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13-2 キッチンエリ 王宮庭園店

 結婚式の御料理も、後は王宮の料理人さん達の御仕事になります。

 御兄ちゃんと葵さんと私で、日本の御料理や御菓子関係は指導してあるので、ここから先は彼らに御任せです。


 料理人やパティシエの人達は「これが初代国王が欲してやまなかった稀人の国の料理なのか」と感激する事頻りでした。


 初代国王様は凄い人だったけれど、御兄ちゃんと違って体一つで来てしまい苦労したので、あまり日本の食べ物はなかなか再現できなかったらしいです。


 初代国王様は小さい妹さんのために料理をしていたので、御兄ちゃんと違って料理は得意だったそうです。

 初代王妃様の胃袋を掴んで彼女をゲットしたと建国神話の伝説には記されています。


 御兄ちゃんを見ていると、なんとなくそうなのかもしれないと思えてきます。


「今でも初代国王様のオリジナル料理が伝わっています」とは初代国王様に作られた真理さんのお話です。

 この人が人間じゃないと聞いて、初めはびっくりしたのです。

 でも、あのアドロスを牛耳っていた悪党達なんかに比べれば、こういう人こそ本当の人間ではないかとか思うのです。


 いつも子供達を抱き上げて優しく(あや)しているし、よく親のいない子供を拾ってきます。

 あの人を作った初代国王様の人柄が偲ばれます。

 彼女のモデルは初代国王様の妹さんだというし。


 結婚披露宴会場から共に行くのは十三歳になる第二王女シルベスター様と、その侍女であるユーベンハルグ子爵令嬢ミランダ様、同じく十三歳。

 十歳の第三王女ハミル様と、その侍女十一歳のベリアム男爵令嬢のミレー様。

 後はアニオン公爵令嬢のベルベット様十二歳と、その御伴のジェニュインで通称ジェニー。

 このジェニーは貴族の子弟ではなく、何か物凄く訳ありで公爵家にいるらしく、すぐアワワワとか言う面白い子で今九歳です。


 その他、侯爵令嬢とか伯爵令嬢の方とかも御一緒です。

 子供のうちは割と身分差とか、この国ではあまり考えないそうです。

 だからジェニーみたいな子や私がここにいても、それほど問題ないらしいです。

 本当は王女様方も殿下と敬称付きで御呼びしないといけないのですが、堅苦しいからやめてちょうだいと。

 

 一番上の王女様はメリーヌ様で、今は十五歳です。

 婚約者で、もうべたぼれなハイド王国のシド王子様に夢中です。

 久しぶりに愛しの彼と会えたので、ガキどもには構っておれないらしくて、彼女はいらっしゃいません。


 今日はさすがに王妃様はいらっしゃいません。

 現在公務中なので。

 ただ出てくる時に、こちらの方をチラチラと見ていましたけど。


 エミリオ殿下は御兄ちゃんが来れば、そっちに夢中なので、こちらの集まりには来ないようです。

 あるいは女の子ばかりだから遠慮しているのでしょう。


 国民の間でも凄く人気の高いエミリオ殿下はとても可愛いので、油断すると姉達の着せ替え人形にされてしまうので警戒しているのかもしれません。


 それに男の子ですから、御兄ちゃんの冒険のお話とかが大好きなのです。

 エミリオ殿下も御兄ちゃんに色々と助けてもらったので、よく懐いているようです。

 御兄ちゃんも彼の事を大変可愛がっているみたいですし。


 王子様達は全員、王妃様に似て金髪。

 王女様達は国王様に似て銀髪。

 見事な御揃いです。

 

 王妃様がまた凄く美しい方で、とても六人も子供を産んだ方とは思えません。

 王女様達も王妃様似で輝かんばかりの美しさです。

 その美貌には女の子でもつい見とれてしまうほどです。


 王妃様はとても若くて御美しいけれど、その本当の年齢を聞かされて仰天しました。

 絶対にあの方は人間じゃない。

 エルフか何かなのかしら。

 元は我が国の兄弟国の公爵令嬢だったそうですが。


 今日の御披露目はカルメラ焼き。

 原料は単純な物なので作り方も簡単なのですが……御兄ちゃんには一番向かない調理かもしれません。


 なんていうかこう、完全に職人技なのです。

 散々挑戦してみて頭をかきむしった挙句、御兄ちゃんはカルメラ焼きをマスターするのは諦めてしまいました。


 後はお前に委任するとか言って、材料に道具一式、それとネット動画というものを入れてくれたタブレット端末なるものを置いていってくれました。

 それを見ながら練習して、ついにエリは確固たるカルメラ焼き職人の地位を手に入れたのです。


 アル御兄ちゃん、人間辛抱だよ。


 ぷ~ッと膨らむカルメラ焼きに皆さんの視線も釘付け。

 私の格好も、いかにもカルメラ焼き屋さんっていう感じの格好に着替えております。

 これはもちろん、御兄ちゃんが用意してくれたものです。

 御兄ちゃんは、妙にこういうシチュエーションのようなものに拘る所があるんです。


 あと御一行の中には私の御菓子披露会が初めての人もいるので、綿菓子も華麗に作ってみせます。

 これも御兄ちゃんが改良して作ってくれた、色付きの飴を原料にして作るカラー綿菓子の御披露目をしました。


 また御土産用の綿菓子を入れるための絵柄のついたビニール袋も御披露します。

 これは絶対にそのへんにポイ捨てされないように注意を喚起してと言われている物です。

 稀人の国ではそういう事が一番嫌われる行為だそうですので。


 後は出来合いですが、いろんな形をしていてクリームやチョコを中に入れて色付き砂糖チップなんかをあしらった色々な種類のドーナツも出しました。


「これって、もうドーナツじゃないんじゃないの?」と御兄ちゃんに訊いたら、稀人の国にあるドーナツ専門店では、そういう物も売る店があるそうで。


 うーん、奥が深い。

 でも御兄ちゃんに言わせると、食の日本の真髄はまだまだこんなもんじゃないと。

 この先が非常に楽しみです。


 ドリンクも炭酸水に高級果実のジュースを加えたシュワシュワの炭酸ジュースです。

 始めは慣れなかったんだけど、今はとても美味しいと思います。


 御兄ちゃんには日本のジュースも飲ませてもらいました。

 どれも凄く美味しいです。


 ジェニーがアワアワ言いながら飲んでいます。

 うん、確かに泡泡だけどね。

 これはたぶん小さい子には駄目な奴。

 うちの子達には、まだちょっと早いかな。


 御兄ちゃんから貰った、でっかいアルミ蒸着のマットや可愛い絵柄の描かれたレジャーシートなんかに座って、みんなでわいわいやっています。

 アルミ蒸着などという、この世界にはない高度な技術らしい単語も、御兄ちゃんとの会話の中でなんとはなしに覚えてしまいました。


 ジェニーが口をべたべたにしながら綿菓子に齧り付いていて、時折ベルベット様が拭いて差し上げています。

 うーん、侍女がそんなんでいいのでしょうか?


 彼女の場合は、はっきり言って侍女かどうかすら不明なのですが、他にベルベット嬢と一緒に来ている方がいませんので「侍女(仮)?」という事にしておきます。


 他の御令嬢方は、御上品にぺろっぺろっという感じで上手に舐め取っています。

 フードコートでも貴族様とかは、ラーメンや御蕎麦も上品に食べています。


 でもアル御兄ちゃんは、ラーメンをズズズズっていう感じで啜りながら食べています。

 そして「わかってねーなー、みんな。麺類はこうやって食うから旨いんだよー」と言っていました。

「武の奴もよう、日本人ならラーメンくらい作っとけよな」などと初代国王様にも文句をつけながら。


 自分で上手に作れないからラーメン研究所みたいなものまで作っておいて、よく言うなあとか思いましたけど。


 あれだって御兄ちゃんが持ち込んだ材料があって、ネットというもので作り方とかを見られるから出来るのであって。

 それに初代国王様は国を作る仕事が忙しかったんだもの。


 まあ御兄ちゃんの御蔭で色々な美味しい物が食べられるので感謝していますが。

 多分、この街や王都の人達も。


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― 新着の感想 ―
[一言] 麺はワインのティスティングと同じ味わい方で食べると 味が分かるので江戸時代のにあの食べ方bになったのだよ? 日本でも最初啜らないでお上品に食べてたがある食通が 啜って喰い出して以降食べ方が変…
[一言] そういえば真理て、人造人間なんだよね・・・ 服の第3ボタンをはずしてはいけないw
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