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第98話 異国のラミア

 ライズ達はドラゴン馬車の営業という名目でシーフリート国の空を飛び、カーナヴィ伯爵より教えられたラミアの集落へとやってきていた。


「さて、今回のラミア達はどうかな?」


 前回の反省からドラゴンがいきなりやってきてはまた面倒なことになりそうだと思ったライズは、集落から離れた平地にドラゴンを下ろし、ラミアと共に集落へと向かった。


「ライズ様、足元が悪いのでお気をつけください」


 人が足を踏み入れる事の少ない大きな森の奥深くを歩く二人。

 ラミアが言うとおり人が通らない為に足元は悪く、雑草や藪が二人の行く手をさえぎる。


「はぁ、はぁ……どのくらい歩いたかな?」


 平地とはいえ歩きにくい森の中は普通の人間であるライズの体力を容易に奪い取る。


「そうですね、先ほど空から見たところではおおよそ半分といったところでしょうか?」


「……やっぱドラゴンに直接集落におろして貰えばよかったかな」


 まだ半分、更に帰りもあると考えると憂鬱な気分に包まれるライズ。


「別の大陸のラミアは私達の大陸のラミアと考え方が大きく違うかもしれないから刺激しないようにしようと言ったのはライズ様ですよ」


 疲れで今にもへたり込みそうなライズに呆れるラミア。


「さぁ、日が暮れる前に行きましょう」


 ラミアがライズの腕を引っ張ったその時だった。


 ヒュンッ


 ライズの顔の横を何かが猛烈な勢いで通り過ぎる。

 

「なっ!?」


 驚いたライズが後ろを見ると、後方にあった木には一本の矢が突き立っていた。


「動くな!」


 その声と共にライズ達が何者かに囲まれる。


「いつの間に!?」


 驚きと共にラミアがライズをかばうべく体を動かそうとするが、またしても矢が放たれてラミアをけん制する。


「動くなと言った」


 次の動けば間違いなく当てられる。そう判断したライズとラミアは弓の主の言葉に従い動きを止める。


「この森は我らの縄張り。いかなる理由で入り込んだ!?」


 そういって姿を現したのは、赤い鱗と髪のラミアだった。


「答えろ。内容如何ではその身を大地に還してくれる」


 殺気を隠そうともしない赤いラミアに呆れるライズ。


(こっちのラミアはずいぶんと好戦的だなぁ。向こうのラミアは排他的な集落でもいきなり襲ってくることは無かったんだが。けど影に潜んだブラックドッグが出てこない以上、いきなり殺すつもりは無いのは確かだろう)


 もし最初の威嚇でライズ達が死んでもかまわないと思って攻撃してきたのなら、間違いなくブラックドッグがライズの影から飛び出して矢を叩き落しただろうからだ。


「早く答えろ!」


 ライズが考え事をしていると、赤いラミアはイラつきながらライズを急かす。


(駆け引きの為にわざとせっついてる感じじゃないな。素の性格はか)


「俺達は人、ラミアを探してやってきたんだ。俺が連れてきたこのラミアは幼い頃に密猟者に攫われ、自分が所属していた集落がどこにあるのか分からないんだ。だからこの子の集落についての情報を教えて貰いたい」


 ライズは相手の性格を鑑みて素直に用件を述べた。

 下手に駆け引きらしい発言をすれば、それが理解できずに攻撃されると判断したからだ。


「集落が分からないだと? 間抜けなラミアが居たものだ。我が集落では人間に誘拐されるような間抜けはおらん! 貴様のような蒼い鱗のラミアなど知らんわ!」


 自分達の集落には蒼い鱗のラミアはいないと断言する赤いラミア。

 だが彼女の周囲で弓を構えていたラミア達は違った。

 何故か彼女達は急にオドオドとしだしてライズ達に向けていた弓の狙いをそらし始めたのだ。


「貴様等何をしている! ちゃんとよそ者を狙わんか!」


 その同様を察した赤いラミアが部下達を叱責する。

 だが部下のラミア達はいまだ動揺したままだ。


「で、でも隊長、相手は蒼い鱗の方ですよ、マズイですよ!」


 赤いラミアに反論したラミアはすっかり萎縮した様子でチラチラとライズのラミアを見ている。


「それがどうした! 青い鱗のラミアなど普通に……普通に……」


 と、そこで赤いラミアの声が小さくなっていく。

 赤いラミアはライズのラミアを横目で見たあと、再び部下に視線を向ける。

 すると部下達は全員が首を縦に振った。


 そして、赤いラミアがぎこちない動作でライズ達の方に向き直り。


 土下座した。


「「「「「申し訳ございませんでした姫様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」


「え? え?」


 ただ一人ライズのラミアだけが、状況を把握できずに困惑しているのであった。

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