表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/44

ダリナとハインリヒ(番外編)2

今回で、本当に完結です!

 ダリナがその様子を見ていると、黒髪の男がダリナに話し掛ける。


「やあ、怪我は無かった? 助けてくれてありがとう。さっきの蹴り、凄かったね」

「ケガハナイデス、アリガトウゴザイマス。……ヨクミタラ、オニイサンモシセイガシッカリシテル。オニイサン、ケンカツヨイヒト。ワタシガコナクテモオニイサン、ブジダッタ」

「まあ、それなりに武闘の経験はあるけどねー。助けてもらった事には変わりないから。……君、名前は?」

「……ダリナ」

「ダリナか。良い名前だねえ。何かお礼をしたいんだけど、何か欲しい物はある?」


 礼が欲しくて助けたわけではない。しかし、生活に困っているのも事実。ダリナは、おずおずと答えた。


「……ワタシハ、シゴトガホシイデス。シゴトヲショウカイシテクダサイ」


 すると、黒髪の男は少し考えてから言った。


「そうだな……君は強いし、僕の護衛として働いてもらおうかな」

「えっ!!」


 ダリナは、目を見開いた。


「ホントウニヤトッテクレルンデスカ!? ワタシハ『炎の民』デスヨ!?」


 黒髪の男は、笑って言った。


「君の出自とかは関係ないよ。君が僕を助けようとしてくれた姿に、僕は見惚れてしまったんだ」


 そんな事を言われたのは初めてだった。ダリナの両親が病で亡くなってから、ダリナは両親の知人の元で虐げられながら生きてきた。


「ア……アリガトウゴザイマス。セイイッパイ、アナタヲオマモリシマス!」


 ダリナは、目に涙を溜めて頭を下げた。黒髪の男は、笑顔で言う。


「うん、よろしくね、ダリナ。……あ、そうそう。自己紹介をしてなかったね。僕は、ハインリヒ・ハイゼンブルク。この国の第二王子だよ」

「ヘエ、ダイニオウジナンデスネ……ッテ、ダイニオウジ!?」


 ダリナは思わず叫んだ。ハインリヒが、「シー」と言うように指を口元に当てる。


 聞けば、ハインリヒは飛び級で学園を卒業後、貴族の不正を調査する仕事をしているとの事。恨みを買う恐れがあるので、あまり公の場には姿を現さないようにしているらしい。

 そして今日、ハインリヒ自ら人身売買をしていた商会に取引中止を言い渡しに訪れ、トラブルになったというわけだ。


「マ、マサカオウジダッタナンテ……」


 ダリナは、無礼な言葉遣いをしたであろう自分を思い返し、無言で震えた。


 その後、ダリナは正式に護衛として雇われ、城に住み込みで働く事となった。『炎の民』という事で、他の使用人達から冷たくされる事もあったが、そういう時はいつもハインリヒがフォローしてくれた。

 ダリナを一人の人間として尊重してくれたハインリヒ。そんな彼を、ずっと守り続けようとダリナは決意した。


       ◆ ◆ ◆


 そして現在。ベッドで寝ているハインリヒを見つめながら、ダリナは呟いた。


「……カミサマ、オネガイデス。ハインリヒ殿下ノ命ヲタスケテクダサイ。殿下ノ命ガタスカルナラ、ワタシの命ヲササゲテモ構イマセン……」


 ダリナは、ギュッと目を瞑った。ダリナの目から、一筋の涙が零れ落ちる。すると、不意に声が聞こえた。


「……ダリナにいなくなられたら困るなあ……」


 ダリナは、目を見開いた。ベッドに横になっていたハインリヒが、笑顔でダリナを見つめている。


「ハインリヒ殿下……メヲ覚マシタンデスネ……ヨカッタ……ホントウニ良カッタ……!!」


 ダリナは、ボロボロと涙を流した。ハインリヒは、右手を伸ばすと、そっとダリナの涙を拭った。


「ただいま、ダリナ」


       ◆ ◆ ◆


 その後、ハインリヒに毒を盛ったコンラートが捕まり、ハインリヒはいつもと同じように働けるようになった。

 ハインリヒがダリナを貴族の養女にする手続きをして、二人が結ばれるようになるのは、もう少し先のお話。

今まで読んで下さった皆様、ありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ