33:マティアスの処世術はすごい
結局。
そう思いながらコーヒーを口に運ぶ。
ソフィアがマティアス以外を選んでも、私は悪役令嬢ポジションで覚醒する気がした。
どうしたらいいのだろう。
この世界はアリエルを、どうしても悪役になるよう誘導しているとしか思えない。
この見えない力を、欺く方法はないのだろうか?
「アリエルさんはすごいですよね。上級天使で、しかも癒しの力が強いのですよね。昨日の活躍はお聞きしました。悪魔狩りに出ているパーティの間でも、既にアリエルさんは有名人です。学校を卒業して早く『神官』になっていただきたいって、皆さんおっしゃっていますよ」
自己紹介やそれぞれの関係性の紹介も終わり、その後はソフィアとガブリエルが今日の悪魔狩りの様子を語り(血まみれになったのは、悪魔狩りの最中に現れた熊を、ソフィアが倒したらしい)、今は昨晩の古の悪魔の魔力の件を話していた。
そしてソフィアは頼んでもいないのに、私のことを褒めてくれている。
……いや、そうじゃない。そんな考え方をしてはダメなのよ、私。
気持ちを落ち着かせ、懸命に可愛らしい笑顔で、ソフィアの言葉に応じる。
「もう、あれは無我夢中で……。目の前で古の悪魔の魔力がクラスメイトを呪おうとしているのが見えたので、とにかく助けなきゃって。でも今思うと無謀ですよね。どれだけ強い魔力かもよく確認せず、飛び込んでしまうなんて」
「確かに無謀だ。だが話を聞くに、お前の力なら、五回だ。癒しの力を五回発動すれば、その魔力は清めることができたと思う。ただ、三回連続で最大出力の癒しの力を使い、ガス欠になっていたのなら……必要なのはスタミナだろうな。あとは将来的に『役割』についたら、『神官』のランクを上げる。そうすれば主から与えられる神の力が増え、五回の発動にも耐えられるようになると思う」
マティアスの分析に、ガブリエルもソフィアも目を丸くした。
「マティアスは、『神官』の癒しの力について、随分詳しいのだね」
ガブリエルの言葉に、マティアスはさらりと答える。
「俺はアリエルの付き添いとして送迎もしたりするが、これは副業だ。本業は天空図書館の係員の『役割』だ。今、気になる蔵書に片っ端から目を通している。神官については今日、本を読んだばかりだ」
「読んだ知識を応用し、分析できるのはすごいことだよ。マティアス、君が天空図書館の蔵書をすべて読み終えたら、天界軍騎士総本部で騎士登録をしないかい?」
ガブリエルが真剣な目で、マティアスを見ている。
「いや、生憎だが悪魔狩りは無理だ。悪魔を見たら腰を抜かし、何もできないと思う」
ガブリエルは、ラファエルと同じ反応を示す。
「マティアス、君のその瞳。その目は戦いを経験したことがある瞳だ。君は前世で神の戦士だったのかな? まあ、それはいい。騎士登録をしても、必ずしも悪魔狩りに出るわけではない。戦略を練る軍師という『役割』もある。君には……」
「大天使ガブリエルのスカウトを受けるなんて光栄だ。でもそれはまだまだ先の話だろう? 天空図書館の蔵書は相当だ。俺はここに来てまだ三日。とてもじゃないけどまだまだ読み終わらない」
マティアスのこの返しには、ガブリエルは笑うしかなかった。
やはりマティアスの処世術はすごい。
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次回更新タイトルは「心は千々に乱れ」です。
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