13-5 神聖エリオンの聖歌?
「ふう~」
今日は酷い目に遭った。
全く困った連中だったぜ。
それにしても、あの感知スキル無効化野郎を倒せてよかった。
もしあいつが帝国の人間なら、開戦と同時にケモミミ園を襲撃した事だろう。
帝国め、運がよかったな。
もしそんな事になっていたら、報復として帝都にベスマギル魔力弾頭をブチこんで国家丸事を灰にしていたところだ。
おや、女の子達の方が騒がしいな。
またファルがはっちゃけているのかな?
興奮して、御風呂の中でおしっこをすんなよ。
◆◇◆◇◆
「ピヒャアーー」
人化中なんだけど、ファルちゃんがレインボーファルス形態の時のような声を上げました。
大変御悦びな御様子です。
そういやファルちゃんのレイボーファルス形態、最近見ていないなあ。
あれ、物凄く可愛いのに。
撫でると手触りもすっごくいいのよ。
今ファルちゃんは、私が御兄ちゃんから持たされた御風呂オモチャに熱中しているのです。
見かけはもうレミちゃんよりも大きいけど、はっきり言って中身は赤ちゃんも同然なので。
なんといっても、まだ殆ど生まれたばっかりですもの。
特にドラゴンみたいに長生きするっぽいし。
なんといっても、あまりにも希少過ぎて、五千年も長く生きたドラゴンさんにもよくわからないような謎生命体だし。
でも可愛い。
姫様達も、キャアキャア言ってファルちゃんを構っています。
浮き輪に、光って踊るデフォルメされたドラゴン、赤や黄色の綺麗な素材で出来たバケツと柄杓に、ぷかぷか浮かぶアヒルさん。
そして特製魔導水鉄砲に至るまで、手当たり次第に御風呂で遊べる玩具を出してみました。
全てアル御兄ちゃん謹製の品なのです。
通販ネットサイトのランキング上位商品とかいう奴らしいのですが、私には何の事なのかよくわかりません。
密林って何かの暗号?
御風呂は姫様達とベルベット様に私とファルちゃんで。
もちろん侍女さん達も一緒です。
姫様達は御肌がとても綺麗です。
やっぱり食べているものが庶民とは全然違うせいでしょうか。
第二王女様はもうそろそろ子供体型を脱しようという感じなのかな。
胸もこのメンバーの中だと一番大きいし形も綺麗です。
次がベルベット様かな?
まだ十二歳だけど、このメンバーの中では彼女が心身共に一番大人に近い感じです。
姫様方は透けるように美しい銀髪で、どこかの泉で水浴びをしていたらニンフに間違えられそうな感じです。
ベルベット様の金髪もきらきらしていて、とても綺麗なのです。
ハミル様は私とどっこいの体形かな。
いや私の方が一歳ほど御姉さんなので、どっこいでは絶対にまずい、大変微妙な年頃なのですが。
私も服はハミル様の物がピッタリサイズなのです。
まあ、一言で言えばぺったんこなわけですが。
だ、大丈夫。
うちの御母さんは胸が大きいから。
王妃様も胸が大きいからハミル様もセーフ。
御風呂場で一糸纏わぬ姿の、これだけの超美少女達に囲まれているのですが、残念な事にこの小説に挿絵は無いのです。
今日はさすがに疲れました。
あまり気にしていなかったのですが、凄い人達ばっかりいたんですよね。
でも広い湯船って気持ちがいいなあ。
この国では、庶民でも御風呂屋さんへ行けば大きな湯船に浸かれるけど、アドロスにはなかったの。
でも御兄ちゃんが、お金に飽かせてガンガン作らせました。
自分が住んでいる街にそれが無いと我慢がならないそうで。
そこでもたくさんの雇用が創出されました。
でも、ここの御風呂は次元が違うのです。
本来ならば私のような者がいていい場所ではないのですよ。
でも今日だけは御褒美という事で大いに満喫です。
稀人さんの国は御風呂が凄く発展しているそうで、初代国王様の御希望でたくさんの御風呂屋さんが作られたそうです。
御兄ちゃんが、この世界にシャンプーを持ち込んだので、王家の方とかは使っています。
うちは特別に分けてもらっているので使っています。
大人用は小さい子には刺激が強いらしいのですが、うちのマリーは平気。
王女様や公爵令嬢がふざけて胸の触りっこをしています。
貴族令嬢である侍女さんも巻き込んで、後ろからぎゅっと抱きついて胸を掴んでいたり。
なかなか激しい光景ですが、まあここには男の子は一人もおりませんので。
約三名ほどは、その輪の中から除外されておりますが。
無論私は除外組です。
「ずっと栄養が足りていなかったんですよ」という虚しい言い訳だけはしておきます。
御姫様方は湯船から出て、侍女さんに体を洗って頂いております。
ピカピカな御肌が泡だらけで、かなり破壊力のある光景です。
私は、それを横目にファルちゃんを洗っております。
そして最後に湯船に浸かっていると、ファルちゃんがこんな事を言い出しました。
「エリちゃん!
お歌、歌っていい?」
ああ、ここは御風呂だから、たぶんあれの事かな。
あれはこの王宮ではちょっとなあ……。
「えーと……」
「え? 神聖エリオン様のお歌を聞かせていただけるのですか⁉」
「凄い!
私、昼間に聞き損ねてしまって」
「ぜひ、御聞きしたいですわ~」
あ、あのー……。
「じゃあ、ファルちゃん歌う!」
ま、まあ、今日はいいか……。
そしてこの世界になんなんとする大王国の、宮殿内超豪華大浴場にて神聖エリオンの聖歌? が奏でられる事になったのです。
本当にいいのかなあ。
◆◇◆◇◆
「ふう、やっぱり大きな風呂はいいなあ。
お? ファルたんが歌っておるな。
よっしゃ。
じゃあ、おっさんも一緒に歌うか。
『あの歌』を」
◆◇◆◇◆
そして王国の御姫様方がいるところで、それは響き渡った。
昭和三十年代生まれである日本の小学生なら誰でも熱狂しただろう、あの怪物番組エンディングの元歌になった『御風呂の歌』が。
神の御使い神聖エリオン、レインボーファルスたるその御方の、いかにも子供らしく元気いっぱいな歌い方をする歌と、調子っぱずれなおっさんの歌が大浴場に木霊した。
期待していたのとはまったく違う歌を聴かされてしまった姫様方は思わず固まってしまったのだが、それはかつてないほどの楽しさが凝集された一曲だったと、後の彼女達の回顧録には記されていた。




