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21-2 工房宮殿

 国王、いや親方自ら留学生園児をエスコートをしてくれた。

 まずは鍛冶場、そして鍛冶場。

 またまた鍛冶場。


 このまま行くと、延々と鍛冶場巡りだけで案内が終ってしまいそうだ。

 そういや、俺もこの国で鍛冶場と宴会場以外、殆ど見ていない気がする。

 王宮自体が鍛冶場みたいなもんだしな。


「おい! 他に鍛冶場以外で見るところはないのか?」


 そう言われて親方は少し考える風でいたが、人を呼んで申し付けた。


「マリンシアを呼んでくれ」


 マリンシア?

 誰だっけな、それ。


 やがて、その人は現れた。

 なんと、高貴な身分と推察出来る立派な御姿をした絶世の美女だった!

 う、まさかとは思うが……。


「おう。家内のマリンシアだ!」


 やっぱりか!

 でもそれって、一国の王妃様たる御方の紹介の仕方じゃないんじゃあないかな。


「御初に御目にかかります。

 グランバースト公爵様。

 この国の王妃を務めております、マリンシア・フォン・アイアンハートと申します」


「あ、ども。

 アルフォンス・フォン・グランバーストです」


 そうか、そうだよな。

 苟も一国の国王なんだから、家名くらいはあるよな。

 それにしても、なんてダイレクトな家名なんだろう。

 あまりにも似合い過ぎているぞ。

 毛が生えているどころか、鋼鉄製の心臓か。


 こっちは一般人なんで、武の時もそうだったけど、あんまり家名みたいなものを気にした事がないわ~。


「御噂はかねがね。

 あなた様の武勇伝はすべて聞き及んでおります。

 さぞかし、うちの人と話が合うのだろうなあと」


 そう言いつつ、王妃様はコロコロとお笑いになった。


 ……これ、褒めているんだよね。

 褒めてるよね!? 


 とりあえず、王妃様を先頭に案内してくれる事になった。

 これって王妃様を呼ばないと、国王が自分の王宮にて自力で鍛冶場以外を案内するのが無理っていう事なのだろうか。

 まあこの親方にそんな事を期待するだけ無駄なんだけど。


「まず、こちらが中庭よ。

 ほら花壇が素敵でしょう?」


 俺は早速花壇に近づいて確認をしてみる。

 きっと、この国の事だから鍛冶場で作った物なのに違いない。


 違った。

 本物の花だった。

 俺の顔が驚愕に歪んだ。


 なんだと?

 この鍛冶場宮殿に普通の花壇があるのだと?


 王妃様が、そんな俺の様子を見てまたコロコロと笑っていらっしゃる。


 トーヤはスンスンと花の匂いをかいで楽しそうだ。

 ちょんちょんとつついてみたり。

 でも摘んでしまったりはしない。

 分解小僧は命を分解する事に興味は無い。


 あるのは捕って食べる必要がある時だけだ。

 最近はそういう機会も中々なくなった。

 今度、ケモミミ園にも葡萄園とかイチゴのビニールハウスでも作るか。

 美味しい果実が生る果樹を各種植えてみるのも悪くない。


 次に何かのモニュメントのある場所へ案内してくれた。

 なんだか訳のわからない芸術作品のようだ。


 王妃様の説明によると、これは建国神話の一部から抜粋された有名な場面を抽象的に表したものだそうだ。

 うん、よくわからないよ。

 どうせなら、そのまま普通に表現してくれたらよかったのに。


 何代か前の国王様が自ら御作りになったとかで、一体何を表したものなのか今いるドワーフ達にもよくわからないらしい。

 うーん、後世で日の目を見ることを祈っているよ。

 少なくとも俺には理解する事は無理だ。


 そして何かの展示場のような場所へ向かった。

 どうやら国内で作られた製品の発表会を行うような場所らしい。


 なんでも、ここで認められると上級の鍛冶職人として認められるそうで。

 ここに自分の作品と一緒に立つ事が国中の若者の夢だそうな。

 が、頑張ってくれ。


 そして王宮の炊事場へ。

 今は保存食の仕込みに忙しいらしい。

 年末年始は皆飲みまくって仕事にならないらしいので、その時のために。

 う、それって塩分が凄く多そうで嫌だな。


 この人達って、体の構造や代謝が普通の人間とは異なる気がする。

 そういや人間体形で誤魔化されていたが、この連中はエルフと並ぶ謎生物の一種なんだった。

 エルフ同様の精霊系の種族だとしても別におかしくはない。


 よくよく見ると、王宮内には各所にモニュメントや芸術作品風の展示がある。

 ちょっとした美術館気分が味わえた。

 俺はそういう物が大好きなのだ。

 作品の質もなかなかの物のようだ。

 さっきの王様作品だけが余計だったな。


 王妃様によると、他国の王侯貴族からも、そういう芸術系の注文が結構来たりするそうで。

 中にはそれ専門のような仕事をしている工房もあるそうだ。

 

 城でも持つのなら、そういう物を買うのも悪くないのだが、うちはもっぱら園児の作品を飾るのが殆どなのだ。


 もし地球への帰還が果たせて、向こうとこちらを行き来できるようなら、ここを紹介しても悪くない。

 希少価値と相まって、相応の人気を博すのではないだろうか。


 うちも専門課程の校舎の方には一部置いたりしてもいいかな。

 学校の美術室の備品みたいな感じで。

 そこまで進むのは、まだまだ先の話だけど。

 とりあえずは小学校開校からだ。


 ドワーフ宮殿も、案内する人が違えば、こうも値打ちが違って見えるものなのだろうか。

 この工房宮殿は通称アトリエパレスと呼ばれていて、他国の人にも好評なのだとか。

 名前、そのまんま工房宮殿じゃねえか。


 ここは俺も結構気に入ったんだけどね。

 せめてミュージアムパレスくらいにしておけばよかったのになあ。

 まあ似合ってる名前だとは思うが。


 ここは割と一般人でも簡単に見せてもらえる場所らしい。

 そこまで辿り着くまでに飲み潰される人が殆どなのだろうがな。


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