79:すべて完璧
『天界軍騎士総本部』が開く8時にあわせ、三人揃って家を出た。
本部にはすぐ到着し、騎士希望であることを伝えると、あっという間に受付へ通される。そこで書類を記入し、即審査となった。もちろん全員、騎士として採用だ。これから悪魔狩りに行きたいと伝えると、マティアスだけが実演を求められた。
「あの、私はいいのでしょうか?」
困惑して私達を担当している騎士に尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「アリエルさんの名は、天界軍騎士総本部では有名ですよ。古の悪魔の魔力を清めた学生だ、って。もう一人の生徒、アクラシエルさんの名も、みんな知っています。将来有望な神官がいると。でもまさか騎士を志望するとは驚きですが、あなたがパーティにいれば心強いでしょう」
自分では、そこまでのことをした自覚はない。
だが古の悪魔の魔力を学生が清めた、というのは相当インパクトがあったらしい。
「それで、俺はどの武器で実演してみせればいい?」
マティアスが騎士に尋ねる。
「? 自分の得意とする武器で。まさか、剣も槍も弓も……鞭まで完璧に扱えるわけではないだろう?」
騎士が笑いながら答えると……。
マティアスは、武器が置かれたテーブルから、剣をとった。
「剣か。おい、ロン、相手をしてやれ」
ロンと呼ばれた騎士が、剣を手にマティアスと向き合ったのだが……。
それはあまりにも瞬時のことで、何が起きたか私は分からなかった。
気づいたらロンの手にあったはずの剣は、練習場の地面に突き刺さっている。
ロン自身も呆然としている。
「ロン、何やっている? ちゃんと相手をしろ」
私達を担当する騎士に注意され、ロンは慌てて、剣を手に取る。
「ではもう一度」
もう、ロンはマティアスの相手になっていなかった。
私達を担当する騎士が呆然としていると、マティアスは弓と矢を手に取る。そして用意されていた的に向かい、連続で五本の矢を放つ。
すべて命中。
そのうち三本は同じ場所を射抜き、最初の矢は完全に破壊されている。
さらに鞭を手に取ると、的に刺さった矢を、鞭ですべて一気に引き抜いた。それどころか用意されていた槍を自分で投げ、それを鞭で打ち落とす。
最後にうち落とした槍を鞭で拾い上げ、自身の手に持つと……。
「槍の相手を誰かするか?」
マティアスの言葉に、私達を担当する騎士は青ざめる。
「いや、それには及ばない。君の実力はよく分かった。……その、君は、騎士登録は本当に初めてなのか……? すべての武器を完璧に扱うことができている……。驚いたよ」
その場にいた他の騎士も、目を丸くしている。
目の前にいるのが元魔王であるとは、誰も気づいていない。
……まあ、まさか元魔王が天界に召されて天使になっているなんて、思わないよね……。
「俺の実力は認められたということで、悪魔狩りに行くことはできるんだな?」
マティアスの言葉に騎士は頷く。
「そう言えば、最近、大天使が堕天したと聞いた。彼は今、どうしているのだろうか?」
「ああ、それは僕も聞いたよ。なんでも禁忌とされる力を使ったのだとか。大天使がそんなことをするなんて驚きだよ。人間として地上で修行して、主がお認めになれば、また天界へ戻って来ることもできるらしいが……」
「地上で修行。一体どこで修行している?」
「聞いた話では、極東の島国らしい。人間として堕ちたことが、地上にいる悪魔にばれれば、狙われかねない。あまり悪魔がいない場所として、そこが選ばれたそうだ。まあ、でも主もミカエル様も、ウリエル様を可愛がっているからな。手厚い加護を与えているだろうし、基本、『神の家』での奉仕活動らしいから、悪魔もそう簡単に近寄れないと思うけどな」
その実力を見て、マティアスにすっかり気を許したのか、その騎士はペラペラとウリエルのことを話してくれた。
「極東の島国と言えば、日本、のことですね」
ソフィアが私を見る。
「アリエルさん、大丈夫です。ウリエルさんには絶対会えますから」
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次回更新タイトルは「日本、ってどこですか?」です。
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