バンブーパンダ05
骨は折れていませんでした。はい。
ダメージは三菱くんに治していただきました。光魔法には軽いヒーリングもあるのですよね。
回復魔法というのは便利ですし、ティーナさんが魔法具として作ってくれませんかね。まあこれまで怪我をしたことはほとんどないので、あまり使わないかもしれませんが。
そしてラキくんは情緒不安定のようです。今も項垂れています。とても可愛いですね。私を殺しかけたことなど気にしなくても良いのですけど。
それはそれとして、道中で若干黒みがかった鉱鎧竹がありまして、烈さんによれば少量ではあるものの、アダマンタイトが地下にあるのかもしれないとのことでした。
気になったので、その鉱鎧竹の生えている地面を解析解除で調べてみたのですが、ものすごい地の底まで根が張っているのが分かりました。
解析解除の射程は100メートルほどで、根はそれ以上伸びていて、範囲内ではアダマンタイトらしいものは感じ取れません。恐らくはもっと奥深くにあるのでしょう。
これは、確かに鉱鎧竹に頼らないとアダマンタイトは手に入りませんね。
ただちょっと妙なものも確認できたのですよ。アダマンタイトと同一ではないのですが、非常に近しい反応が、この鉱鎧竹の根っこの中にあったのです。ただ妙に細いのですよね。なんだか糸みたいな。
「烈さん。この鉱鎧竹からはアダマンタイト以外は取れないのですか?」
「んー。こいつは別にアダマンタイト以外の鉱物も吸収するからな。他の鉱物が含有してる場合には、アダマンタイトと同じように分離すれば取れるとは思うが……ただ、あれみたいな青いのは分離が難しい上に使い道もないハズレって話だったな」
この青い竹にも何かしらの鉱物を含んでいるのですか。とはいえ、感知したのは別のものです。
「ねえ烈さん。アレも採れますよね」
「アレ?」
首を傾げた私に、小島くんが何やら興味深いことを口にしてくれました。
「アダマンストリングっていう金属糸ですよ、大貫さん」
「金属糸……ですか?」
「長いことアダマンタイトを吸収し続けた鉱鎧竹の根っこの中から取れることがある希少物質さ。ほら、こいつだ」
「ほぉ」
烈さんが懐から取り出したのは、金属製のワイヤーでした。とても細く、金属の光沢はありますが黒いです。これがアダマンストリングですか。
「アダマンタイトを吸収する際に根の中に残っていて固まったものですが、頑丈で切れず、烈さんが束ねて持っていたようにアダマンタイトと違って柔軟に曲げられます。だから色々な用途で使用可能なんですよね」
「こうして普通に糸のように使えるのに、こいつの硬度はアダマンタイトそのものだ。アダマンバンブーもこれで括って思いっきり引っ張って切るんだよ。ラキのパワーがあれば、大貫さんたちだけでもアダマンバンブーを切れるんじゃないか」
「キュルッ」
烈さんの言葉にラキくんが反応していますが、細い……ということからビンゴでしょう。この竹から伸びている根の中にアダマンストリングがあります。しかし、何故アダマンタイトの外皮に覆われていない竹が多いこの地下に?
いえ、違いますね。この辺りの鉱鎧竹がアダマンバンブーでないのは、アダマンタイトが地中になかったのではなく、以前はあったが吸い尽くされたからなくなったと考えれば辻褄が合います。となると探せばこの辺りでも結構な数のアダマンストリングが見つかるかもしれません。
「大貫さん。目が円マークになってるところ、悪いんだがよ。アダマンストリングは100メートル近くは掘らねえと見つからねえし、生成されること自体が稀で、手に入れるのは相当難しいんだよ。だから普通に探索して入手できるもんじゃあないんだ」
発見は難しいのですか。まあ、もう見つけてしまったのですが。
とはいえ、ここで地面を掘るのは時間がかかりますし、親しい仲とはいえ、こちらの手の内を見せて回収するというのもですね……ん?
「♪」
ティーナさんが竹からヒュルヒュルと何かを取り出していますね。あれは黒いワイヤー?
あ、ドローンの中にしまいました。誰も気が付いていません。いや、まあ契約上、こちらで手に入れた素材はこちらのものにして良いとなっているので問題はないのですが……もしかしてティーナさん。アダマンストリングを植物操作スキルで直接鉱鎧竹に働きかけて、地上まで運ばせたのですかね?
そんなことが可能なら取り放題じゃあないですか。
「こいつは結構な貴重品だが、大貫さんの財力なら買えるだろ。大貫さんも今後アダマンバンブーを狙うつもりなら、絶対に必要になる。良ければ、売っている店を紹介するぜ?」
「はい、そうですね。それはぜひお願いいたします」
すみません烈さん。その店には、どちらかというと買うよりも売りにいくことになるかもしれません。
【次回予告】
白と黒を身に纏う凶相の獣。
彼の国に忌み嫌われ、
その名を奪われし強きケダモノ。
彼らの腹を満たす餌はそこに、
或いはこちらに。
さあ、喰らおう。喰らいあおう。
捕食者たるは汝か我か。
その答えはもう間も無く。





