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11 新メンバー

 そして二人はベルンシュタイン帝国へ逆戻りしてダンジョンなどを攻略していたが、あっという間にAランク試験の日はやってきた。


 いつしかシャルロットも十六歳。

 元々大人びた少女ではあったのだが、ますます美しさに磨きがかかったようだった。

 エンデも女性の美しさで鳴らした名門貴族家の一員なのだ。

 こちらもまた捨てがたい魅力を持っていた。


 ついにやってきた二度目のAランク試験の当日。

 幸いにして手強すぎる相手はおらず、剣に体術、そして持ち前の強大な魔法を駆使して、そのバランスの良さを発揮しシャルロットも見事優勝できた。

 うっぷん晴らしなのか、予選最初のバトルロイヤルなどは師匠譲りの体術だけで残ってしまった。


 そして帝国から表彰されたはいいのだが、そこにいたのがなんと若き日の『ベッケンハイム皇太子』だ。

 それはもうしつこく言い寄られて、さすがのシャルロットも閉口した。


 そして本命のシャルロットが靡かないとなると、連れの人形のように美しい顔をしたエンデにも言い寄ってきて、さしもの王国の盾の一員にも悲鳴をあげさせた。


 相手が相手だけに武力による手出しは憚られた。

 王国の盾としての能力も、さすがにここでは役には立たない。


 迂闊な事をすれば国際問題だ。

 もっとも当の相手の方が国際問題を起こそうとしている訳なのだが。


 二人を攫おうとする帝国の手先を、Aランク冒険者の少女達は実力で全てぶっ倒し、這う這うの体でアルバトロス王国まで逃げ帰った。


 国境では彼女達をイヤらしい目で眺め、物陰に連れ込んで役得を得ようとしたがフルボッコにされ、逆に目一杯便宜を図らされた警備隊長などもいたし。



「ふう、酷い目に遭った」

「もう当分の間は帝国へは行けないわねえ」


「まあ、お金はたっぷりと稼いだから山盛りあるんだしさ。

 丁度いいからプリティドッグを探しに行こうよ」


「まあいいけどね。

 でも帝国のダンジョンに行けないのは仕事的に痛いなあ」


 そしてギルドから貰った情報で、比較的最近プリティドッグの目撃例があったという草原にも向かった。

 何人もの冒険者が貴族から捜索や捕獲の依頼を受けたのだが、やはりプリティドッグは見つからなかったという。

 その冒険者のうちの一人、シーフの力を持ったBランクの冒険者を見つけ、なんとか仲間にした。


「ねえ、あなた。

 確かフリップって言ったわよね。

 良かったら、この美少女二人組と一緒に冒険に行かない事?」


「男の中の男なら行くよね!」


 絶世の美少女二人がかりで両側からしなだれかかって御誘いをかけた。

 そして男はちょっと考えるようだったが、このような感じに条件を出してきた。


「どうせ君らの事だ。

 そんな事を言ったって俺の相手なんかしてくれる気なんてないんだろう?

 君らの噂は聞いているぜ。

 思わせぶりな態度だけど男には指一本触れさせないで、妙な真似をする男はボッコボコにするって。

 俺はそんな真似はしないけど、こっちから代わりの条件を出してもいいかな」


 男は笑って、そのように言ってきたのだ。

 そのあまりにもな言い様には二人とも天を仰いだが、まあ確かに本当の事ではある。

 とはいえ、その言い草には少しムカついたのだが、一応彼の話だけは聞いてみる事にした。


「ちょっと俺の仕事も手伝ってくれ。

 俺は感知系の力は凄く強いんだが、腕っぷしの方は今一つなんだ。

 Aランク二人と組めるならやってみたい仕事もある」


「どんな仕事?」


「魔物退治さ。

 安心しろ、ドラゴン退治とかじゃない。

 だが最近になって村を襲ったとかそういう訳じゃないから報酬が安くてな。

 高ランクの連中からは相手にされなくて」


「いいけど、あなたは何故そいつを?」


 しばらく男は黙っていたが、やがて低い声で言った。


「仇討ちさ。

 あの辺りは俺が子供の頃に住んでいた村があった。

 だが俺を一人残して村は全滅した。

 俺はその時、他の村に預けられていて助かったんだ。

 そして、俺の住んでいた村はたいして重要な村ではなく、特に他の村が襲われる事もなかったので領主も捨て置いた。


 俺はあいつを倒すために冒険者になったんだ。

 しかし皮肉な事に俺の得意な能力は感知。

 いる場所がわかっている相手を倒すのには無用の力だった。

 頼む、俺に力を貸してくれ」


 男はこの世界では滅多に見ないような、深い、深い、心からの礼をした。

 幾ばくかの雫が、うらぶれた場末のギルド酒場の床を濡らしたようだった。


「はあ、仕方がないわね。

 大概この手の恨みとかが入った案件は、依頼主がとても感情的になるケースが大きくて手伝う方も危険は大きいんだけど、まあこの防御力には定評がある私と一緒なんだしね。

 それに、どうせそこの馬鹿がやるって言うのに決まっているんだから」


 当の馬鹿者は、にこにこと笑いながらそっくり返って腕組みをする。


「ようし、じゃあさっそくプリティドッグを探しに行こう」


 それを聞いて残りの二人はずっこける。


「ちょっとお。

 あんた、人の話を聞いていたの?

 彼があたし達の仲間になってくれるための条件が、仇討ちの御手伝いなんでしょうに。

 このプリティドッグ脳め」


「仕方ないでしょ、プリティドッグ好きは親譲りなんだからさ。

 要は、先にその魔物をぶっ倒してから行くって事よ~」


「間をはしょるな、間を。

 いつか、あんたの親の顔を見てみたいわ」


 その願いは、やがて来たるアルバトロス王国王太子の結婚式で果たされる事になる。

 もちろん、エンデは護衛兼侍女としての参列なのだったが。


 どうしてこうなったとか思いつつ。


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