第65話 暗殺中継をしてみた⑦
僕は地上へと落下していく。
その間に使えそうなスキルをいくつか発動させた。
補正の乗算によって身体能力が跳ね上がる。
まだまだ本気とは程遠いが、瞬殺しては配信が盛り上がらない。
とりあえずこれくらいでいいだろう。
そう、配信だ。
ただ勝つのではない。
人気ライバーである僕は、配信の展開を常に考えねばならなかった。
他にも策を用意していたのに無謀な突破を選んだのは、配信のボルテージを上げるためだ。
万が一の保険もあるとは言え、決して利口な行動ではない。
しかし、わざと危険を冒すほどリスナーは狂喜する。
配信が拡散されれば収益も伸びて大儲けできる。
それを知っているからこそ、僕はリスクを抱え続けることを選んだのだ。
「さーて、いきますよー」
僕は着地と同時に片腕を振るう。
その動きで近くにいた警察のライフルを奪い取り、回転しながら全弾を発射した。
射撃系スキルで貫通力が増した弾は、軌道上の人間に次々と風穴を開けた。
大半が頭や顔面を撃ち抜かれて即死し、防御や回避を試みた者も多くが負傷している。
『なんだ今の!?』
『一瞬で何人殺した?』
『まだ瀕死なのに』
僕は弾切れのライフルを捨てて転がり、今度は国内製のサブマシンガンを拾って乱射する。
また三十人くらいが死んだ。
反撃の弾が僕の手足や胴体に命中するも怯むことはない。
強烈な痛みは、むしろ可燃材となって僕の動きを加速させる。
「ははっ、はははははははははッ!」
あちこちに落ちている銃を拾っては撃ちまくる。
たまに剣や斧といった近接武器も使う。
何もなければ死体を鈍器のように振り回して暴れ回る。
屋敷の防衛戦力はすっかり怯え切っていた。
僕に向かってくる人間は少数で、敷地外へ逃げ出す者が続出している。
政治家に対する忠誠心は皆無のようだ。
『今日の佐藤、強すぎないか?』
『いくらなんでもね』
『無双じゃん』
『今まで手加減してたのか』
『画面が揺れすぎて酔いそう』
さっきトラックを投げつけてきた大男が掴みかかってくる。
超振動を起こすノコギリを持った僕は、真正面から跳びかかった。
胴体を鷲掴みにされて一気に握り潰されるが、それで止まるはずもない。
血と臓腑を噴き出しながら、僕は笑顔でノコギリを押し付ける。
凄まじい音を立てて大男の首が滑り落ちた。




