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第154章 空中庭園、日本へ   154-1 空中庭園とゴーレムの日々

 あの悪夢のような魔界の鎧事件が怒涛のように過ぎ、あれこれと空中庭園の支度を整えた。

 こいつを魔界の鎧の始末に使わずに済んでよかった事だ。

 一応途中でコピーは取ってあるのだが、細かい艤装などは全部やり直しになってしまう。


 さすがにあれこれと準備を並行でやっているので、あの状態で完全な完成品をコピーする事はできないのだ。

 そういう作業をやると俺が発狂する。

 なんていうか、手動でPCのファイルのバックアップをその都度していくようなものだ。


 文章などの各バージョンをあれこれとバックアップしていくと、しまいに訳がわからなくなる。

 ファイルもあれこれと動かしていくからな。


 フォルダーの中身を個別にバックアップしていたりすると、最後は物凄い文書ファイルの数になってしまうが、実際にバックアップを必要とする事態が発生したりする時には、フォルダーを開けると大概は真面に役に立たなくて膨大なファイルの中から必要な情報をさばくる羽目になる。


 終いには『ああ、ちゃんとバックアップしたはずなのに、何故見つからないのだ』が発生するのだ。

 いわゆる、ネット・PC時代の作家あるあるという奴だな。


 フォルダーも随時バックアップしていくのだが、怖くて先にバックアップした個別ファイルも消せない。

 油断すると、消してしまったそいつの中にだけ正しいデータが残っていたなどという異常事態が発生するのだ。


「そんなはずはない、そんな馬鹿な事が!」などと思いながらも、現実は過酷だ。


 クラウドによるバックアップは不安定なのでがデータが全部消えてしまう可能性があるので、それだけに頼るのは危険すぎるし、レイドのHDDなどもある日突然にファイルが壊れてしまっている場合があるので、まったく信用がならない。


 きちんと整理したつもりでも、結局は多くのファイルを作らざるを得ない人の場合、必然的にそうなっていく。

 他の人もそうだと言うから、多くの人の悩みどころなのだろう。


 それも俺の場合はコピーする対象が文章なんかではなく、各階層が拡張されてパリ二つ分の面積を誇る実物大の多階層タイプ超大型都市なのだからな。


 自動コピーなんてやったら、毎回コピー生成のために膨大な魔素を常に消費するという恐ろしい事態になってしまう。

 さすがにそれは出来ないので、どうしてもという時にしかやらない。


 今回は、クラーケン魔核を用いてやっとコツコツと完成させた虎の子の宇宙船を使いたくなかったので、やむをえず強引に途中で空中庭園のコピーを取ったのだ。


 時間凍結空間のギミックその他、あれこれと準備もあるので、すぐにコピー都市の方を使用できなかったので、正規品の方を使わざるを得ない状態であった。

 あれを使い捨てていたら、また大量の艤装を最初からやり直しする事になっていただろう。


 それをやらせていたら、作業に携わるうちのゴーレム連中も、さすがに苦笑したかな。

 さすがに物が大き過ぎ、また内部が広大過ぎる。

 内部も空間拡張してあるから、こういう時にはそれが仇となる。


「ふう、なんとか作業は進んでいるかな」

「はい、御任せください」


 そう言って胸を張る女の子は、もちろんうちのゴーレムさんだ。

 ただいま、この空中庭園のエグゼグティブ・アドミニスターを担当(ロールプレー)している子で、名をアイリーンという。


 葵ちゃんを彷彿とさせるようなスーツと眼鏡だが、少し違うのはロングの金髪をなびかせ、マーブル模様のプラスチック製の眼鏡を着用で、またボディラインは出るべきところが非常に出ているところだろうか。


 別にそいつは俺の趣味ではなく、本人達が勝手に体形まで決めているのだ。

 顔なんかも自由に変えられるのだが、彼らは一度こうと決めたら変装が必要な時以外は、顔は変えようとしない。


 むやみに変更されると俺から見て誰が誰だかわからなくなるのと、アイデンティティというか性格が顔に現れるので、そいつは自分のキャラみたいな感じだから顔の造形は動かさないのが普通だ。


 まあ、沖田ちゃんなら沖田総司のチョンマゲのようなポニーテールだ。

 パッと見には衣装と合わせてチョンマゲ風に見えるが、近くで見れば可愛い女の子のポニテなのだ。

 侍みたいに頭を剃り上げて髷を結っているわけではなく、ただそれっぽくポニテにしているだけなのだが。


 斎藤ちゃんは肩よりも少し長めのストレートの髪型だ。

 本物の斎藤一は髷を落としてからは短髪だった気がするが、実際にはどうだろう。


 特に斎藤一などは様々な動乱を生き残ったせいか、いろんな名前を使っていたらしいので俺にはよくわからない。

 新撰組をやめてからは藤田五郎などと名乗っていたりもしたらしいが、絶対にそれだけじゃなかろう。


 まるでヤバめの情報部員のように、密かに多くの名を使っていたのではないだろうか。

 これが現代ならハリウッド映画の主人公のように、アジトに最低でも数冊の名義が違うパスポートや各国の紙幣を隠し持っているようなタイプだ。


 実際の新選組には、名前を幾つも使っていて実の名前も後でよくわからないような奴らがいる。

 新選組の研究資料が明治新政府の命令で廃棄されたりした事もあったのが原因らしいが、うちは隊長クラスの有名な奴だけ名前を取ったので、俺的には割とどうでもいい。


 斎藤一は、勤皇派の取り締まり中の殉職や官軍との戦争などで早死にした奴が圧倒的に多い新選組には珍しく、爺さんになってからも奥さんと一緒に普通に職場で働いていたらしいが。 

 剣の腕は老人になってからも凄かったらしい。


 うちの斎藤ちゃんは女の子で、しかもゴーレムなので特に御爺ちゃんになる事はない。

 元々この子は俺付きのゴーレムで、十三か国連合と戦争していた時もずっと俺の世話をしてくれていた。

 ただ、ちょっと小言が多いのが難点の子なのである。


 沖田ちゃんも女の子プレーをしていて彼女と仲がいいので、大概はこのコンビが俺の傍にいる事が多い。


 近藤や土方なんかはもう、いかにもっていう感じのスタイルで近藤勇や土方俊三の男役をやっている。


 近藤は袴あるいは褌がデフォだが、土方は本物の新撰組が後期の活動になってから改めた洋装を好む。

 俺も自分の生まれ育った街に本物の近藤勇の首塚があるせいか、彼の作った新撰組には思い入れがある。

 そのせいで異世界には新撰組が存在するのだからな。


 斎藤ちゃんと沖田ちゃんはダンダラ模様の隊服の袴姿をしている事が多いし、平の隊員役は同じくダンダラ模様を好む傾向にある。


 地球の外国から来た観光客には袴が受けると思うし、また忍者ゴーレムを大勢用意しておいても面白いかもしれない。

 どうせ、もてなす側であるゴーレム達も御遊びには力を入れるのだから、どの道一緒だ。

 まあ連中に任せきりでもそうは困らない。


 一人がどこかで何かを覚えてくれば、俺の魔法PCをホストにして全員に知識や技能が行き渡るからな。


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