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元悪役令嬢は再会する3

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「フランツ……!」


 クラウディアは、床に倒れ込んだフランツの元に駆け寄った。


「どうして私の代わりにお金を……それに殴られるだなんて……」

「僕は君の婚約者なんだ……当たり前だろう?」

「でも、私は婚約に乗り気じゃなかった。あなたが熱烈にアプローチしてくるし、有力な商人の息子だから、妥協して……」

「それでも、僕は、君と婚約できて嬉しかった。……君の事を、愛しているから」

「……私の性格が悪いって、わかってるでしょう?」


 それでも、フランツはクラウディアの事を愛していた。のんびりした雰囲気のせいか能力を低く見られがちなフランツだが、クラウディアはフランツの知識量や先を見る能力を評価し、立派な商人になれると言ってくれた。

 たったそれだけの事が、フランツは嬉しかった。


「……馬鹿ね、本当に、馬鹿……」


 クラウディアの目には、涙が浮かんでいた。

 それから、騒ぎを察知した両親が憲兵を連れて家に戻ったり、二万ザルツの件を聞いて青くなったりと慌ただしかったが、何とか落ち着いた。

 まあ、クラウディアの行いはともかく、法的に二万ザルツを支払う義務は無いのだが。


 その夜、ヴェロニカとハルトムートはシュナーベル邸の客室に泊まる事になった。政略結婚とは言え、ヴェロニカ達がまだ初夜を迎えていない事は当人以外知らない。客室は、一つしか与えられなかった。

 部屋で二人きりになると、ハルトムートはヴェロニカの方を向いて言った。


「ヴェロニカ、君はベッドで寝るといい。私はソファで寝るよ」

「そんな……私がソファで寝ますから、旦那様がベッドで寝て下さい」

「女性をソファで寝かせるわけにはいかない。……かと言って、二人一緒にベッドで寝るのも不可だ。私の理性が……」


 こっそり別々の部屋で寝るというのも、家族にバレそうで怖い。話し合った結果、ハルトムートがソファで寝て、ヴェロニカがベッドで寝るという事で落ち着いた。


 そして、二人が寝付いてしばらく経った。ヴェロニカは、ふと目を覚ます。喉が渇いた。ヴェロニカは、ハルトムートを起こさないようそっと部屋を出ると、キッチンに向かう。

 食堂を通りキッチンに行こうとしたヴェロニカは、食堂が少し明るい事に気付いた。そっと食堂のドアを開けると、そこにいたのはオリ―ヴィアだった。


「お母様……まだ起きてたの?」

「あら、ヴェロニカ。目が覚めてしまったの?……ハーブティー、飲む?」

「……ええ」


 二人は、無言でハーブティーを口に運んだ。しばらくすると、オリ―ヴィアが口を開く。


「……ねえ、ヴェロニカ。今、幸せ?」


 急な質問に戸惑いつつも、ヴェロニカははっきりと答えた。


「ええ、幸せよ。……ハルトムート様は、私の気持ちを尊重してくれるわ」

「そう……良かったわ」


 それから、オリ―ヴィアはポツポツと話し始めた。

 オリ―ヴィアは、昔体が弱かったクラウディアを甘やかし、ヴェロニカに負担を掛けていた事を後悔していたらしい。

 ヴェロニカが結婚する時も、エドウィンの決めた縁談に口は出さなかったが、ヴェロニカが幸せかどうかいつも気にしていたとの事。


「……ごめんなさい、ヴェロニカ。あなたには色々辛い思いをさせたわね。でも、私もエドウィンもクラウディアも、あなたの事が大好きよ……」

「ええ……分かってる。分かってるわ、お母様……」


 ヴェロニカは、オリ―ヴィアの肩にそっと頭を乗せた。


     ◆ ◆ ◆


「もっとゆっくりしていけばいいのに……」


 翌朝、門までヴェロニカ達を見送りに来たクラウディアが口を尖らせて言う。ヴェロニカとハルトムートは、もうすぐアイスナー邸へと帰る。


「旦那様にも仕事があるし、私にもやる事が沢山あるのよ」


 ヴェロニカは苦笑してクラウディアに諭す。


「ヴェロニカ、ちょっといいか」


 エドウィンが門に出て来てヴェロニカに話し掛ける。


「何でしょう、お父様?」


 ヴェロニカが首を傾げると、エドウィンは目を逸らしながら言う。


「……私は、お前達に貧しい思いをさせまいとして、がむしゃらに稼いできた。しかし、そのせいでかえってお前達を傷つけた事もあっただろう。……悪かった。幸せにな」

「お父様……」


 オリ―ヴィアが言った通りだ。エドウィンは、オリ―ヴィアの事を愛している。


「シュナーベル侯爵、一つお願いがあるのですが」

「どういった事でしょう、アイスナー伯爵?」


 エドウィンが尋ねると、ハルトムートは穏やかな顔で言った。


「実は、アイスナー家のメイドが一人、家庭の事情で辞める事になりまして。よろしければ、そちらでメイドとして働いているアルマをアイスナー家で雇いたいのですが」


「ええっ!!」


 エドウィンが答える前に、ヴェロニカが驚きの声を上げた。そんな話は聞いていない。


「ええ、よろしいですよ。……アルマ」


 エドウィンが振り向いて声を掛けると、エドウィンの後ろからアルマが姿を現した。アルマは、紺色のワンピースを着て、茶色い大きなトランクを持っている。

 用意が良過ぎる。さては、前もって申し合わせてあったな。


「アイスナー夫人、今後ともよろしくお願い致します」


 アルマは、微笑んで頭を下げた。昔からずっとヴェロニカに寄り添ってくれていたアルマがアイスナー家に来てくれたら、こんなに心強い事は無い。


「よろしくね、アルマ」


 ヴェロニカは、満面の笑みで応えた。

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