88:こんなイケメンが嫉妬しているの!?
「なるほど。餃子鍋だったのか」
ウリエルがシャワーから戻った時、鍋の準備は終わっていた。あとは完成した鍋をテーブルに運び、食器を用意すれば完了だ。そして私が作った鍋は餃子鍋。たっぷりの野菜に餃子を投入した鍋だ。
テーブルに必要な物と鍋をセッティングし、夕食が始まる。
「どう、味は?」
「うまい! 餃子のニラの風味が鍋にあう」
「でしょ」
ウリエルは鍋を食べながら白ワインを飲み、次第に目のあたりがほんのり桜色に染まった。鍋を食べている間は、ウリエルが堕天した後、天界で起きた出来事を話して聞かせた。
マティアスとソフィアが婚儀を挙げたか確認するために奔走したこと。
ガブリエルと柚乃はラブラブで、宮殿ではお祝いが行われていたこと。
私はミカエル様から表彰受けることになり、癒しの力の特訓を学校で受けたことなどだ。
ひとしきり話したところで食事も終わり、二人で片づけをした。
片づけを終えたウリエルは、シャインマスカット、白ワイン、私のためのぶどうジュースを、ソファの前のローテーブルに並べた。そして私を手招く。
コの字型に並べられたソファは、手前に座れば夜景が見え、窓際に座れば壁掛けのテレビが見えるようになっている。
ウリエルは手前に座ると、照明のトーンを落とした。
窓から見える夜景がより見やすくなる。
ウリエルは私の肩を抱き寄せると、しばし夜景を眺め、そして口を開いた。
「アリエル、おれは今、とても幸せだよ。昨日までは……おれ、なにやっているんだか、って自問自答の日々だった。アリエルの願いを叶えれば、おれの気持ちがアリエルに伝わる……と思ったが、なにも変わらない。ただおれは地上に堕ちて一人になって、修行をして、自炊をして……。アリエルに会うことも、顔を見ることもできなくて……。でも今日、アリエルに会えて……。堕天したのは無駄じゃなかったな」
私は大きく息をはいて、ウリエルを見る。
「……分かりにくいから。あれだけ堕天することを厭わないって言われて、さらに地上では女と遊びまくるみたいに言われて。そこに私への気持ちが隠されているなんて、気づけないから」
「……そうか。で、それを気づかせてくれたのが、ミカエル様なのか」
「まあ、そうだね」
ウリエルはぐいっと私を抱き寄せると、そのままソファにもたれる。
その結果、二人して足を伸ばし、カウチの部分で寝そべるような体勢になっていた。
突然そんな体勢になり、私の心臓はバクバクしていたが、ウリエルは構わずに話を続けた。
「アリエルはミカエルが好きだったのか?」
バクバクしている心臓が、今度は飛び出しそうになる質問をされる。
「な、なんで!? なんでそう思うの!?」
「冷静に思い返してみると、ミカエルだけ『様』をつけている。それにミカエルの名を口にする時に顔つきが変わる。……でも、好き、というか。なんだ、尊敬しているのか?」
そんなに表情に出ていたのか。「様」については……。まあ確かにそうだな。
「アリエル!」
顎をクイと持ち上げられ、心臓はもう飛び出したと思う。
「な、なに!?」
「だから、ミカエル……」
サファイアブルーの瞳に、嫉妬の炎がチロチロと燃えている。
え、嘘。
こんなイケメンが嫉妬しているの!?
「アリエル、なんて顔をする……? おれは今、お前にキスできないんだぞ」
「額や頬にキスしているよね!?」
「それはまだ許されているんだよ! でも唇にはできないから……。その顔、そんな顔でおれをみて……。くそっ」
ウリエルは顎から手をはなすと、私のことをさらに抱き寄せた。そしてぎゅっと強く両腕に力を込める。
「なんでおれ、堕天なんてしたんだ……。いや、でもそうしてなかったら今はなかったわけで……」
ウリエルはしばし私を抱きしめたまま、悶絶していた。
イケメンがこんなに悶える姿なんて、見たことがない。
しかも私のことを想い、身を焦がしている。
自然と頬が緩んだ。心臓のバクバクはもうデフォルトだし、この幸せ過ぎる状況にゾクゾクしていた。
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次回更新タイトルは「ベッドシーンみたいじゃない!?」です。
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それでは明日もよろしくお願いいたします!










































