37:やり直しは無理?
トーストをかじりながら尋ねる。
「髪を切って、それでなんで話し方まで変わったの?」
「それは……。この髪型にあの話し方はなんとなく違うだろう?」
「そうかな……」
「今の話し方は変か?」
「どうだろう……。そのうち慣れると思う」
アクラシエルの質問に答えてはいるが、頭は別のことでいっぱいだった。
やり直しはきかないのだろうか?
この髪型を変えたアクラシエルをソフィアに合わせたら、何か変わらないだろうか?
アクラシエルは髪を切り、美少年になった。
このアクラシエルを見て、ソフィアが恋に落ちてくれる可能性はないのだろうか。
もしあの大天使達とマティアスに会う前に、この美少年姿のアクラシエルに会っていたら……。
私は胸をときめかせていたと思う。
でも私は知ってしまった。
ワイルドなウリエルの強引ともいえるアプローチを。
マティアスの堂々とした男としての貫禄と圧倒的な存在感を。
ガブリエルの心を溶かす笑顔と絶対的なゲーム設定による魅了状態を。
イケメン耐性も男性耐性もできたわけではない。でもあまりにもオトナの魅力満点の大天使やマティアスと並べた時。アクラシエルがどんなに美少年でも、親友枠から飛び出すことはないように思えた。
だからもし、ソフィアがアクラシエル攻略ルートを選んでくれたら……。
ゲームの設定が私を駆り立てることがあっても、私は悪役令嬢ポジションに身をおとすことなく、踏みとどまれる気がした。
アクラシエルとソフィアの仲を引き裂く必要性が、私にはないのだから。
改めて考える。
ソフィアがアクラシエルと恋に落ちる可能性を。
現時点でソフィアが出会ったのは、ガブリエルとマティアスだけだ。
ガブリエルは……かなりソフィアを気に入っているようだが、ソフィア自身はそこまで積極的ではない。
マティアスはソフィアに興味ない様子だが、ソフィアは少なからず関心がありそうだ。
でもまだ何も動いていない……はず。
ならばここにアクラシエルが登場すれば……。
「ねえ、アクラシエル」
「な、なんだよ、アリエル」
急に私がじっと見つめたので、アクラシエルは慌てた様子で髪をかきあげた。
「この週末、予定ある?」
「週末? べ、別に特にないけど」
「じゃあ、知り合いを街に案内したいの。一緒に来ない?」
「……知り合い?」
アクラシエルが不思議そうに私を見る。
「ソフィアっていう女性の天使で騎士をやっているの。昨日ね、彼女と会っていたのよ。で、連日悪魔狩りで忙しくて、街の散策もろくにできていないらしいの。だから案内しようと思って」
「へえー。その女性の天使とは、いつ知り合ったの?」
「神官の実習の時に見かけて、知り合いに似ている気がしたの。それで確認のため、昨日会いに行ったのね。結局知り合いとは違っていたけど、仲良くなったの。だって、彼女、ガブリエルさんと悪魔狩りのパーティを組んでいるのよ。共通の知り合いがいたわけ」
私の言葉にアクラシエルは驚いていた。
「大天使とパーティ組むって……。すごいな」
「でしょ。会ってみたくなった?」
「それはどんな天使なのか気になるな」
「じゃあ、決定ね」
私は手についていたパンくずをはらった。
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次回更新タイトルは「一瞬見せた口元の笑み」です。
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