53:チャンス到来!?
「このもみほぐしは、どこで覚えた?」
「お店で実際に、自分に施術してもらいました。何度かやってもらううちに、どこをどうするとほぐれるか、覚えた感じですかね。だから我流です。本当はちゃんと、勉強した方がいいですよね」
右の太股をほぐし終え、香油を手に塗り直す。
「香油のブレンドも我流か?」
「そうですね。でもお店で店番をされている天使の方にも、いろいろ教えていただいています」
「なるほど」
その後もウリエルは私に、学校の授業のこと、料理は得意か、好きな花は何か、とかいろいろな質問をした。私はそれらの質問に、落ち着いて返事をすることができていた。
そうしている間にもみほぐしは終わり、仰向けになった体に香油を塗り、それで完了となった。
会話をしながら、かつ、もみほぐしをしながら、だったので、余計なことを、考えないで済んだ。つまり筋肉美にうっとりするとか、興奮するとか、そーゆうことには、ならずに済んだ。
ウリエルはさっぱりした表情で起き上がり、寝台に座った。
「アリエル、お前も座れよ」
言われるまま、ウリエルの隣に座る。
「まず、我流だと言っていたが、とても気持ちよかったし、丁寧で良かったと思う。香油のブレンドは、完璧だ。おれからのアドバイスとしては、もみほぐしは、癒しの力を使いながらやると、格段によくなるだろう」
そうか! そうすれば凝り固まっている筋肉の回復も、同時にできる。
「そうですね。次回からそうしてみます!」
気づけばすっかり、ウリエルと打ち解けることができていた。
「正直、ここまでと思わなかったから、驚いた。アリエル、お前なら神官、入浴の手伝いの『役割』どちらを担っても、問題ないだろう。……自分のやりたい『役割』を目指すといい」
ウリエルからお墨付きをもらえた!
「それでだ」
伸ばされた手は、私の頭にポンとのせられた。
「天界では何かをしてもらったら、それを相手に返すのが礼儀だ。今回、おれは判定してやる、なんて偉そうに言ったが、与えられっぱなしはよくない。アリエル、何かおれにしてほしいことはあるか?」
……!
これは、チャンスではないか。
マティアスとソフィアに前世での記憶を思い出せてほしい、とお願いするチャンスでは?
が、しかし。
等価交換とは言い難い。
たかが香油を使ったもみほぐしに対し、堕天につながるような禁忌をおかせなど、言えるはずがない。
私が黙り込むと……。
「なんだ、何もないのか? おれは大天使ウリエルだぞ? お前の願いなど、簡単に叶えられる」
叶えて欲しい願いはある。
でもそれはあまりにも厚かましい願いで……。
いや、でも。
唐突に言うより、願いがあるなら叶えてやると言われている状態で言った方が、まだましでは?
いや、でも、さすがに……。
「考える時間が、必要か?」
サファイアブルーの綺麗な瞳が、私をのぞきこんだ。
その瞬間、いやでもウリエルのことを意識してしまう。
心臓がドキドキしている。
いやいやいや、ときめいている場合じゃないでしょ。
こんなチャンスは、二度とはないかもしれない。
ダメ元覚悟で、相談するつもりだったのだ。
ならば聞いてみよう。
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