42:これが大天使の宮殿
学校に集合した後、十五名の生徒は教師に引率され、ウリエルの宮殿へ向かった。
「ようやく森を抜けたと思ったら、今度は街だ。ウリエルの宮殿、学校から遠い……」
アクラシエルの言う通りだ。
私達上級天使が住む街から学校までは、15分で着く。
その学校を出発してもう30分以上飛んでいた。
上級天使が住む街から、そう遠くない場所に、大天使の宮殿はあると思っていたが……。
大天使の宮殿は、東にあると聞いている。でもそれって最果てにでもあるのだろうか?
「皆さん、見えてきました。下降しますよ」
教師の言葉に私とアクラシエルは顔を見合わせ、再度、地上へ目を向ける。
地上に広がるのは街……かと思った。
だがよく見ると、はるか彼方に塀が見える。
街全体を取り囲むような塀が。
いや、街じゃない。
街みたいなスケールだけど、これが宮殿……!
大天使の宮殿で『役割』につく天使は、千はいると聞いていたが、納得だ。だって一つの街も同然なのだから。
私達は街の入口……宮殿の入口に降り立った。
◇
ウリエルの宮殿には、40の建物と3つの池と5つの庭園、10の田畑、5つの果樹園があるのだという。
実習で経験する『役割』は、一つではない。
十五名は五名ずつのチームにわけられ、午前、午後、夕方で、三つの『役割』を、実習として経験する予定だ。私のチームは、アクラシエル、アリエル、イザベル、エルサ、オーブリーの五人。
午前中は果樹園、午後は洗濯物の取り込み、夕方は浴室の清掃の、それぞれの『役割』を体験することになっている。
私達五人は、果樹園のマスカットの栽培を担当する上級天使の指示を受け、早速『役割』を開始させた。
果樹園では、マスカットの摘粒を行う。
自然のまま粒が成長すると、粒と粒が押し合いになってつぶれてしまい、それが原因で病気になることもある。粒同士の間隔が狭いと、生育がそもそも悪くなってしまう。そこで小さな粒を取り除く、摘粒という作業が必要なのだが……。
ここからが天使ならではの作業の仕方だ。
手をかざし、天使の力を使い、生育を阻害しそうな粒を見つけ出す。そして見つけた粒に、他の粒の糧になるよう語り掛ける。
地上で人間が行う時は摘粒鋏を使い、一粒ずつ取り除いていく作業なので、かなり大変だ。
でも天使の力を使う場合は、ひと房に対し、一気にできるので、楽といえば楽。
それでもひと房ずつなので、それなりに時間はかかる。
作業が始まると、皆、黙々とマスカットの房と向き合った。
天使の力を当て、摘粒するものを見つけ、優しく語り掛ける。
その繰り返しで、一時間が経とうとしていた。
気づけばチームメイトとは、かなり距離ができている。
皆、それぞれの場所で黙々と作業を続けていた。
休憩は適度にとっていいと言われている。
……トイレ、行きたいかも。
でも一人で行くと帰りに迷いそう。
なにせとても広いから。
そこで私は一番近くにいるチームメイト、エルサに声をかけることにした。
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