元悪役令嬢は勉学について語る1(生徒視点)
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ドミニク司祭の件が解決して一か月ほど経ったある日の事。ヴェロニカは、孤児院で教壇に立っていた。ボランティアが再開されたのである。
司祭が交代したりとバタバタしていたが、教会や孤児院のスタッフ達の力で、以前と同じように勉強を教える事が出来ている。
「……というわけで、この国の貨幣の価値が下がっている時に輸出すると有益で……」
ヴェロニカの経済学の授業を聞きながら、授業を受けていた少年の一人がカミルに小声で話しかけた。
「……なあ、何で俺まで授業を受けてるんだ? お前は商人になりたいみたいだからいいけど……」
「いいじゃないか。ゲオルクは、将来どういう仕事をしたいか決まってないんだろう?色々な授業を受けてみれば、将来やりたい事が見つかるかもしれない」
「そう言われてもなあ……」
ゲオルクと呼ばれた少年は、カミルと同じ十一歳。褐色の肌をしていて、黒髪を後ろで縛っている。
この世界では、孤児院の子供は基本的に十五歳までには養子に貰われたり仕事を見つけたりして、孤児院から離れていく。しかし、ゲオルクはまだ、自分がどういう仕事をしたいのかわからないでいた。
◆ ◆ ◆
数日後の昼、孤児院の中にいたゲオルクがふと窓の外を見ると、庭でカミルとヴェロニカが真剣な表情で話し合っていた。
「どうしたんだ?」
庭に出てゲオルクが聞くと、カミルが困ったような表情で答えた。
「ゲオルク、ザビーネが、ちょっと困った事になってるんだ」
「ザビーネが?」
ザビーネは、孤児院に寄付をしてくれている男爵家の娘で、現在十歳。綺麗なブロンドと青い瞳をした可愛い女の子だ。孤児院の子供達とよく遊んでいて、ゲオルクもカミルも、ザビーネの事を妹のようにかわいがっていた。
カミルによると、昨日街でたまたまザビーネと会い、話をしたらしい。その時にザビーネから、悩みを打ち明けられたと言う。
「ザビーネは、将来医者になりたいみたいなんです」
カミルが、ヴェロニカに視線を向けて言った。
「医者?」
「はい。でも、ご両親が反対しているみたいなんです。『女の子は、花嫁修業をして良家に嫁げばいいんだ、学問など必要ない』って言って」
「ああ……」
「それで、ヴェロニカ先生にご両親を説得してもらえないかと思って。ヴェロニカ先生は賢いし、身分も高いし……。ヴェロニカ先生、お願いできますか?」
カミルが期待を込めた目で見ると、ヴェロニカは笑顔で答えた
「わかったわ。ザビーネの家に今度伺いましょう」
ゲオルクは、心の中で大丈夫かなと不安に思ったが、口には出さなかった。
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