元悪役令嬢はワルツを踊る1
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ある日の夜、夕食を取っていたハルトムートは、申し訳なさそうにヴェロニカに言った。
「ヴェロニカ、また私と一緒に夜会に出席してくれないか」
「ええ、構いませんよ」
ヴェロニカは、笑顔で答えた。
前回参加した夜会は第二王子の誕生パーティーだったが、今回は第一王子の婚約記念パーティーらしい。
本当はもっと前に催されるはずだったが、諸事情があり延期されていたようだ。
前回ヴェロニカが夜会に参加した際は、フリーデを庇ってドレスが濡れるというトラブルがあった為、ハルトムートとダンスを踊れなかった。
今度こそは踊れるといいなと思いながら、ヴェロニカはスープを口にした。
◆ ◆ ◆
夜会当日の夜。ヴェロニカとハルトムートが会場となる王城の広間に入ると、早速フリーデが近付いて来た。
「アイスナー夫人、アイスナー伯爵! よくおいで下さいました」
そう言ったフリーデは、綺麗な青色のドレスを着ている。
「改めて婚約おめでとうございます、フリーデ様。……そのドレス、よくお似合いですね」
「ありがとうございます。アイスナー夫人も、その黄色いドレス、よくお似合いです」
「ありがとう。……私の事は、ヴェロニカと呼び捨てにしてもいいんですよ」
ヴェロニカは、笑顔で応えた。
実は、ヴェロニカのドレスの色はハルトムートが提案してきた。男性がパートナーの女性に自分の瞳の色のドレスを着せるのは独占欲の表れとも聞く。
例え仲の良い夫婦を演じる為であっても、ハルトムートが自身の瞳の色を指定した事を、ヴェロニカは嬉しく思っていた。
三人がお互い挨拶をしたところで、一人の男性がこちらに近付いて来る。
「フリーデ。どなたに挨拶をして……っと」
その男性は、ヴェロニカを見ると、一瞬戸惑った後、笑顔で挨拶した。
「やあ、久しぶりだね、ヴェロニカ」
サラサラの金髪に青い瞳の男性。彼こそ、この国の第一王子であるルートヴィヒ・ハイゼンブルクである。ルートヴィヒは、優しい顔で言った。
「フリーデから聞いているよ、ヴェロニカ。君は、先日の夜会でフリーデを庇ってくれたんだって? あの時僕は側にいてあげられなかったけど、フリーデの婚約者として礼を言わせてもらうよ。ありがとう」
「いえ、当然の事をしたまでですわ」
ヴェロニカも笑顔で応える。
ヴェロニカとルートヴィヒは、学園にいた頃クラスメイトだった。笑顔ではあるが、ルートヴィヒは、ヴェロニカがプライドの高い浪費家のままでいると思っているかもしれない。
「そう言えば、ハインリヒ殿下は参加していらっしゃらないのですか?」
ヴェロニカは、辺りをキョロキョロしながらルートヴィヒに問い掛ける。ハインリヒとは、ルートヴィヒの弟である第二王子だ。
「ああ、弟は、ちょっとね……」
ルートヴィヒは、誤魔化すように笑った。ハインリヒは普段からあまり表舞台には姿を現さない。
ルートヴィヒは側室の子だが、ハインリヒは正妻の子だ。色々と事情があるのかもしれない。
ルートヴィヒの弟のハインリヒに関しては、後ほど詳しく書く予定です。




