85:18時まであと●分
18時まであと15分。
着替えは……終わっている。
シャワーを浴び、メイクもちゃんとした。
ちゃんとしたメイク道具で眉毛を整え、ビューラーで睫毛を上げ、マスカラを塗る。アイシャドウを瞼にのばし、頬紅をつけ、口紅を塗る。
仕事をしていた時は、眉毛を描き、口紅を塗るぐらいしかしていない。
ここまでちゃんとメイクするのは……推しのファンイベントの時ぐらいだ。
髪は神の家の中にある美容院で、パーマをかけてもらった。神の家の中に美容院があると知った時は、驚きだった。どうやら神の家で働く、住み込みのスタッフのための美容院で、もちろん滞在する天使が利用しても、問題ない。
天界の美容院と違うのは、カットとシャンプー以外のメニューがあったことだ。天使は基本的に服にも装飾品にも無関心。だから髪も伸びたら切る、ぐらいの概念しかない。だからこんな風にパーマをできて、嬉しかった。
仕上げにコテで綺麗に巻いてもらうと、生前でもしたことのない髪型になっている。
姿見で全身を改めて確認する。
生前、会社の同期に、人数あわせで合コンへ連れて行かれたことがあった。今の私は、その合コンに来ていた女子みたいだ。
つまり、ザ・リア充って感じ。
ミカエル様は「大天使は魂の輝きや心の美しさを見て好意を覚えるはずだ。最初は君の魂の輝きに目を留めたのかもしれない。そして君が自分の幸せよりも、友や他者の幸せを願う姿に接した。その心の美しさに、ウリエルは君のことを好きになってしまったのだろう」と言ってくれた。
天界では確かにそうだろう。
でもここは地上で、今、ウリエルは人間。
さらに今、私は他者ではなく自分の幸せのために動いているのだから……。
これぐらいオシャレしてもいいよね。
そんなことを思っていると、18時まであと10分を切った。まだ少し早いけど、もう待ちきれず、エントランスホールに向かう。
ソファに座り、周囲を見渡す。
レセプションには女性が一人いて、パソコンに目を落としている。それ以外には誰もいなくて、静かだ。
部屋を出る前から。
いや、美容院を出て、一人になって、ウリエルのことを考えるようになってから。
心臓がずっとドキドキしっぱなしだ。
これだけ静かだと、この心臓のドキドキが聞こえてしまうのでは、と思える。なんとかドキドキを沈めようと深呼吸を繰り返すが、無駄だ。
頭には午前中に会ったウリエルの姿が浮かんでいる。
白い開襟シャツに黒のベスト。黒のスリムパンツ……。
キトン以外の服を着たウリエルを初めて見た。
とても似合っていた。なんてことのないシンプルな服だったが、すごくかっこよく感じた。
金髪にサファイアブルーの瞳、鼻筋の通る整った顔立ち。
シャツを着ていても分かる逞しい肉体。
……そういえば、咄嗟に抱きついていた、私。
思い出し、顔から火が出そうになる。
いや、最初の出会いから、ウリエルにはお姫様抱っこされていたし、古の悪魔の魔力を清めた時も、お姫様抱っこされている。だから体に触れるぐらい、なんてことはない……。
いや、猛烈に恥ずかしい……。
大きく息をはき、時計を見る。
18時まであと3分。
時間ぴったりで来るのかな。
そう思った瞬間。
ふわっと優しい風と気配を感じ、私の体は温かく逞しい腕に包まれている。
「お待たせ、アリエル」
耳元に響く甘い声。
「ウリエル!」
私が振り返ると、ウリエルはおでこにキスをした。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!
次回更新タイトルは「え、照れているの!?」です。
明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。
それでは引き続きよろしくお願いいたします!
【 告 知 】
『悪役令嬢完璧回避プランのはずが
色々設定が違ってきています』
Episode2の連載が
明日 4月8日(土) 11時台
スタート!
上記作品もお楽しみいただいている読者様。
お待たせいたしました!
未読の読者様はこの機会にぜひ
遊びに来てください!










































