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第72話 眠る門番

「こんな所に入口が隠されてたとはなぁ」


 ライズは魔物達が発見した未発見の遺跡の入り口に立っていた。


「まさか木に偽装した入口とは盲点でしたね」


 ラミアが感心した様に頷いている。

 彼女が言った様に、遺跡の入り口は地上に露出していた遺跡を隠していた木に偽装されていた。

 最初に気付いたのは雑魚対策として連れて来たコカトリスだった。

彼はその目で見た者を石にする事で有名な魔物だが、実は肉だけでなく、果物や木の実も好んで食べ性質を持っていた。

 コカトリスは獲物を石にしてから食べる。

 石になると味なんてしないのではないかと思いそうなものだが、どうやらコカトリスの味を感じる器官は石の味を感じる事が出来るとライズはコカトリスの食生活から察していた。

そしてライズの従えるコカトリスは、どうやら甘いものが大好きな甘党コカトリスだったのだ。

遺跡探索をしている魔物達の護衛をしていたコカトリスだったが、大した敵がやってこなかった為、暇を持て余していた。

そこで息抜きがわりに遺跡の木に生えていた果物をおやつとして食べようとしたところ、実はその果物が偽物だったと判明したのだ。

 それによって木も偽物である事が明らかになり、それを調べる事で隠された地下への入り口が明らかになったのだった。


「ドライアドさんかトレントさんがいれば偽装にもすぐ気づいたんでしょうけどね」 


「あー、そうだな。どっちか連れてくればよかったな」


 ドライアドとトレントは植物の魔物である。それ故彼らがいれば作り物の木などたちどころにバレていた事だったろう。


「バエルの使徒はこれを見つけられなかったから、この遺跡に来た冒険者が持ち帰ったと判断したのかな?」


「ですが冒険者達は誤解されない様にこの遺跡の事は黙っていたのでは?」


「悪魔は精神生命体だが、この世界の住人に乗り移る事で肉体を得る事が出来る。そう考えると悪魔は目や耳に頼るんじゃなく、何か別の物を見ているのかもしれないな」


 事実、世の中には視力が弱い為に耳や鼻などが良い動物がいる。蛇などはピット器官と呼ばれる器官を使って熱を察知する能力があった。

 おそらく悪魔もそうした何かがあるのだろうとライズは判断した。


「そんじゃまぁ、地下に潜ってみるとするか」


 ライズが入り口に入ろうとすると、無言でラミアがライズの背中に抱き着いてくる。


「おっ」


 当然ライズの背中にはラミアの豊満な二つのふくらみが押し当てられる事になる。


「ライズ様、貴方様が真っ先に危険な場所に向かってどうするのですか? まずは狭くて暗い場所に強い者が入るべきでしょう?」


「あー、そうですねー」


 ラミアが決して笑っていない笑顔でライズのうかつな行動に釘を刺す。


「ライズ様にはもっとご自身のお体を大事にしていただかないと」


「分かった分かった」


「ではコボルトを先行させますね」


「ああ、分かった。頼むよコボルト」


 ライズの指示にコボルトが前に出て来る。

 コボルトは戦闘能力は大した事はないが、暗闇でも目が見える事、そして鉱物を

好む性質がある為、遺跡に隠されている術宝を見つけやすいと判断したのだ。


「危険を感じたら逃げて来いよー」


「分かったっス親分!」


 群れで生きるコボルトはライズを群れのボスと認識している。

 その為なのか、彼の言葉遣いは非常に三下くさかった。


 コボルトが偽装された入り口から地下へと入ってゆく。


そして数十秒後、飛び出す様にコボルトが逃げ出してきた。


「わちゃちゃちゃちゃーっ!」 


「おかえりー。随分と早かったな」


 気軽に言葉を投げかけるライズだったが、尻に火を付けたコボルトはそれどころではなかった。


「おーい、誰か消化してやってくれ」


 ライズの命令にケルピーが水を放出してコボルトの尻にかける。


「ふー、助かったっス」


尻を突き上げたポーズで地面に倒れ込んだコボルトが安堵の声を上げる。


「で何があったんだ?」


 ライズの質問に、コボルトが飛び上がってまくしたて始めた。


「そうなんスよ! この中に入っていったら少しずつ下に向かって下って行ったんスよ。そんで20mくらいっスかねぇ。そのくらい歩いたらなんかデッケェ石像が二体立ってたんス。剣と盾を持った石像と杖を持った石像っス」


「もしかして」


 ライズの予感を肯定する様に、コボルトはそこで起こった事を語りだした。


「そんで俺が近づいたら突然石像が動き出したんスよ!」


「ゴーレムかー」


 ゴーレム、魔法使いや冒険者達にはポピュラーな存在で、魔法で作られた動く無機物だ。

 未発見の遺跡で遭遇する敵の中で出会いたくない相手No1の存在だ。 

ゴーレムを製造する技術は現在には存在せず、古代から動き続けているゴーレムのみが現存するゴーレムだ。

そして古代のゴーレムはそれぞれが特徴的な能力を持っている者が多く、他のゴーレムで得た情報が役に立たない可能性が高かった。

その為、最悪初見殺しの恐ろしいマジックアイテムを内蔵しているゴーレムと遭遇した場合は全滅する事も珍しくはなかった。


「そうなんス! ゴーレムが突然襲い掛かって来たんスよ! 剣を持ってた奴が剣を振りかぶって襲ってきて、避けたところに杖を持った奴が魔法を使って火の玉をぶつけてきてこの有様っスよ!」


 そういってコボルトは焼け焦げて縮れたお尻の毛を見せる。


「ああ、貧乏くじを引かせて悪かったな。後でユニコーンに治療させるから。今日は良い肉を用意するよ」


「あざーっス‼」


「さて、そうなるとどうするかな。この狭い入り口に入れて、暗い所でも行動出来てゴーレムが相手でも戦える戦闘力の持ち主か」


 ライズが魔物達を見ながら難しい顔を見せる。


「誰を連れていくか……」


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