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元悪役令嬢は捜査する(解決編)1

とうとう解決編です!

 アイスナー邸に戻る頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。帰った後応接室に入ったヴェロニカとハルトムートは、早速フリーデに王城での話を報告する。


「……という事なの。ごめんなさい、あまり役に立つ情報を得られなくて」


 ヴェロニカが謝ると、フリーデはきょとんとした顔で言った。


「何を言っていらっしゃるのですか。犯人なら、目星が付くではありませんか。証拠は無いですけれど」


 その言葉を聞いて、ヴェロニカとハルトムートは目を見合わせた。今話した内容だけで目星がついたというのか。

 フリーデは、そんな二人を気に留めない様子で言葉を続けた。


「証拠が無いなら、出させましょう。……そうだ。以前アイスナー夫人から聞いた話が役に立つかもしれない」


 フリーデは、ゲームのヒロインらしからぬ不敵な笑みを浮かべた。


       ◆ ◆ ◆


 数日後、王城の広間には現王であるヴィルヘルム・ハイゼンブルク、正室のカルラ、側室のレナーテ、ルートヴィヒ、コンラートの五人が集まっていた。


「では、フリーデ嬢は犯人ではないと?」


 ヴィルヘルムが、白い顎鬚を撫でながら言葉を発した。


「はい、父上。一か月以内に、フリーデの無実を証明してみせます。そういう訳なので、フリーデの無実が証明された暁には、私とフリーデの婚約の継続をお許し下さい」


 ルートヴィヒが、頭を下げたまま言う。


「……いいだろう。真相を暴いてみせなさい」

「はい」


 ルートヴィヒは、笑顔で答えた。


 ルートヴィヒが広間を辞そうとした時、広間の扉が開いた。慌てた様子で広間に入って来たのは、文官の一人。


「国王陛下、失礼致します! 急ぎお伝えしたい事がございまして」

「どうした、言ってみろ」


 ヴィルヘルムに促された文官は、つっかえながらも言葉を紡ぐ。


「殿下が、ハインリヒ殿下が……!!」


 広間にいた皆に緊張が走った。


       ◆ ◆ ◆


 その数日後、王城で夜会が開かれた。ヴェロニカも、ハルトムートと共に参加している。

 参加者達が歓談を始めてしばらくすると、国王の挨拶が始まる。玉座の前方に立ったヴィルヘルムは、威厳のある声で話し始めた。


「皆の者、本日はよく来てくれた。……皆も知っていると思うが、我が息子、ハインリヒの命が狙われた。しかし、幸いな事に一命は取り留めた。犯人の確保も時間の問題だと聞く。皆、今日は心配せず楽しんでほしい」


 ヴィルヘルムの挨拶が終わり、再び歓談の時間になった。

 遠くの方を見ると、ルートヴィヒ、レナーテ、コンラートが談笑している。ルートヴィヒがワインを飲もうとしていると、コンラートがそのグラスから一口飲んだ。毒見だろう。

 そして、今度こそルートヴィヒがワインを飲もうとした時。


「お待ち下さい!」


 ヴェロニカが声を上げた。


「そのワインに毒が入っているかもしれません。調べさせて下さい」


 そう言って、ヴェロニカは三人の方へ歩み寄った。


「しかし、毒見は私が既に……」


 コンラートの言葉を無視して、ヴェロニカはワイングラスに、毒と反応すると色が変わる試薬を入れた。赤ワインは、黒に近い紫色に色を変えた。毒が入っている証拠だ。


「なっ、どうして……!?」

「あら、とぼけるおつもりですか? 今毒を入れたのも、数日前に毒を盛ったのも、あなたですよね……コンラート様」


 コンラートは一瞬固まったが、すぐに口を開いた。


「しかし、私は今毒見をしたのですよ? 何故毒を飲むような真似をするのですか」

「それは、前もって解毒剤を飲んでいたからでしょう。自分の命は無事だとわかっていたのです」

「何故私がルートヴィヒ殿下の命を狙うのですか!?」


 ヴェロニカは、目を伏せながら言った。


「動機は私にもわかりません。しかし、フリーデ様やルートヴィヒ殿下を恨んでいたのでしょう。……数日前の事件も、ハインリヒ殿下の命を本気で奪おうとしていたわけではなく、ハインリヒ殿下の命を狙ったとの理由でフリーデ様を追い落とす為だったと思われます」

「なっ……!!」


 ヴェロニカは、フリーデから聞いた推理を話して聞かせた。



 晩餐会では他人の目があり、毒をハインリヒのグラスに混入するのは困難。晩餐会で供されたワインは、一つのボトルから全員分を注いだので、前以てボトルに毒を仕込んでいたとも考えられない。

 となると、ハインリヒが毒を飲んだのは晩餐会より前。恐らく、葡萄ジュースの試飲をした時。毒が遅効性だというレナーテの証言とも一致する。

 

 そして、試飲をした時食堂にいたのはハインリヒ、母親のカルラ、ダリナ、コンラートの四人。

 ハインリヒが自死を選ぶ理由は無いし、カルラも愛する息子を殺害するとは考えられない。ダリナも、ハインリヒを殺害して今の充実した生活を手放すとは思えない。

 では、コンラートはどうだろう。コンラートにも、ハインリヒを殺害する動機がない。しかし、コンラートは知っている。使用された毒の致死率が高くない事を。なら、ハインリヒを殺害する以外の目的で毒を盛る事はあり得るのではないか。


 ハインリヒが倒れた結果、フリーデが毒を盛った犯人として追われる事になった。もしかしたら、フリーデを陥れる事自体が目的だったのではないか。

フリーデの推理が冴える!

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