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元悪役令嬢は数学を教える4

読んで頂けると嬉しいです!

 その日の夜、ヴェロニカはハルトムートにフリーデの話を聞かせた。ハルトムートは難しい顔をして考え込む。


「ヴェロニカはボランティアに精を出していて、特に恨まれるような事はしていないと思うんだがな……。私も政治に関わる身。私の巻き添えで狙われたという可能性も無くはないが、そこまでする輩が私の周りにいるかと言われると……」

「私は学園にいた時、色々と良くない事をしてきましたから、それが関係しているのかも……でも、今になって……?」


 二人は、しばらく無言で考え込んだ。しばらくすると、ふとハルトムートが呟く。


「もしかしたら……」


        ◆ ◆ ◆


 翌朝、ヴェロニカは教会へと足を運んだ。ドミニク司祭が、笑顔でヴェロニカを出迎える。


「これはどうも、アイスナー夫人。本日はどうされました?」

「……実は、最近良くない事が続いていまして、これ以上悪い事が起きないよう神に祈りを捧げようかと思いまして……それと、今日は一人紹介したい方がおりまして」

「紹介したい方?」


 司祭が首を傾げると、ヴェロニカの後ろから一人の女性が姿を現した。ウェーブがかったブロンドの髪の女性。司祭は、彼女を新聞で見て知っていた。


「フ、フリーデ様……!!」


 未来の王妃が突然姿を現し、司祭は驚きを隠せない。


「実は、私はこちらのフリーデ様と親しくして頂いておりまして。この教会の事を話したら、是非訪れてみたいとおっしゃるので、勝手ながらお連れしてしまいました」


 ヴェロニカが言うと、フリーデも頭を下げて挨拶をした。


「フリーデと申します。ヴェロニカ様から、ヘリオス教会がボランティアに力を入れているとお聞きしました。お邪魔でなければ、是非見学させて下さい」

「そんなそんな、お邪魔だなんて! 是非教会内をご覧になって下さい!」


 未来の王妃であるフリーデが寄付でもしてくれれば、教会の経営は随分と楽になる。ドミニク司祭は、笑顔でフリーデを案内した。



 ヴェロニカとフリーデは、司祭の後を付いて礼拝堂を歩く。すると、脚立に上り何やら作業をするシスターの姿が見える。マティルデだ。

 ふと後ろを振り返ったマティルデは、ヴェロニカ達の姿を認めると、脚立から降りてきた。


「こんにちは、アイスナー夫人。……と、フリーデ様!?」


 マティルデも、フリーデの顔を知っていたらしい。マティルデは、慌ててフリーデに挨拶する。


「ところで、何をしているんですか? マティルデさん」


 ヴェロニカが聞くと、マティルデは苦笑して答えた。


「実は、最近ステンドグラスを嵌めている窓の木枠が朽ちてきたので、自分で修繕しているんです」

 見ると、マティルデの側の床に、木で出来た額のようなものが置いてある。

「……特に高級な木材ではない……」


 フリーデが、ブツブツと呟いた。

 その後、マティルダと別れ、ヴェロニカ達はまた歩き始めた。



 しばらくすると、シスター姿の少女がこちらに駆け寄って来る。


「あ、司祭様、少しお話が……あっ!」


 少女は転び、手に持った書類をバサバサと床にぶちませた。


「あら、大丈夫?」


 ヴェロニカが書類を拾って少女に手渡すと、少女は笑顔で礼を言った。


「ありがとうございます、アイスナー夫人」


 話を聞くと、彼女は、マティルダの妹のテア。姉に似た亜麻色の髪に緑色の瞳が綺麗だ。テアは、マティルダより三歳年下の十六歳。賢い少女で、なんと教会の経理のような仕事を任されている。


「落ち着きなさい、テア。フリーデ様もいらしているんだ」

「え!!」


 テアは、フリーデの方を見ると目を丸くして、その後深々と頭を下げて挨拶した。


「それで、話とは何かな?」


 司祭が尋ねると、テアは手に持った書類を司祭の方に差し出して言った。


「この収支の書き方についてなんですが……」


 司祭は、書類を目にすると、眉間に皺を寄せながら言った。


「……ああ、この出費の書き方は……後で教えよう。これは大事な書類だ。すぐに執務室に戻しなさい」

「承知致しました」


 テアはそう言うと、書類を手にして執務室へと立ち去って行った。そんなテアの姿を、フリーデはジッと見ている。そして、フリーデはヴェロニカの方に視線を向けると、コクンと頷いた。

 それに気づいたヴェロニカは、ハッとなった後、笑顔でドミニク司祭に向き直り話し掛けた。


「司祭様。聞いて頂けますか? 実は、私は暴漢に襲われたのですが、その暴漢が捕まりそうなのです」

「え!!」


 司祭は、目を丸くして叫んだ。


「そ……そのような事があったのですね。しかし、襲われてから数日経ったのに、よく犯人が分かりましたね」

「旦那様が街の自警団に、独自に犯人の調査をするよう頼んで下さったようなんです。王家直属の衛兵は忙しくて、中々調査して頂けませんからね」


 目撃証言等から、犯人は地元の犯罪組織の一員と判明。組織のアジトも分かったので、逮捕も時間の問題だという。


「そうなのですね……」


 司祭は、誰とも目を合わせず呟いた。

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