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144-4 プリティドッグを求めて?

「さあ、今日は王宮の中を捜索に行きますぞ!」


 楽しそうに、そう言った老騎士エグゼー。

 それを聞いて目を輝かせた子供達。

 今日は、さらに他の家の子供までついてきている。


「ようし、まずは僕の部屋からだあ!」


 それを聞いて、また激しくズッコけたパルマ。


「なんでよ~」


「だって僕がプリティドッグなら探している奴の裏をかくからね!

 プリティドッグはきっと、そんな生き物なのさ」


「あんたが探しているって、どうして向こうが知っていると思うのよ~」

「だって、そこはプリティドッグなんだし!」


 どうやら彼の脳内ではそのように、既に彼はプリティドッグからフレンド登録されている模様だ。


「うーん」


 だが、パルマ以外の他の子達はその意見に賛成のようだった。


「だってさ、なんたってプリティドッグなんだから」


 そう言い切ったのは王太子サクーアだった。

 どうやら、この国は次期王様もプリティドッグ脳に育ちつつあるらしい。

 子供の脳みそがとても発育していく、この大切な時期に。


 そしてもう一人。


「そうだよー、なんたってプリティドッグは伝説の生き物なんだよ」


 それは後に彼の三番目の息子が、兄弟国アルバトロス王国で『南の公爵』、別名『アルバトロスの犬公爵』と呼ばれるようになる御方だった。

 後に地球世界にまで広がっていく汚染は既にここから始まっていたのだ。


「まあいいんだけどさー」


「パルマはプリティドッグに会いたくないの?」


 未来の王様は可愛らしく小首を傾げて、友人の幼女に対して厳しい追及を行った。

 これが他所の国であったなら、本来は真面に口を利く事すら許されないような身分の関係なのだが、この国ではまったくそういう事はない只の幼馴染である。


 彼らを分け隔てるものは、その遺伝子というか肉体にきっちりと刻まれたXXとXYの違いだけなのである。

 これはもう王族とか平民とかの問題ではないのだ。


 そもそも、このパルマという幼女は、生まれた時が世継ぎの王子とたまたま一緒だったというだけで、同じタライで産湯を使ってしまったという、緩いのもいい加減にしろよと言いたいような経歴の持ち主だった。

 生後僅か数分で王太子と混浴してしまった女なのだ。

 このゆるゆる王国では、そんな事は何の問題にもならない。


「う! そりゃあまあ、あたしだってプリティドッグに会えるものなら会ってみたいのですがね」


「じゃあ、決まり。

 探検だ~」


 仕方がないので渋々と男衆に付き合うパルマ。

 身分の差のせいではない。

 単なる多数決の結果である。


 子供の間では意外と民主的なサイラス王国だった。

 子供のうちは、特に国政なんかには関わっていないから。


「ぶー。

 どうして、うちの仲間内は女の子が少ないのかなー」


「まあまあパルマ、そこは希少な紅一点という事で!」

「その割には、あまり女の子として尊重されていないような気がするのだけれど」


 だが他の二人も笑ってしまっていて取り合ってくれない。

 今が一番心のままに楽しい時期なのだから。


 おそらくは大人になっても気楽なままであろう、このサイラスの王族達に何を言っても無駄だなと、齢二歳にして悟ったパルマであった。


「ようし、じゃあまずは箪笥の引出しの中から!」


「いるの⁉

 プリティドッグって、そんな中に!」


 パルマは懐疑的だったのだが、よく考えたらこの王族達、自分がよくそういうところに隠れていて捜索隊を出される奴らなのだった。

 どうして男の子って、そういうところが好きなのだろう。


 アルバトロスの初代国王様が書き残されたという、伝説の異世界の生き物『ハムスター』などがそうであったと言い伝えられるのだが。


 それはおそらく、こういう生き物だったのだろうと、上半身を箪笥の引出しに突っ込んで大はしゃぎな王太子と公爵家の子供二人を、やや冷たい視線でサーチしているパルマだった。


「いなかったねー」

「いなかった、残念」

「おーいー、プリティドッグー」


 そして、そんな子供達を忍者のように天井へ張り付きながらニヤニヤしながら見ているジョニー。

 案外と上なんて誰も気にしないものだ。


 人間の頭はそういう風に真上を見るのに向いていない。

 遥か太古に人間の天敵は空にはいない。

 多分、人類の祖先は樹木の上で生活していただろうから。


 そうでなくとも子供なので家の中で上など気にした事などない。

 解放感のある緩い王国とはいえ、王宮なので天井は高いのだし。


「いやあ、ここの国は王太子とか他の王族でもこれだからなー。

 楽しいったらありゃあしないぜ。

 もうしばらく観察してから他のところへ行きたいものだ」


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