クマクマベアベア13
進化条件:再■ ■
ラキくんが嫌がってたからね。仕方ないね。
WEB版は瞬殺だったグランドアースドレイクの溶岩弾は書籍版では使ってたり。
残念です。私の体が吹き飛ばされてしまいました。
痛みはありますが、まだ生きてはいます。どうやら大地の銀花がギリギリ仕事をしてくれた様ですね。
ただ、これ以上はもう無理でしょう。意識が朦朧としていますし、収納ゲートを開く集中力もなく、私はこのまま落下死、生きていても青い熊の群れに踏み潰される運命になりそうです。とても残念です。
生まれて初めて熱中できるものに出会えて、これから新しい人生を踏み出せると思った矢先にこれです。全くもってついていない。私は調子に乗り過ぎていたのでしょうか。それとも単に運が悪かったのでしょうか。ともあれ、非常に残念なことですが、どうやら私はここでリタイアに……うん?
「キュルッ?」
「おや、ラキくん。あなたも来てしまったのですか。しかも大きくなっていますし、燃えてもいますね」
気がつけば、私は大きくなって燃えているラキくんの背中に乗っていました。全長は5メートルほどはあるでしょうか。なぜティーナさんのそばにいたラキくんが大きくなって燃えているのかは分かりませんが、特に熱くもないのは私が死んでいるからなのでしょうね。
召喚獣は召喚主が死んだら封印石に戻ると聞いていたのですが、どうやらラキくんは私と一緒に天国に来てくれたようです。炎に包まれた体だというのに温いです。なんだか体の節々が痛みますし、申し訳ありませんがこのまま少しお休みさせていただきましょうか。
「キュル? ピーーーーー!?」
ラキくん。何を興奮して……おや? 青い熊が周囲にたくさんいますね。
これは……ああ、そうですか。私はまだ死んだわけではなく……
「つまりラキくんが、私のピンチに大覚醒を果たして助けてくれたということですか」
「キュルルッ」
ラキくんが頷いています。やはり、そうでしたか。
何故ラキくんが今まで進化できなかったのかが疑問でしたが、ようやく分かりました。ラキくんに必要だったのは私のピンチだったのです。主の危機を察して土壇場で覚醒を果たし、進化する。ラキくんに足りなかったのはそういう危機的状況だったのでしょう。そしてラキくんは見事に試練を乗り越えた。素晴らしいですよラキくん。であれば、私も眠っている場合ではありませんね。
「いけますかラキくん?」
「キュルッ」
「じゃあ行きましょうか」
ラキくんが頷くと、両腕が赤く燃え始めました。コレが私のピンチに覚醒したラキくんの力ですか。
「キュルルルルル、フーーーー、ガッ」
そしてラキくんが咆哮しながら両腕を空中に振るうと、離れていたハーフムーンブルーベアたちの体に爪痕が発生して、そして傷口から炎が噴き出しました。
「「「グマァアアアアアアアア!?」」」
斬られて焼かれる。すごく痛そうです。
今のラキくんの攻撃はもしかしてアレでしょうか。実際に見たわけではありませんが、フルムーンイエローベアの次元爪というヤツですね。ということは、ちゃんと因子を吸収できていたのですね。熊林渓谷でやったことは無駄ではなかったのです。ですが傷口から炎も出ているのは何故でしょうか。
「ガッガッ」
さらに迫り来る後続のハーフムーンブルーベアたちに対してラキくんは口から火の玉を吐いて応戦しています。これは火の玉というか溶岩弾ですね。となると炎を操る因子はグランドアースドレイクのものなのでしょう。
撃たれる前に倒してしまったので見たことはないのですが、後で調べた情報によるとグランドアースドレイクも溶岩弾というブレスの一種を吐けたそうなのですよ。そして溶岩弾の射程距離はラキくんの肺活量依存なのですが、あのサイズであれば私にもできることがあるかもしれません。
「ラキくん。溶岩弾をください」
「キュル? ガァッ、ペッ」
ちょっと汚い? いや、燃えていますし関係ないですか。そして、これを吸引で収納します。
「ありがとうございますラキくん。それでは」
狙いを定めまして……
「コレを撃ちます」
「「「グマァアアア!?」」」
おお、複数体のハーフムーンブルーベアを打ち抜けました。想像通りです。いや、想像以上の威力ですね。これは、いけます。
「ラキくん。ガンガン殺ってしまいましょう」
「フーーーー、ガッ、ガッ」
次元爪(炎付き)を乱れ打ちですね。ガンガン倒せていけていますが、それでも殺到する熊の数は減りませんね。合流したフォーさんも護衛に回ってくれていますが、ラファールさんと御剣さんはあの白黒のボスたちを相手にしていて動けません。パワーアップしたラキくんは青い熊相手ならまとめて倒せるほどお強いですし、時折いる黄色いのは勝手に死んでいくので問題はないのですが、ともかく数が多いのです。
あ、レベルが24に上がりました。
「キュルッ」
「おっとラキくん。申し訳ありません。戦闘中に考え事はいけませんね。おや? おやおやおや。アレはまずいですね」
津波の様に大量のハーフムーンブルーベアがこちらに向かって押し寄せてきているのが見えました。これではまるで獣の海ですね。収納ゲートを周囲に展開して護りを固めても、あの物量では飲み込まれそうです。となれば、いよいよ空にでも逃げ……
「ここで真打登場ぉぉおお!」
「おや、ティーナさん」
収納ゲートを足場に上空へと退避しようとしたところにティーナさんが飛び込んできました。
「良かった。ティーナさんも無事だったのですね」
「まーねー。もうちょっとでシールドが壊れそうだったけど、突貫で仕上げてギリギリ間に合ったわよ」
そう口にしたティーナさんがドローンにいつの間にかはめられた赤い宝石を、迫ってくるハーフムーンブルーベアの群れへと向けました。
「なんですか、それは?」
「ゼンジューローが倒した(?)、ハーフムーンブルーベアの統率個体アスラベアの魔石よね。ランクA相当で魔法具化できるモノだったし、その性能もレツの話の通りだったわけ」
「烈さんの……ああ、探索者100人を殺したというアレですね」
私の言葉に頷いたティーナさんが右腕を振り上げました。
「そう、ソレ。この魔石にそれだけの力があるんなら使わせてもらおうってね」
そう言ってティーナさんがドローンの操縦席にあるボタンに自分の拳を叩きつけました。
「発動しなさい次元爪嵐!」
「「「「「グマァァアアアアア」」」」」
そして私の目の前で、破壊の嵐が吹き荒れたのです。
【次回予告】
台場烈が舞い戻る。
解放された男の全力が竹林を蹂躙し、
至高の筋肉へと手を伸ばす。
されど、それは高く険しい頂。
届かぬ壁がそこにはあった。
故に必要なのは、さらなる理不尽。
そして刻の魔人が降臨する。





