92:続きは天界で
長い脚をカウチから降ろすと、ウリエルは球体のランプを消した。
部屋は夜景以外の明かりはない状態だ。
これだけ暗いとノーブラ、ノーパンでも安心かも。
ウリエルは私のところへ来ると手をつなぎ、ゆっくり歩き出した。
てっきりリビングを出て、廊下にあったドアのどれかの部屋に行くのかと思ったら……。
ダイニングテーブルの奥に、もう一つ部屋があるようだ。
ドアを開けて驚いた。
二面がガラス張りで夜景が見えている。
ウリエルは電気をつけることなく、そのまま私の手を引いてベッドに向かう。
そのベッドはとても大きく、床から高さもあった。
「アリエル」
名前を呼ばれ、私が先にベッドに横たわると、ウリエルがその後に続く。ウリエルは当然のように腕枕をすると、掛布団をかけ、私のことを抱き寄せる。
心臓がバクバクと大きな音を立てていた。
こんな至近距離だから、この音はウリエルに聞こえているのではと思ったその時。
「寂しくなったら、また会いに来るんだぞ」
ウリエルが私の手を握った。
その言動に、心臓は一気に跳ね上がる。
「悪魔を狩るつもりはないのに、そう何度も地上へ降りて、大丈夫なのかな?」
「アリエルはおれに会いたくないのか?」
切なそうな声が、耳元で聞こえる。
もう全身から力が抜けそうだ。
「ずっとそばにいたいと、思っているよ」
驚くほど甘い声を、私は出していた。前世の私では出せなかったような、甘い声だ。
ウリエルは私の気持ちに答えるように、抱きしめる腕に力を込める。
「日本には、そもそも悪魔はそんなにいない。空振りで終わっても、誰も責めることはないさ」
「そっか。……それならまた会いに行くから」
返事の代わりにウリエルは、私の額にキスをする。
そして大きく息をはくと、私の髪に顔を埋めた。
しばらくそうして動かくなったので、私のドキドキも少しずつ落ち着いてきていたのだが……。
「アリエルを感じて寝るなんて経験したら……おれ、明日から一人で寝られるかな……」
再び心臓が激しく鼓動している。
明日から一人で寝られるか。
それは私だって同じだ。
こんな風に誰かに腕枕されて眠るなんて経験、初めてのこと。それも相手はウリエルで……。とんでもなくイケメンで、しかも私を好きだと言ってくれて。
お互い大好きなのに、明日の夜は一人で眠らなきゃいけない。いや、明日だけじゃない。その次の日も、その先しばらくはずっと……。会いに行くといっても、学校もあるし、そう頻繁に会えるわけでもない。
連絡だってとれない。
それを思うと、悲しい気持ちに急激に襲われていた。
「アリエル……?」
泣きそうな様子を察知したウリエルは……。
突然、私の胸に触れた。
驚き過ぎて、声が出ない。
それでも本能(?)なのか、ウリエルの手を押さえていた。
でも首筋に熱い息がかかり、思わず体が震え、力が抜ける。首筋にそのまま唇を押し当てながら、でもウリエルは胸から手を離そうとしない。
「ウ、ウリエル!? 何しているの!?」
「ちゅっ」と音を立て、首筋から唇を離したウリエルが答えた。
「アリエルが泣かないようにしている」
「わ、分かった、泣かないから……」
胸に手が触れている。
ただそれだけなのに、ゾクゾクするような快感がわきあがり、息が荒くなっていた。乱れた息を整えようとする私を、ようやく胸から手を離したウリエルが、ぎゅっと抱きしめる。
「続きは天界で」
「……ウリエルのバカ」
でも結局、この突然の行動のおかげで、私の涙は引っ込んだ。さらに思わぬ気持ちの昂りへの反動なのか、猛烈な睡魔を感じた。
私はウリエルの腕の中で、眠りへと落ちていった。
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次回更新タイトルは「あまりの際どさに、堕天するかとヒヤヒヤ」です。
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