81:毎晩私のことを抱いてよ
向かう方角に、神々しい輝きが見えてきた。
天使の光にも等しい強い光。
「これが神の家です。降下しましょう」
ソフィアの言葉を合図に、ゆっくり高度を下げる。
立派な建物が見えてきた。
とても大きな洋館だ。
敷地面積もとても広い。
ついに神の家のエントランスに降り立った。
すぐにドアマンがドアを開き、中からバトラーらしき人物が現れる。
「お待ちしておりました。悪魔狩りの騎士の皆さまですね。ソフィア様、アリエル様、マティアス様。どうぞ、こちらへ」
エントランスホールに案内された。
吹き抜けになっているエントランスホールは、とても広々として開放的だ。
「ウリエルさんはここにいることは分かりましたが、修行している……。ということは礼拝堂で、祈りでも捧げているんですかね?」
ソフィアの言葉に、マティアスが頷く。
「そうだな。その可能性はある。まず礼拝堂に行ってみるか」
そこでエントランスホールを抜け、礼拝堂へ向かう。
長い廊下を進み、正面の大きな扉の前で、私達は立ち止まる。
マティアスが振り返り、私を見た。
「開けるぞ」
静かに頷くと、マティアスがゆっくり扉を開けた。
長椅子が沢山置かれ、左右にはステンドグラスの窓、正面には十字架。
清潔感あふれる礼拝堂には、誰もいない。
「ここじゃないか。建物内を探し回るのも非効率だ。さっきのバトラーに聞いてみるか」
ソフィアと私は頷き、エントランスホールに戻ることにした。そこにレセプションがあるからだ。
行きと同じ長い廊下を歩いていたその時。
不意に右手を掴まれ、そのまま右側の階段に引っ張られた。同時に口を押さえられる。
「!?」
マティアスとソフィアは私の状況に気づかず、そのまま廊下を進んでいる。
さらにぐいっと引き寄せられ、誰かの温かい胸の中に抱きしめられていた。
耳元で懐かしい声が聞こえる。
「アリエル、どうして『神の家』にいる?」
ウリエル……!
ゆっくり私の口から手をはなしたので、後ろを振り返る。
白い開襟シャツに黒のベスト。黒のスリムパンツという姿のウリエルがいた。
金髪にサファイアブルーの瞳、すっと通った鼻と整った顔立ち。
シャツを着ていても分かる逞しい肉体。
「ウリエル……」
気づいたら抱きついていた。
こんなイケメンに自分から抱きつくなんて。前世では考えられないことだ。
「おいおい、アリエル。どうした? いきなりの熱い抱擁。お前のその豊満なバスト、おれの体に密着しているぞ」
そう言えばこんな会話を以前もした。
あの時は慌てて体をはなしたけど……。
今は抱きついたまま、答えていた。
「構わないよ。……会いたかった、ウリエル」
「!? どうした? おれは夢でも見ているのか? お前、本当にアリエルか?」
ウリエルが驚愕の表情を浮かべる。
「ウリエルに会うために、マティアスさんとソフィアさんに頼んで、悪魔狩りのパーティを組んでもらったの」
「……な、どうして、そんなこと……」
私は顔をあげ、ウリエルの美しいサファイアブルーの瞳を見た。
心臓は信じられないぐらいドキドキしている。この音はウリエルにも聞こえているのではないかと思った。
全身の血流も良くなったのか、体が熱い。
頬も耳も熱い。
「だって、ウリエルが嘘つきだから。本当は堕天なんてしたくなかったのでしょ? 地上の女と存分に快楽を楽しむとか言っていたけど、実際はそんなことしていないでしょ」
思いがけない言葉だったのだろう。
いつも揺るぎない自信に満ちているウリエルの瞳が、動揺している。
「そんなことはない。もう地上に来てから、毎晩違う女と……」
「私じゃダメなの、ウリエル?」
「!?」
「毎晩違う女じゃなく、毎晩私のことを抱いてよ、ウリエル」
こんな大胆な言葉を、自分が言えるとは思わなかった。
言ったところまではよかったが、急激に恥ずかしくなり、私はウリエルを直視できない。
こんなイケメンをつかまえて、私、何を言っているのだろう。
これはゲームじゃない。現実。
自分が言った言葉を、なかったことになんかできない。
「……アリエル」
ウリエルが俯いていた私の顎を持ち上げ、自分の方へ向ける。
「俺はいつだってお前を抱きたいと思っていた。でもお前の心は、俺に向いていなかったはずだ。でも今は……。何があった?」
心臓はただでさえドキドキしているのに、顎クイされた上に「いつだって抱きたいと思っていた」なんて言われ、もういつ気絶してもおかしくない状態だ。
それでもなんとか踏みとどまり、震えそうになりながら答えていた。
「ウリエルが地上に行ってから、マティアスとソフィアは無事結ばれて、ガブリエルとエルサもうまくいって、アクラシエルもラファエルと距離を縮めていて……。でも私はひとりぼっちで。それで偶然、エルサに会いにガブリエルの宮殿に行って、そこでミカエル様と……」
そこでウリエルがフッと笑う。
「……ミカエル様、か。なるほど」
突然ウリエルが顔を近づけたので、私は「ひゃっ」と変な声を出してしまった。
耳元に顔を寄せたウリエルはこう囁く。
「ガブリエルの宮殿に行き、ミカエル様に会った。そして話をした。いや、話をさせられた、だな。何を聞かれ、何を白状することになったのか。それを説明するには時間が必要だろう? おれはこれから修行という名の奉仕活動をしなければならない。だからマティアスとソフィアに相談して、地上に泊れるようにするんだ。18時になったらエントランスホールに迎えに行くから」
息が耳にかかり、私はそれだけでもう、腰が砕けそうだ。
「分かったか、アリエル?」
頷くので、精一杯だった。
「よし。お利口さんだ」
まるで子供をあやすみたいに、頭を撫でられる。
「また後で、アリエル」
ウリエルは私から体を離すと、ウィンクし、礼拝堂の方へ歩いていってしまった。
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