいと大空へ揚がっていく。

 さすがにアメリカや日本でも、風の精霊搭載の凧は開発していまい。


 おっさんは風魔法でレミのやっこ凧を躍らせてやる。

「ミミ付き」のやっこ凧だけど。

 ちなみに、やっこ凧の「やっこ」は冷やっこのやっこ。

 つまり豆腐の事だ。

 なんでだろうね。

 

「あがれ~」


 えらく真剣な表情で、レミがミミピンの尻尾ピン状態だ。

 何か心のツボが押されてしまったようだった。


 気が付くと、エミリオ殿下が式典を抜け出して来ていた。


「抜けてきちゃってよかったんですか?」


 御付きの子爵令嬢さんが笑顔で応えてくれる。


「ええ、もう本日の殿下の出番は終わりですので。

 明日はまた出番がありますけど」


「だって~。

 みんな楽しそうな遊びをしているのに決まっているんだもの」


 エミリオ殿下は、式典中からやきもきしていたらしい。

 殿下にも科学凧を一つ進呈した。

 もちろん、アルバトロスの国旗を模して鷹デザインをチョイスだ。

 うちも風の精霊を呼び出して、魔力をくれてやった上で殿下の凧に装填する。


 殿下の凧はぐいぐいと大空へ上がっていったが、その魔力を貰った精霊凧に向かって、ファルの凧も吸い寄せられるように寄っていってしまった。

 凧に引っ張られてファルが慌てて走ってくる。


「やー、そっちいっちゃダメー!」


 しかし、ありがたいレインボーファルス様の御声は、魔力に目の眩んだ精霊の耳には入っていないようだ。

 このままだと殿下の凧に絡んでしまう。


 しょうがないので、片手で銃型に構えた指先でファルのレインボーファルス凧を目がけ、魔力を打ち込んだ。

 それでようやく精霊は満足して、落ち着いて滞空しているようだ。


 どうやら寺一個分の除夜の鐘じゃ、世界中の精霊の煩悩は払えなかったらしい。

 来年は寺を増設してみるか。


 それから、ちょろっと殿下を人間凧に乗せてやった。


「アル、アル!

 ほら、王宮が見えるよー」


 もちろん、彼も大はしゃぎだった。


 いや可愛いよな、ほんと。

 だから式典では、いつも引っ張りだこなのだ。

 本人は凧で遊んでいたいんだろうけど。


 これがミハエル殿下あたりだったら、「これは偵察用途に使えるかもな!」とか可愛気の無い事を言いそうだ。


 それから羽子板遊びもやった。

 だが不器用なおっさんは、あっというまに顔が墨だらけにされてしまう。

 昔から球技は苦手なんだよね。


 これ用にわざわざ墨を開発しておいたのだが、自分の顔で試作品のテストをする羽目になってしまって、もう散々だ。

 チート抜きのおっさんなんて、まあこんなもんだ。


 子供とはいえ、獣人の身体能力は凄まじいのだ。

 と、言い訳だけはしておこう。


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― 新着の感想 ―
[一言] 和菓子のおはぎとかからなら、割と餅米な形状をもってこれるのではないでしょうか。
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