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元悪役令嬢はワルツを踊る5

今回で『元悪役令嬢はワルツを踊る』は終わりです。

次のエピソードもお楽しみに!

「……本当にグレーテルが……? やっぱり学園時代の事を恨んで……?」


 ヴェロニカが呟くと、グレーテルはキッとヴェロニカを睨んで叫んだ。


「そうよ! あの時あなたが帳簿の改ざんなんてさせなければ……私は、婚約破棄されずに済んだのよ!」


 グレーテルは、不正が明らかになった当時、一週間の謹慎処分になった。その程度の処分で済んで良かったねと言う者も多かったが、グレーテルは地獄に突き落とされた気分だった。

 当時グレーテルには婚約者がいたが、体裁を気にした婚約者の家から婚約破棄を言い渡されたのだ。

 婚約は政略のようなものだったが、グレーテルは本気で婚約者の事を愛していた。だから、婚約破棄された時は本当に辛かった。

 それなのに、元凶となったヴェロニカは、追放された後も優しい伯爵の妻となり幸せになっていると聞いている。許せない。グレーテルの心に、どす黒いものが渦巻いた。


 それで、グレーテルは夜会に睡眠薬を持ち込んだ。ヴェロニカを嵌める為だ。もし本当にヴェロニカが改心し、グレーテルに申し訳ないと思ってくれているなら、計画は中止しようと思っていた。

 しかし、ヴェロニカはグレーテルに気付かなかった。グレーテルは、ヴェロニカを地獄に叩き落とそうと決意し、今に至る。


「……婚約破棄されていたなんて、知らなかった。グレーテル、本当に……ごめんなさい」


 ヴェロニカが、目を伏せて謝罪する。


「今更謝られたって……う……うああああああ……!!」


 グレーテルは、子供のようにその場で泣き続けた。


        ◆ ◆ ◆


 その後、夜会は無事終了し、ヴェロニカとハルトムートはアイスナー邸へと戻った。自宅のリビングで二人きりになると、ハルトムートがヴェロニカに問い掛ける。


「本当に良かったのか? グレーテル嬢の罪を問わないなんて」


 そう。ヴェロニカはグレーテルを責めず、そのまま夜会から帰した。ヴェロニカがブレスレットを盗んだと思い込んだ来客達には、グレーテルの勘違いだったと説明している。


「はい。彼女の気持ちは……想像できますから……」


 ヴェロニカは、ハーブティーを飲みながら頷いた。自分だって、ハルトムートに離縁をされたら辛い。グレーテルがヴェロニカを恨む気持ちはよく分かる。


 ヴェロニカが俯いていると、向かいのソファに座っていたハルトムートがヴェロニカの隣に移動する。

 そして、ヴェロニカの頭にポンと手を置いて言った。


「……ヴェロニカ。君のした事は、消えるわけじゃない。今後も、君に冷たい目を向ける者が出てくるだろう。……でも、私は、絶対に君を見捨てない」


 その言葉を聞いて、ヴェロニカの目からボロボロと涙が溢れてきた。


「ありがとうございます、ハルトムート様。ありがとう……ございます……」


 ヴェロニカは、ハルトムートの胸に顔を埋めて、いつまでも泣き続けた。

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