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第三十二話 VS不良

 しゅん、と海斗達は教室の教壇のほうへとワープした。


「おっかえりー、かい・・・ってあれ?」


 海斗がワープした瞬間にサリエスが飛びついてきたのでさっと龍夜を盾にして隠れた。


 サリエスのような絶世の美女に抱きつかれて龍夜はだらしなく笑ったのもつかの間、隣の志乃が怖くて引き笑いになっていた。


「サリエスさん、あの、俺、海斗じゃないっす」


「あはは・・・ごめんごめん」


 龍夜はサリエスが離れたことで志乃からのプレッシャーが和らいでほっとため息を吐いていた。


「んで、あれはどういうことだ?」


 海斗が怒りのプレッシャーをかけながら険悪に問いつめるとサリエスは引き笑いをしながら言い訳を始めた。


「え?あ、あれは、その・・・だって海斗がこんなに怒るなんて思わなかったんだもん」


「あたりまえだ!あんなものをほいほい作りやがって、もし早紀が怪我したらどうするんだ!」


 龍夜は言う所ってそこかよ!?と思わず叫びそうになったのを飲み込んだ。答えは分かりきっていたからだ。


「・・・海斗、あなたの早紀ちゃんへの惚れ込みようが凄いのはよく分かったから、少し落ち着きなさい」


 サリエスは海斗の今までで最大ののろけともいえる台詞に半ば呆れつつこめかみを押さえながら答えていた。


 早紀は恥ずかしいやら嬉しいやらで真っ赤になって海斗の袖を掴んでいた。


 志乃はじと〜っと龍夜を睨んでいて、龍夜はたじたじになっていた。


 全く持っていつもの風景であった。






 どうやら海斗達は一番についたようだった。教室にはまだ誰もいなく、海斗が手持ちの技を披露していた。


「Diamond dust」


 海斗は手に集中した魔力を錬成してそれをダイヤモンドをすりつぶしたような輝きを持つ破片に変えてそれを周りに漂わせていた。


 きらきらと雪のように舞うきれいな塵に変えた魔力は見るものを感嘆させる程美しかった。


「きれい・・・」


「龍夜、すごいよ、これ」


「ああ」


 観客となった三人の客の受けも上々らしい。早紀は海斗に、志乃は龍夜に寄り添ってぼんやりとその風景を眺めていた。


 海斗はそんな観客達の反応を見ると次に取りかかった。


「Rainbow bubble」


 ぽう、と今度は虹色をした泡が出てきた。それは弾けると同時に小さな虹を作り、消えていった。


「わぁ・・・」


「すごい・・・」


「・・・・・」


 海斗は最後に締めくくりの大技を疲労することにした。


「Outer space」


 最初は教室だった空間がだんだんと宇宙のような空間に変わっていった。


「ここは・・・?」


「宇宙・・・?」


 そこは凄かった。体はフワフワと浮いている感じはするのだが、体の周りに球状の空間ができていてしっかりと息はできる。


「空間魔術・・・?」


 龍夜が呆然と呟いた。そう、海斗が使ったのは空間魔術。空間をねじ曲げて他の空間につなぐという超高レベルの技である。


 広大な空間は、人口の光に邪魔されることなく美しい星の光が煌めいていた。


「A meteor,dance」


 海斗が呪文を唱えると頭上が光り輝いた。何かと思い龍夜達が見上げると流星群が振ってきた。


 きらきらと光り輝きながら次々と振ってくる圧倒的な質量を持った流星に龍夜達は圧倒され、声もでないようであった。


 流星をひとしきり振らせた後は解除の呪文を唱えて空間を元に戻した。


「はぁ・・・」


「ふぅ・・・」


「ん・・・」


 三人は映画のクライマックスを見た後のような言い様のない疲労感に包まれていた。


 海斗はその反応に満足しながら眺めていたが目眩を感じて椅子に座り込んだ。


 早紀が大丈夫!?と海斗に寄り添った。


 海斗は大丈夫、と返して立ち上がろうとしたがまたも目眩を感じて座り込んでしまった。


 早紀はもう、と呟いて海斗を横倒しに寝かせた。自分の腿に頭が当たるようにして。


「早紀・・・?」


「無理しないの、ゴーレムのときと今の空間魔術、それに隕石レベルの魔術を扱って海斗疲れてるでしょ?・・・前にも言ったよね、私には弱い所位見せてくれてもいいって」


 海斗がふと周りを見渡すと龍夜と志乃はいつの間にかいなくなっていた。


 変なとこで気が利くな・・・と思いながらその柔らかい感触に目を閉じた。


 早紀は海斗の髪の毛を撫でていた。海斗はいつもとは逆の立場になっているのを感じてふっと微笑んだ。海斗は早紀のいつもの甘えた一面とは違い、こんなにも温かくて包み込むような雰囲気を出せることを知り、更に早紀に惚れていくのを感じてそれを快く受け入れた。


「早紀・・・」


 海斗は早紀の名前を呼んで早紀の顔に手を伸ばした。早紀はその手に頬をこすりつけて嬉しそうに微笑んだ。


 いつもの早紀と変わらぬ仕草におかしくなって海斗はくすりと笑った。


「なによ、海斗。もう・・・」


 早紀は怒りながらも目を閉じて顔を近づけてきた。海斗も目を閉じてそれを受け入れた。






 他の生徒が戻ってくる気配で海斗は早紀に起きるように促した。


 結局はあの後早紀ががまんできなくなったようで姿勢を入れ替えて早紀が海斗に猫のように甘えてきた。途中で早紀が『暴走』しかけたりといろいろあったのだがこれもまたいつものことであった。


「よし、これで全員だな。ま、分かっていたことだが一番は篠原、長良、雨宮、朝宮グループだ。・・・ま、篠原がいる時点で勝ちは決まってるようなもんだがな」


 クラスの皆がうんうんと頷いていた。海斗は苦笑いをしながらそれを見ていた。


「あはは・・・海斗は強いんだからしょうがないよ」


 早紀が海斗の腕にくっつきながら言う。普通こんな美少女にこんなに親しくされていれば嫉妬の視線が突き刺さるのだが海斗自身とてつもない美少年なのであまりにもお似合いで二人に降り掛かる目線は名画を見るような目だった(それでも男子生徒からの嫉妬の目線はあることにはあるのだが)。


 海斗も早紀もそういうのは気にしないので堂々といちゃついている。


「・・・あー、お前らも少しは人目を気にしていちゃつくこと。じゃ、今日はもう帰っていいぞー」


 蘭はいかにも適当なHRで切り上げた。


「よっし、帰ろうぜ志乃」


「うん」


 と龍夜達は帰っていった。いつもは途中まで一緒に帰るのだが今日は何やら用事があるらしい。


「じゃ、俺らも帰るか」


「そうだね・・・あ、一緒に買い物していこうよ」


 海斗も帰ろうとしたが早紀が買い物に行きたいというので同行することになった。




「で、何で俺を連れてこんな所にくるんだ?」


「えへへ、いいじゃんべつにー」


 今海斗達はランジェリーショップに来ていた。正直海斗はこういう所が苦手なのだが早紀が強引に引っ張ってきたのだ。


 海斗も早紀に連れてこられては無理に抵抗する訳にもいかず、ここまで引っ張られてきたという訳だ。


「さ、入ろ入ろ」


「・・・わかったよ」


 海斗は観念して入ることにした。




 あの後小一時間程買い物をして海斗の両手は買い物袋でいっぱいになっていた。


 海斗は転移魔法で家に荷物をくろうとしていたのだが早紀に疲れているだろうからそんなことはしちゃだめ、と言われて渋々止めた。 


 しかも海斗は早紀の自分で買ったものだしせめて半分は持つという願い出を断ってすべて持っている。


 早紀はそんな海斗の心遣いにも嬉しくなって上機嫌で海斗の隣を歩いていた。


 袋で手が塞がっているので頭を撫でてもらえないのは少し残念ではあるが海斗と腕を組んで歩くだけでも十分に幸福だ。


 しかし両手に袋を持っていて片手には早紀がくっついていて相当歩きにくいはずなのに海斗は平然として歩いている。


 荷物は服などばかりでそんなに重くはないとはいえ、これだけ集まれば結構な重量だ。


 やっぱり海斗は頼もしいなぁ、とぼんやりと考えながら歩いていると歩いていた人にぶつかってしまった。


「あっ、ごめんなさい」


 男性だったので鳥肌が立ったというのは内緒にしておこう(心配そうに見つめてくる海斗には全部お見通しなのだろうが)。


「・・・あ?んだこら。・・・へぇ、かなりの上玉じゃネェか」


 そういって下卑た笑みをしながら手を伸ばしてきた不良の手から逃れて海斗の背中に隠れた。


「ん?連れか?ほら、邪魔だ。今から俺がそいつと楽しむんだからな」


 なんと信じられないことに海斗のことが目に入ってなかったようだ。海斗ははぁ、とため息を吐いて荷物を転移魔法で家まで送った。


「ん?やんのか?・・・おい!お前ら、来い!」


 と不良のようなやつが一声掛けると路地裏のほうからわらわらと三十人は出てきた。広場にいた人は皆一斉に逃げ出した。


「・・・何だこの数・・・」


 海斗があきれかえったため息を吐くと周りの不良が何を思ったのか早紀に飛びかかった。


「Keep an early period」


 早紀の体がふわっと浮き上がってある家の屋上に腰掛けさせられた。


 早紀がえ?と疑問に思う前に不良は海斗に飛びかかった。


 三十人というでたらめにも思える数の不良がどんどんと投げ飛ばされていく。それは面白い位に飛んで十m位は軽く飛んでいる。


 海斗は後ろに目があるんじゃないかという感じでほとんどの攻撃を避け、足を払い、腕を掴みそのまま投げる。を繰り返していた。


 数分もすればあれだけいた不良は全員海斗を中心十mの人の円ができていた。それをご丁寧に海斗は一人一人広場の中心に吊るし上げた。


「・・・早紀を怖がらせた罰だ」


 海斗はそうぽつんと呟くと早紀のほうへと飛び上がった。


「・・・大丈夫か?・・・さ、帰ろう」


 海斗はそう言って手を差し出してきた。海斗はなんと、掴まれて服がしわになっているのを除けばほとんど無傷だ。どうやったらあの数と喧嘩して無傷でいられるのか非常に気になる所だが早紀は海斗だから、と一言で片ずけてしまった。


「うん」


 早紀は元気に頷いて差し出された手を取った。







 どうでしたか?最近読者数がだんだん低下しております。ここをこうしたらいい、など希望がありましたらどんどんおっしゃってください。

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