6
「ガイウス、すぐに騎士を十名集めて、隊を整えよ。ロズワルドは剣の腕は立つ、できるだけ強い者を集めてくれ」
「はっ!」
ガイウスは身を翻し、広場に残っていた騎士に声をかけにいく。
「ロドルフ、私も出る。鎧と数日分の食料の準備を」
「畏まりました!」
まだ居残っていたロドルフは、返事をすると城館に入る。
伝令の報告を聞くや、レグルスは素早く指示をして、有紗に向き直る。
「アリサ、約束を破って申し訳ありませんが、僕は出かけねばなりません。騎士を二人付けるので、その者と聖堂へ行ってください。モーナがいても、決して夜に女性二人で出歩いてはいけませんよ」
レグルスは厳しい表情になって言った。
「え、もしかして今から行くの!?」
「ええ。領境ですから、ここから馬で一日はかかります。しばらく留守にしますので、水については妹に頼んでください。万が一のために、話してありますから」
「でも……」
ミシェーラに不気味がられたらと思うと怖い。有紗はレグルスの腕を掴む。
「私も一緒に」
「駄目です。彼らは自分達が悪いのに、アリサが原因で解雇されたと逆恨みしているかもしれません。そんな危ない者がいる場所に連れていけません。恐らく嫌がらせでしょうから、取り逃がす前に捕まえなくては。急ぐので、失礼します。モーナ、くれぐれも頼んだぞ」
「畏まりました」
モーナはお辞儀をして、そっと有紗に寄り添う。
レグルスが出かけるというので、有紗は急に心細くなった。袖を掴んだ手を外せずにいると、レグルスはそっと右手で、有紗の手を握る。
「大丈夫なの?」
「ええ、長くても三日で戻ります。心配しないでください」
「そんなの無理。私、レグルスがいるから、ここが怖いのがマシなのに」
自分勝手なことを言っている自覚はあるが、あんまり急なので、動揺がひどい。心に寒風が吹きつけてきて、体の芯から凍えてしまいそうだ。
レグルスはふうと息を吐いた。
呆れられたかと、有紗は身を固くしたが、突然、レグルスの両腕で抱え上げられた。
「きゃ!?」
「アリサ、そういう可愛い真似をなさると、僕の決意がにぶるので……」
「え?」
驚いているうちに、妃の間に移動して、椅子に下ろされた。レグルスは傍らに膝をついて、有紗と視線を合わせる。
「いいですか、アリサ。よく聞いてください」
「……うん」
「僕は王宮では、いるのにいないような存在でした。ここにいると主張すると、汚いものを見る目を向けられた。そんなことが、生まれてからずっとです。この領地に来てから、かなり住み心地が良くなりましたが、僕はどうあがいても『踊り子の血を引くいやしい子ども』なんですよ」
合槌も打てなかった。有紗はじっとレグルスを見つめる。自嘲的な言葉のわりに、彼の目は凪いでいる。
「父の気遣いを無駄にしたくなかった。でも、心の奥底では恐らく諦めていたんだと思います。努力したところで何も変わらない。僕自身が、僕にはその程度の価値しかないのだと、自分でおとしめていた。――でも」
有紗が無言で頷くと、レグルスは薄らと微笑んだ。
「あなたは僕を必要としてくれる。存在することを認めてくれる。一緒にがんばろうとすら……。僕にとって、たったそれだけのことが、どれだけ嬉しいか。必要としてくれるアリサを見ていると、僕は生きている気がするんです」
「レグルス……、でも、私は利用してるだけで」
「なんでもいいんです。アリサが生きていくためだろうが、怖いから避難先にしていようが。あなたは、僕に存在価値をくれる。僕はそれに応えたい。どれだけ考えても、どんな王になりたいか分からない。ただ、あなたにふさわしい王になりたい。あなたを手放さないで済むなら、どんな努力でもします」
レグルスは有紗の右手を取って、両手で包むようにして握った。
「ロズワルド達のことは、僕の問題です。今まで自分が諦めていたから、あんな輩を野放しにしてしまった」
「レグルスは過去と決着をつけに行くのね?」
「……ええ、そうです。あなたは僕に王になれと言った。この程度を解決できなくては、野望には届きません。アリサ、僕を応援してくれますか」
有紗は涙を零しながら、こくこくと頷いた。そんなふうに言われては、送り出すしかない。
「分かった、もう引きとめない。でも、ちゃんと戻ってきて。私を一人にしたら怒るからね! 大恩があるんでしょ。私の傍にいてくれないと、恩返しできないんだからね!」
「ええ、お約束します」
レグルスの微笑みを見て、有紗はようやく肩の力を抜いた。そして落ち着いてみると、なんだか恥ずかしくなる。
「また騒いじゃった。ごめんなさい」
「あなたの立場なら当然ですし、どんな形であれ、僕のことを考えてくれるのはうれしいです」
「……また甘やかす」
「では僕も甘えていいですか? 髪飾りかハンカチを貸してください」
「え、なんで?」
「戦いに出る時、親しい者が身に着けている品を、お守りに持っていくんですよ」
「ええと、私の持ち物なんて、これくらいしかないけど」
クローゼットの引き出しから、こちらに来た時に着ていた品を取り出す。大きな和風リボンのついたバレッタだ。
「これは……アリサの大事な物ですよね。他の物で」
「そうよ。大事だから、ちゃんと返して」
「分かりました。では、準備がありますので。聖堂に行くのなら早めに行ったほうが」
「見送るわ!」
「ありがとうございます」
ちょっと困ったような顔をしたものの、レグルスは微笑み混じりに言った。
「え~、すみませんが殿下。お支度のご用意ができましたぞ。お隣へお願いします」
「ああ、分かった」
レグルスは笑みを消すと、有紗の手をぎゅっと握ってから、妃の間を出て行った。隣室で鎧を身に着け始める。有紗は涙を綺麗にふいてから、先に一階に下りた。
一時間もせずに準備を終えると、騎士達は馬に乗って城を出て行った。門でその背を見送っていると、モーナが涙混じりに言う。
「殿下のことを本当に想われておいでなんですね、私、じーんときました。どんなお話をされていたんですか?」
「持ち物を貸してくれって言うから、私が元の世界から持ってたものを渡したの」
「そうなんですか、当てられます」
「なんで?」
頬に手を当て、モーナがうつむいた。有紗にはその反応が意外だった。
「何故って、そういった時に渡すのは、王妃様や姫といった高貴な方以外では、恋人や妻から贈るものではありませんか。仲がむつまじくてらっしゃるんですね」
「ええ!? 親しい人からもらうって言ってたのに」
「ええ、ですから、親しいのでしょう?」
フリだと言っているのに、モーナは完全に信じ込んでいるようだ。
「いや、だからね、モーナ……」
「お妃様」
誤解を解きたい有紗だが、そこへ騎士が二人やって来たので口を閉じる。妃候補のままのほうが良いと言われているので、おおっぴらに言うのははばかられる。
「殿下より聖堂への護衛を承りました」
「参りましょう。夜道は危険ですからね」
出立を促され、有紗はうなだれがちに会釈する。
「はい……よろしくお願いします」
ちらっとモーナを見ると、分かっていると言いたげに笑いを返されて、更に疲れた有紗だった。
幸い、月が明るく道がよく見えた。
レグルスは騎士達を率い、東の領境へ向け、夜通し馬を走らせた。
ガーエン領は、北は高い峰を持つ山脈、西には迷いの森がある。領境は東と南だけだ。ルーエンス城はこの領地の中で、最も敵に襲われにくい場所にあった。城主が住むにはうってつけだ。
伝令が着いた頃合いを考えると、ゆっくりしていられない。ロズワルド達が領を越える前に捕まえなければ、この領では裁けない。他の領地には違うルールがある。
途中で何度か小休止を入れたものの、馬を飛ばした甲斐があり、日が昇ってすぐくらいに領境の村に着いた。間抜けにも、彼らはまだ村にいた。まさかレグルスが騎士を率いてやって来るとは思っていなかったのか、寝ぼけた頭で慌てており、捕まえるのは考えていたよりも簡単だった。
この村は、街道を挟んで南北に家が集まっている。北側にある集会所前は広場になっていて、ロズワルド達はそこで野宿していた。レグルスらもそこに野営地を敷いた。急いでいたので、食料以外はたいして持ってきていない。村で祭りの時に使うテントを出してもらい、即席の休息場にした。初夏とはいえ、日中は暑い。
「状況は?」
「は。村人に怪我人が二名おりますが、幸いにして死者はありません。怖がって大人しく食料を渡したようです」
騎士の報告を聞いて、レグルスは怪我人の治療を命じてから、騎士達に問う。
「この中で読み書きができる者は……いなかったか」
騎士は下級貴族の子弟が多い。長男と次男以外、教育を手抜きされることも多いので、騎士だろうと読み書きできない者もいた。武芸の腕のほうが大事なのだ。
「はい、殿下。実は読み書きできます」
ガイウスの告白に、レグルスは疑問の目を向ける。
「ええと、ほら……。できると分かると、面倒な仕事が増えるので。同じ給金なら、黙っているほうが楽なんですよ」
思わぬ処世術に、目からうろこが落ちた。この言いよう、何度か職場を変えるうちに、損な役回りでもあったのだろう。わざわざ能力を隠すのは、理解できた。ガイウスもまた、怪我のせいで人生を諦めていた人間だ。
「読み書きができる者は、手紙の代筆で小遣い稼ぎをするのでは?」
王宮でそういう者を見たことがある。レグルスが問うと、ガイウスはからりと笑い返す。
「こんな田舎で、手紙を書く者なんていませんよ。それよりも、書類に間違いがないか見てくれとか、面倒な仕事が増えるんです。それにできないことにしておいたほうが、こちらが文字を読めないと油断して、堂々と不正をする商人を見つけやすいですしね」
「これまでのことは構わないが、ガイウスはもう団長なのだから、これからは手抜きせずに頼むぞ。そこに筆記具があるから、被害状況を記しておいてくれ。壊された物、差し出した食料、おおよそでいい。後で税を補てんしなければならない」
初夏から収穫期を迎える作物が多いので、今回、ロズワルド達に奪われた分もその中に入っている。それを考えずに税を請求すると、彼らの生活が立ち行かなくなって、ゆくゆくは領が荒れてしまう。食料不足だけは避けたいところだ。
「ええ、分かりました。この連中からの罰金で、ですね」
見張りに三人を残し、ガイウスは部下を連れて、手分けして被害の確認に回る。
レグルスは捕縛した元騎士達と向き直し、溜息をついた。
「腹いせに暴れて、すっきりしたか? すぐに村を出れば良かったものを。私達が動かないと思ったのか? 随分、あなどられたものだな」
ロズワルドに問いかけると、彼はレグルスをギラギラとした目でにらんでいた。
「殿下、私は由緒正しき伯爵家の子息ですよ! こんな扱い、不当です!」
「由緒正しい貴族が、強盗をするのか。いったい何が正しいんだ?」
「愚弄なさると承知しませんぞ!」
ロズワルドは顔を赤くして怒っているが、言っていることが支離滅裂なので、見張りの騎士達が失笑した。ロズワルドはそちらもにらんだ。
「ロズワルド、お前は王都でもその調子だったのだろうな。陛下のお心遣いに便乗して、あちらの騎士団が、体よく追い払ったのではないか? だから、戻っても居場所が無い。それで腹いせも兼ねて、ある程度の金を稼いで出て行こうとした。どうだ?」
レグルスは思いついたまま、推測を口にする。ロズワルドは眉をひそめ、口を引き結んだ。否定しないあたり、図星のようだ。
「お前には由緒正しい伯爵家の血筋以外に、誇りはないのか?」
レグルスの質問に、ロズワルドは怒りを込めて言い返す。
「下賤な踊り子の血を継ぐ王子から、そのように言われるいわれはありません!」
「まったく。捕まっているというのに、威勢がいい」
聞き飽きた罵倒なので、腹が立ちもしない。
「無礼だぞ、盗賊の分際で!」
レグルスの代わりに、見張りの騎士のほうが怒っている。レグルスが右手を上げて止めると、渋々引き下がった。
「確かにお前の言うように、私はボンクラだった。この血筋のせいで、人生を諦めていた。だが、アリサと会って考えが変わったのだ。私は王を目指すことに決めた」
「……正気ですか? 誰があなたを王と認めるんです。反乱が起きて終わりだ」
「そうかもしれない。だが、それは周りが私をよく知らないからだ。皆、血のことばかり言うが、私の能力を指摘する者はいない。彼らにはどういうわけか、私が見えない」
レグルスの淡々とした言葉に、ロズワルドだけでなく、他の騎士達も口を閉ざした。しんと静まり返る。
「私は王になると決めた。これしきの騒動は、解決できなくてはいけない。領地を騒がせた詫びに、お前には王位争いでの、私の点数になってもらおう」
冴え冴えとした視線を向けると、ロズワルドは初めて顔色を変えた。さあっと血の気が引き、弱弱しい声を出して頭を下げる。
「殿下、お怒りならば私が全て引き受けます。どうか他の者は、罰金で勘弁してください。私が無理を言って引き抜いただけです」
全員の命をとられると恐れ、ロズワルドは殊勝にも、仲間の命乞いを始めた。
(仲間をかばうくらいの度量はあるのか)
レグルスは少しだけ、ロズワルドを見直した。
(そういえば、言うことは失礼だったが、内容は的を射ていたな)
レグルスの立場で成り上がりたければ、高位貴族の女性を妻にして、後ろ盾を得るのが普通だ。そういう意味では、ロズワルドは貴族らしい考えを示したにすぎない。
レグルスが返事をしないでいると、レグルスの怒りが深いと勘違いしたロズワルドの部下達も慌てて頭を下げる。
「我々も罰を受ける所存です。この方は確かに短気ですが、王宮の騎士団で爪弾きにされている者を拾ってくださっていて……。恩があるのです。でなければ、いじめを苦にして辞めていました」
「身分の高い貴族ににらまれると、死地に飛ばされることもあるんです。俺達が馬鹿をやる前に、いつもこの人が分かりやすくボコボコにして、相手の怒りを遠ざけてくれたりして」
「まあ、やり方は不器用極まりないんですけど、助けられたのは確かで」
「怒鳴られるのは嫌ですけどね……」
最後辺りはただの愚痴だったが、意外な面が見えてきた。
今回、ロズワルドが引き抜いた連中は、確かにロズワルドの傍によくいた。王宮でも共にいたのだろう。
「だからなんだ? それならば、最初から真面目に勤めればいいだろう」
レグルスの冷たい返事に、ロズワルドらはぐっと息を詰める。
「だが、私も悪魔ではない。一度、機会をやろう。ロズワルド、お前がガイウスと戦って勝てたら、お前達は無罪放免にしてやる」
「負けたら……?」
「全員、死罪だ。この案を受けなくても、そうする。華々しい点数稼ぎになりそうだな」
ふっと笑ってみせると、ロズワルド達だけでなく、供の騎士まで恐ろしそうに身を震わせた。ロズワルドはすぐさま頷いた。
「機会を与えていただき、感謝いたします」
「では、決まりだ。ガイウス」
レグルスはガイウスを呼び、彼らに聞こえないように、自分の考えを小声でささやいた。
「……というわけだ。いいな、慈悲はいらない。本気でやれ」
「承知しました」
ガイウスは慇懃に礼をする。その目は、面白いと言っている。
見張りの部下に、剣に手を添えさせて牽制させ、ロズワルドの縄を解く。他の騎士が剣を渡すと、ロズワルドは神妙に受け取る。
「この私が、門番ごときに負けるわけがない」
「今は彼が団長ですよ、元団長殿」
他の騎士が皮肉っぽく言った。
「我々がいなくなっただけで、そんなにレベルが下がったのか?」
ロズワルドが本気で不思議そうに呟くと、捕縛に来た騎士達の視線が冷たくなった。
一瞬で周りを敵にするのも、ある意味では特技なのだろうか。レグルスはそんなつたないことを考える。
「怪我が治ったんでね。足を気にせずに済む」
「では、試合を始めてもらおう。審判は……」
「はい! 私がします!」
名乗り出た騎士に任せ、レグルスはテントのほうに下がる。
ガイウスとロズワルドは少し離れた位置で向かい合って立ち、長剣を構えた。審判が手を上げ、振り下ろす。
「始め!」
声とともに、ロズワルドが踏み出した。
叩き落とすような重い斬撃を、ガイウスは受け流す。ロズワルドのほうが体格が良く、力が強いという長所を生かして、斬るというよりも叩くような動作で長剣を繰り出している。ガイウスは相手の動きを利用するのが上手い。
ロズワルドの猛攻を、ガイウスは最小限の動きでしのぐ。長期戦ならガイウスに分がある。
息もつかせぬ剣さばきを、騎士達は固唾を飲んで見守る。
しばらくして、ロズワルドが疲れを見せた。その瞬間、ガイウスが前に踏み出した。剣の刃を前に出し、ひねるような動きとともに上へ弾き上げる。
――ガキンッ
ロズワルドの手から剣が跳ね飛ばされ、ガイウスが剣を首に突きつけたことで、ロズワルドは動きを止めた。
信じられないという顔で、ロズワルドはガイウスを見ている。
「貴様……まさか、本当に怪我が癒えたのか?」
「ああ、そうだ」
「何故だ。貴様もこの世に飽き飽きしていただろう! お前が落馬した試合、相手の騎手が細工をしていたのは知っているぞ。あんな汚い連中ばかりで、お前だってうんざりしていたはずだ。なのに、どうして、そんなまっすぐな目を……」
ガイウスの変化が理解できないと、ロズワルドは呆然としている。
レグルスは傍にいる騎士に問う。
「なんだ、あの二人は前から知り合いだったのか?」
「近衛騎士団にいた頃、同期だったとか。当時から仲が悪かったみたいですよ」
ガイウスがロズワルドを呼び捨てにしていたのは、そういう背景からかと、レグルスの中でつながった。普通は子爵家の息子が、伯爵家の息子を呼び捨てになどしない。
「今更なんなんだ、貴様はっ」
ロズワルドが腹立たしげに、ガイウスの襟首を掴む。
「王宮にいた時もそうだったな。私の努力を横目に、涼しい顔をして近衛に取り立てられ、将来有望だったくせに! 汚い連中の罠にはまって、あっさり退場して……。どうしてここに来て、また私の前に立ちふさがる。お前だって負け犬だったくせに! あの王子に何があるというんだ!」
ガイウスはロズワルドの手を掴んで引きはがすと、冷たく返す。
「知る必要はない。ロズワルド、お前はここで死ぬんだからな」
「……くそっ。とっとと殺せ!」
ロズワルドは舌打ちし、その場にどかりとあぐらをかいて座った。
レグルスは傍にいた騎士に、ひそひそと話しかける。彼は意外そうな顔をした後、他の騎士達にもひそかに命令を伝える。そして、ロズワルドの部下となっていた元騎士六人を広場に移動させた。
その場に座らせ、騎士達は剣を抜く。
「せっかくの機会をふいにして残念だったな。罰は甘んじて受けてもらおう」
そして、レグルスが右手を上げて合図した瞬間、騎士達は罪人の首めがけ、いっせいに剣を振り下ろした。




