49:いざとなったら色仕掛け!?
「え、なんで?」
「ラファエルもそうだけど、ウリエルも天界救急本部で接点はできたけど、その後なーんも音沙汰がないのよ。そんな相手に頼めないよね、いきなり。堕天するかもだけど、マティアスとソフィアに前世の記憶を見せてやってください、なんて」
そう言われると……。
私だってその日以降、ウリエルにあったわけではない。
その日以前の方が、会話をした、という気がする。
今日はてっきり入浴の手伝いの『役割』を実習させられるかと思っていた。でも割り当てられたのは、浴室の清掃だったわけで。
ウリエルとの接点は、現状何もない状態だ。
……せっかく香油を用意したのに。
ともかく今日、もし会えれば、玉砕覚悟で前世の記憶の件を頼むこともできる。だが会えないとなると……。
天使はもちろん上級天使でも、大天使と会う機会は……そうあるわけではない。
「手紙を書いてみるのはどう? どうしてもマティアスとソフィアのことを助けたいからって。理由もちゃんと書いて」
「理由? 小説で二人のことを読んでいたからって? 二人のハッピーエンドのためにお願いします、って?」
「うーん。変だね。というか、そもそもウリエルは、マティアスとソフィアのことは知らない前提なの?」
小説では、ウリエルとマティアスはまさにマブダチだったのに。
私の問いかけに柚乃は首を傾げた。
「ルートによりそこは変わっている気もする。だって、前世の記憶を見せたら、マティアスとソフィアは100%結ばれるでしょ。だから王道となるマティアスを攻略するルートでしか、成立しない前提かも」
「それは納得だわ」
ソフィアとマティアスのことをウリエルが知らない、という点は納得できたのだが。
二人のことを知らないウリエルに、どうやって前世の記憶を見せてやってくれと頼むのか。
それは柚乃の言う通り、難易度が高いと思えた。
もちろんウリエルは、赤の他人というわけではない。
ただ、頼みごとをするほど親しくはない……ということだ。
「柚乃、背に腹は代えられないから、もしウリエルと会う機会があれば、ダメ元で話してみる。まず、私が前世の記憶を持っていることを明かす。で、前世でマティアスとソフィアが付き合っているのを見たことがあるってことにする。せっかく同じ天界に召されたのだから、二人が結ばれるといいと思っているって、話してみる」
柚乃はこのプランを聞いて爆笑する。
「いやー、カナらしいね。当たって砕けろ作戦だ。ウリエルの協力がベストだけど、もし断られても、もうソフィアの攻略対象は限られるよね? マティアス、ウリエル、ミカエル。ミカエルに走ることはないだろうから、マティアスかウリエルか、ってなるわけで。いざとなったら、カナがウリエルを落とすしかないね。そうしたらもうソフィアはマティアスを選ぶしかなくなるから」
「まあ、そうだね。ウリエルを私が落とせる自信はないけど……」
すると柚乃が突然、私の胸を指でぷにっと押した。
「え、ん、な、なに⁉」
思いっきり動揺する。
「カナ、あんたさ、すご~い、ナイスバディだよ? 自覚ある?」
「それは……そうだね」
「プレイボーイのウリエルが、この体をほっとくわけないでしょ。いざとなったらソフィアの目の前で、その体をウリエルにすりつけ、キスの一つでもすればOKよ。純粋無垢な設定はゲームでも健在だから。それだけでソフィアは、ウリエル攻略ルートを選ばないわよ」
納得だったが、そうか。
いざとなったら……。
色仕掛けか。
でもフラグを折るためには、やるしかない。
そこでタイムアップとなり、柚乃と私は午後の『役割』実習へ向かった。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!
次回更新タイトルは「不意の襲撃!?」です。
明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。
それでは明日もよろしくお願いいたします!










































