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149-2 おお、これは伝説の!

「つまり、あなたはエレーミアのため早急に、このケモミミパレスに匹敵する何かを作って公的に御披露目しないといけない、そういう事なのね。

 でも大丈夫かしら。

 このケモミミパレスは関係者一同が力を合わせて作り上げた物、まさに総力戦だったじゃないの。

 これに匹敵する物をそう簡単に生み出せるのかしら」


 まあ普通ならそうだろう、普通ならな。

 だが俺は、再び御立ち台の天辺に登って高笑いを始めた。


「ウエーッハッハッハー!

 心配するな。

 稀人魔王アルフォンス、ここにありだー!」


「あのう、シルさん。

 私達の旦那様が、何か物凄く下品な感じに笑っていらっしゃるのですが、あれって本当に大丈夫なんでしょうか」


 だが、あいつめ。

 お立ち台の上の、俺の隣になる二位の部分にやってきて同じように高笑いを始めて、そして俺の横によじ登ると、こんな真似を。


「あっはっはっは、大丈夫よー。

 それっ、この馬鹿旦那め。

 第一夫人チョップだ」


 そう来たのか、シル。

 しかも俺の体を叩いても自分の手は痛くないように、自分の体にちゃんとバリヤーまで張っているし。


 少なくとも、うちの嫁はベッケンハイム公爵よりは絶対に賢くて、旦那の強度(スペック)については非常に詳しいのだ。


 ミーアは、それを見てあっけにとられていた。

 まだまだ魔王夫人としては素人だとみえる。


「痛いな」


「痛いわけないでしょ。

 このHP三千二百万野郎が、もう。

 それで一体何を作るつもりなのかしら」


「そんな物は最初から決まっている。

 ずっと作ろうと思って構想だけは練っていたのさ。

 だがなあ、物が物だけに出すタイミングがな。

 そういう物なのさ」


「えー、わかんないよー。

 何かヒントをちょうだい」


「そうか。

 では、君の敬愛する御先祖様ヤマト国王こと船橋武さん」


「えー、初代国王様?

 それじゃ、わかんないわよー。

 もっとヒントー」


「しょうがねえな。

 じゃあ、君の御姉さんのメリーヌ王妃」


「わ、わからない。

 なんで姉様なの。

 もう一声」


「シド、アルス。

 あと、あの時はチーム・アーモンもいたかな」


「えーっ、何それー。

 もっとー」


「ベルンシュタイン帝国」

「ドラン皇帝?」


「いや、先代皇帝の時代の話さ」

「仙台と言えば、やっぱり牛タンかなあ」


「おい!

 もういい加減にミーアが話についてこれなくなってきているぞ。

 そろそろ答を言っちゃってもいいかな」


「待ってー、もうちょっとー」


 そう言って、うんうんと唸って考えているシル。

 トーヤとエディはもうとっくに答えがわかっているとみえて、シルを見てくすくす笑っている。


「そろそろ、王宮も御庭が綺麗なんじゃないかな」

「エディ、それがヒントなの?」


「そうそう、魔界の鎧もあったよね」

 とトーヤ。


「あとさあ。

 なんだっけ、あの『庭』を呼び出す奴。

 王様が持っていて、あと王様の弟も持ってなかったかなあ。

 そういや、なんて言ったっけ、あの人」


 もう名前を忘れ去られているのか、バイトン公爵。

 まあ特に覚えておかなくても何も問題はないがな。

 学校の試験には出ないし。


 トーヤもあいつからファルを守るために椅子を振り上げていて、国王陛下から褒められていたよね。

 なんたって、あいつはこの俺の先代に当たる西の公爵なんだぜ。


「ほら、あの伝説のあれ」


 エディも実に際どいヒントを出していたのだが、何故だかシルには通じない。


「えー、わかんない。

 降参だよー」


「答えは『ラピュタ』さ」


 回答者はトーヤが務めた。


「ラピュタ?」


 よくわかってないシルが訊き返す。

 あー、シルは幼稚園で授業を受けているわけじゃないからな。

 あれが出てくるアニメも幼稚園の授業で鑑賞しているんだよね。

 この国の歴史で有名だった、あの空中庭園について学ぶ時に。


「あれだよ、フライング・フォートレス」


「ああっ、あれの事だったのー⁉

 ラピュタなんて言うから何の事かと思ったじゃない。

 なるほど、あれなら確かにこのケモミミパレスにも対抗できる代物だわねー。

 それに、あんな物はあなたにしか作れないものでしょうし」


「ラピュタは地球では由緒正しき物だぞ。

 またの通称名を『浮遊島』などとも呼ばれ、ゲームなどにもよく登場したものだ。

 元は日本での題名を『ガリバー旅行記』というタイトルの小説に、パートの一つとして登場するものさ。


 ガリバー旅行記などと日本語の題名がつけられているのも、物語の中で有名なエピソードからつけられたもので、まあ配給会社が付けた洋画の邦題が適当なのとそう変わらんな。

 あれの原題はあまりにも長すぎて覚えきれん」


 はっきり言って、あれはその辺のなろう小説のタイトルよりも遥かに長い。

 なろう小説のタイトルは、あまりにも意味なく長いタイトルが氾濫し過ぎて混乱を招いたせいで、規制が入ったので百字までだからなあ。


 あれの原題のアルファベット系の表記だと、相当文字数は多いはずだ。

 ツ〇ッターあたりのショートメッセージタイプのSNSでは、余裕で制限字数を越えてしまうのではないだろうか。

 最低でも前後編にしないと駄目だな。


「ねえ、早く作ろうよー」


 トーヤが昔のように俺にとっついて急かす。


「ははは、そう慌てるなよ。

 あれは、この国では由緒正しき物なのだ。

 製作風景も偉い人達に観覧させないといけないものだからね。


 これが基本構想の設計図だ。

 見るか?

 とりあえずの全体図を、暫定でざっと書いてみただけのラフスケッチみたいなものだがな。

 とにかく見た目でインパクトがあり過ぎる代物なんだから、デザインは本当に重要だからなあ。

 まだ漠然としていて、これが決定稿じゃないんだ」


「うひょおおー」


「うわ、すっげえ。

 こんな感じのデザインにしたんだ!」


「ああ、これはまたラピュタとは別で由緒正しい物なのでなあ」


 

 そう、どっちかというと巨大な宇宙船というか、これこそ空中大要塞というか。

 はたまた『空中大遊園地』っぽい感じと言うか。

 だってこれ、この離宮と同じで幼稚園の新設備みたいなもんなんだぜ。

 だから遊び心は満載にしておかないとな。

 なにしろ、二人目の『幼稚園へ御嫁に来た王女様』のために作るんだからな。


 こうして失われた先代空中庭園フライングフォートレスに替わる二代目空中庭園の建設プロジェクトが、千年の時を越えて再び着手されたのだった。


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