表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水の精霊にTS転生!   作者: アリエパ
28/74

閑話 誓い

 頭と同じぐらいの大きさの火の玉を作る。そしてもう一度魔力を詰め込む。ユニエの要望通りに急いで、でも丁寧に。炎を青く、かつ熱く。もう一度練成する。

 魔力が足りなくなってきた。それでも続ける。

 心臓がバクバクと鳴り強く痛む。でもまだ行ける。

 手足の感覚が無くなり冷めたさだけが残る。けどまだつぎ込む。

 体中の細胞がこれ以上は無理だと悲鳴を上げる。後少し。

 意識が朦朧としてきた頃、やっと辿り着いた。私の臨界点。

 言うことを聞かない体を必死に動かして、合図を送る。

 ユニエは射線上にはいない。とにかく当たりさえすれば燃やせる。撃たなきゃ。

 狙いは雑だったけど、ちゃんと上半身に当たった。安堵もつかの間、緊張が解けたせいで強引に抑え込んでいた、様々な肉体の不具合が湧き出してきた。一番酷い心臓の痛みに、思わず胸を抑える。上手く体勢が取れなくて溺れそうになる。


「おい、大丈夫か!?」


 ユニエが飛んできた。でも、心配はかけられない。


「はあはあ、大丈夫、、、魔力を、使いすぎた、だけだから、、、」


 苦しい。魔力が欠乏すると体に不調をきたすけど、今回は最後の一滴まで使い果たしたからか、今まで経験してきた中で一番酷い。

 あれはどうなったんだろう。目だけを動かして見つけた。植物が少し動いてる。まだ死んで無いなんて。


「それよりも、今は、あれを、、、」


 ああ、もうダメ、、、

:

:

:

 意識が戻った。体は少し気だるいけど、特に問題はなさそう。

 前方に気配がした。目を開けると、ユニエが私のパンツを握りしめていた。目が合う。

 精霊には性欲がないはずだけど。もしかして、、、


『ムラムラしたのー?』


「んぎゃ〜!」


 んぎゃあ?まさかの叫びに呆然とする。いつも通りのの軽い冗談を、いつも通り軽く流されて終わり。そう思ってたのに、想定外の反応でどうしたら良いかわからない。もしかして本当に?そうだとしたら、、、

 ユニエなら良いかな

 劣情は穢れている。ガキ大将からたまに感じた視線から、私はそう学んだ。でも、ユニエは違う。ユニエなら。うん、ユニエとなら望むところよ。


「ユニエ、私はあなたとなら「そうだ体は大丈夫なのか!?」、、、」


 叫んだあと固まりっぱなしだったユニエが再起動して、私に尋ねた。ここぞという時に限って。狙ってるんじゃないの?


「はあ。問題なし。大丈夫だよ。」


「そうか、良かったー。」


 心底安心したと言わんばかりの表情を見ると、どうでも良くなる。


「ユニエ、パンツ返して。」


「あっはい。」


 受け取ったパンツと上の下着を身につけ、服を着る。


「リーシャ、あのな「あいつはどこ?」こっちです。」


 どうでも良くなるけど、少し意地悪しないと気が済まない。

 ユニエに案内してもらう。地面は軽く湿り、灰と炭が散乱している。上半身が無くなり、下半身は干からびていた。ユニエは熊と呼んでたけど、私にはどう見ても魔獣にしか見えないな。熊はもっと小さくて愛らしいものだと思うよ。


「どうやって殺したの?」


「焦げたところをカッターで押し流して、生身の部分から血を吸いだしました。」


 なるほど。さて、では質問。


「なんで敬語なの?」


「、、、なんとなく、だ。」


 へー。


「何とか倒せたね。」


私も役に立てた。


「そうだな。リーシャのお手柄だ。」


「違うよ。私たち二人で倒したんだよ。」


二人で、協力して、一緒に。


「ああ。二人で、だな。」


これで少しは近づけたかな?


「なあ、リーシャ。あれは「ユニエ♪」なんでしょ、、、なんだ。」


 抱きついて名前を呼ぶ。ねえ、ユニエ私はね


「私はね、貴女とだったら、大丈夫。好きにして、良いよ。」


 愛を囁く。ユニエが望むなら、私は


「リーシャ。」


「なあに?」


 なんだって、出来る。


「水が飲みたい。」


 ずっこけそうになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ