元悪役令嬢は捜査する(事件編)5
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そして現在。ヴェロニカは、落ち着いた声でダリナに話し掛ける。
「それで、ハインリヒ殿下に毒を盛った人間を自分で罰しようとしたのね。……でもダリナ、どうしてレナーテ様が犯人だと思ったの?」
ダリナは、レナーテをキッと睨むと、怒りを含んだ声で言った。
「前カラ、レナーテ様ハ、ハインリヒ様ヲ邪魔ダトオモッテイルトイウ噂ガアッタ。自分ノ子供デアルルートヴィヒ様ヲ王位ニスエタイカラ……」
「いや、ルートヴィヒの事は大切に思っているけど、さすがにハインリヒを殺そうとはしないわよ。いくら何でも短絡過ぎない?」
レナーテが呆れたような声で反論するが、ダリナは食い下がる。
「デモ、レナーテ様ハ薬草ヤ毒草ニクワシイト聞イテイル。庭デソダテテイルトモ……。ダカラ、毒草ヲ使ッタノカト……」
レナーテは、首を横に振って応えた。
「あのねえ……コンラートや医師から聞いたけど、使われた毒は遅効性で、人を死に至らしめる可能性もそんなに高くないのよ。もし仮に、私が本気でハインリヒを殺害しようとするなら、もっと強い毒を使うわ」
「……」
今度は反論が思いつかなかったのか、ダリナは考え込むような表情で黙った。
「ダリナ、取り敢えず、部屋に戻りましょう? ハインリヒ殿下に危害を加えた犯人なら、私達が必ず見つけるから……」
ヴェロニカが優しく諭すと、ダリナは頭を下げて言った。
「……ハイ、ゴ迷惑ヲオカケシテ、申し訳ゴザイマセンデシタ……」
すると、今まで黙っていたハルトムートが口を開く。
「しかし、よく復讐しようとする気になったな。側妃といえど、王妃を殺害するなんて、確実に死罪になるだろうに……」
ヴェロニカは、ハッとした。そうだ。未遂とはいえ、ダリナは王妃を殺害しようとしたんだ。これだけで死罪になってもおかしくない。
ヴェロニカは、深々と頭を下げて言った。
「レナーテ様! どうかダリナを死罪にしないで頂けないでしょうか。この子は、ハインリヒ殿下の事を大切に思っているだけなんです!」
レナーテは、溜息を吐いて応えた。
「死罪になんてしないわよ。こんな事で主人に忠実な家臣を死罪にしていったらキリがないわ」
『こんな事』で済ませられる事でも無いような気がするが、まあ、レナーテは優しいのだろう。よく考えると、レナーテは最初からダリナの名を呼んでいた。義理の息子の護衛係の名前なんて、憶えていなくても不思議じゃないのに……。
「……ありがとうございます、レナーテ様」
ヴェロニカが頭を下げると、レナーテは優しい笑顔で言った。
「ヴェロニカさんって、変な人ねえ。貴族なのに、ただの護衛の為に頭を下げるなんて」
レナーテとヴェロニカは、以前から夜会等で面識があります。




