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元悪役令嬢は義母に会う1

ハルトムートのお母様登場!!

 ヴェロニカが襲われた件が解決してから二週間が経とうとしていた。そんなある日、朝食を取った後食堂で手紙を読んでいたハルトムートが、眉根を寄せた。


「またあの人は……」

「どうしました? 旦那様」


 ヴェロニカが首を傾げると、ハルトムートは溜息を吐いて答えた。


「実は……私の母がこの屋敷に立ち寄るらしい」


 ハルトムートの母親であるヘルガは元々商人。ハルトムートの父親であるシュテファンが亡くなった後は、伯爵家の仕事を全てハルトムートに任せ、世界中を飛び回って商売をしている。伯爵夫人がする事ではないのだが。


「まあ、お母様が。それで、いつお見えになるのですか?」

「……今日の午後には到着する見込みだ」

「……もう一度おっしゃって頂けませんか?」

「……今日の午後だ」


 ヴェロニカは、執事やメイドと共に、急いでおもてなしの準備に取り掛かる。ハルトムートは、申し訳なさそうに仕事に向かった。


        ◆ ◆ ◆


 そして午後、一台の馬車がアイスナー邸の門の前に停まった。ハルトムートの言った通り、彼の母親がアイスナー邸を訪れたのだ。

 

「まあまあ、あなたがハルトムートの奥さんね」


 屋敷に足を踏み入れた女性が、玄関で出迎えたヴェロニカに向かって言う。


「ヴェロニカと申します。よろしくお願い致します」

「ヘルガよ。そんなに畏まらなくてもいいわ」


 ヘルガは、ニコニコしてそう言った。長い黒髪を後ろでお団子状に纏めている。二十二歳の息子がいるとは思えない程若々しい。


 リビングでヴェロニカとヘルガが話していると、不意にヘルガが溜息を吐いた。


「どうなさいました?」


 溜め息の吐き方がハルトムートと似ているなと思いながらヴェロニカは尋ねた。


「今度、東の国と貿易をしようと思っているのだけれど、私は東の国の言葉が話せないの。それで、通訳を探してるんだけど、見つからなくて」

「はあ……私がボランティアをしている孤児院の子供が東の国の言葉を話せますけど……」

「まあ、本当? ぜひ紹介して」

「孤児院の子供ですよ? そんなに簡単に信用していいんですか?……いや、私はその子の実力も人格も信用してますけど」

「これでも人を見る目はある方なのよ。会わせてくれたら、その子が信用できるかどうかわかるわ。もし信用してうまくいかなかったら、その時はその時よ」


 やはり、普通の貴族とは感覚が違うなとヴェロニカは思った。


「そうだ、ヴェロニカさん。私、久しぶりにこの近くの街で服を買いたいと思っているの。付き合ってくれないかしら」

「ぜひお供させて下さい」


 ヴェロニカは、笑顔で答えた。

さて、この二人は上手くやっていけるのか……。

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