バンブーパンダ01
田崎くんの盾:アダマンタイトコーティング製
善十郎の用意する予定の盾:純アダマンタイト製
田崎くんの盾が熔けてしまいました。
私としても大変申し訳なく思ったのですが、自分から願い出たことなのだから弁償の必要はないと田崎くんはおっしゃってくださいました。よくできた若者ですね。
まあ今回の件がうまくいけば、私の『メイン収入はアダマンタイトになる予定』ですから、自分で手に入れたアダマンタイトで作った盾でも用意して、お詫びにお渡しすることにいたしましょうか。壊したものと同じものであれば遠慮されるということもないでしょう。
それと、収入といえば小遣い稼ぎにと考えていた吸引収納で生成したエーテルの売却なのですが、こちらはユーリさんに「なんだか、とんでもなくヤバい予感がする。あーしの直感がマジで危険な香りを感じ取ってる」と言われて止められているのですよね。成分分析をするとのことですので、サンプルだけ持っていかれてしまいました。
ただまったく使用できないというわけではありません。
「はい。フォーフットのタンクは満タンになりましたよフォーさん」
「ニパーー」
前回の遺跡探索で手に入れたフォーさんとの合体が可能な四脚台『フォーフット』に私生成のエーテルを補充しました。
フォーフットはフォーさんと同じハイマナジュエルを搭載して動いていますが、それとは別にあのダークハンズの使用した二連装砲用のエネルギーに使用するためのエーテルタンクをふたつ、左右それぞれに設置されているのです。かなりの高出力らしく、ティーナさん曰く、ハイマナジュエルで賄えるものではないようなのですよね。
一度の補給でそれぞれ三発ずつ撃てるようで、燃費は良くありませんが、ダンジョン内であればエーテル生成は容易ですので我が家の経済を圧迫することはないエコ兵器となっています。こんなものを一般人が所持して良いものなのかとも思いますが、フォーフットを外に持ち出す際に許可は通っているので問題はないようです。
ただ、一般的なエーテルでは反応を示さず、私生成のエーテルしか受け付けないようなのですよね。理由はよく分からないのですが。
「大貫さん。そろそろ出るが、準備はいいか?」
「はい。大丈夫ですが……どうかしましたか?」
近づいてきた烈さんが、周囲をキョロキョロと見ています。
「いやさ。なんかここら辺、魔力薄くないか?」
「ああ、そうですね。ちょっと準備をしたせいですね」
「ふーん。準備ねえ。まあ、問題ないならいいぜ」
烈さんも私が何かをしたのは察したようですが、何をしたのか尋ねてくることはありませんでした。
私もランクF収納スキルについては明かしましたが、詳しい能力までは説明しておりません。烈さんたちも、最初に沢木さんから言われた私と同じように『使えないスキル』であると認識しているはずです。ティーナさん曰く、そうしておけば勝手に別のスキルが強いのだと誤解するだろうとのことでした。
従魔2体持ちが複数スキル持ちと誤認する良いカモフラージュになっているのですよね。
そして現在、私たちがいる場所はランクC指定の上野ゲートを越えた先、ニンジャレイクフォレストという地底湖周辺の林に位置するエリアだそうです。
上野ゲートは上野動物公園の隣の不忍池に発生したので、そこら辺をかけた名称なのでしょう。
熊林渓谷はここから南に進んだ先、存在境界線に近い場所にあるそうです。そんなわけで私たちはゲート付近から移動を開始したのですが……
「烈さん。ニンジャゴブリンが来てます」
「んー、ここはまだゲート近くなんだがなぁ。まあ良いや。小島、お前たちだけでやれるよな?」
「もちろん」
魔獣が近づいて来たため、ゴールドクラブのメンバーが片付けることとなりました。
ちなみに彼らも探索用のサーチドローンを持っているのですが、普通のものではなく、一般人だと購入できない軍用のダウングレードモデルなんだとか。
「あー、羨ましいわね。アレ、暗号・秘匿通信機能や電子戦機能を除けば軍用との性能差はないらしいわよ」
ガジェット大好きなティーナさんが指を咥えて見ております。
「オーガニックに頼んで売ってもらえないのですか?」
「無理っぽいわ。購入じゃなくてリース契約だし。契約がめんどい上に、個人で設定弄れるもんじゃないから私が持ってても宝の持ち腐れだもの。あ、ほら。ゴールドクラブが前に出るわよ」
ゴールドクラブですか。
彼らは全員が20歳前後の、若手のエリートパーティです。
道中の車の中で烈さんに聞いた話では、先ほど盾を熔かしてしまったタンク役の田崎くんと、大柄な女性で切り込み役の内藤さんが前衛。威力、速度、高射程が特徴の光魔法を使う三菱くんと収納空間を利用した万能サポート要員の本丸さん。そして、そんな四人を未来予知という反則的なスキルを用いて統括し、一個の生物のように機能させる小島くんをリーダーとすることで、オーガニックの中でも中堅のパーティにのし上がって来たのだそうです。
平均レベルは25レベルとそこまで高くはない印象ですが、これは実力よりも実動時間の短さからの経験値不足が原因ですね。誰しも運良くドラゴンに続けて遭遇したり、迷宮災害で経験値稼ぎができるわけではないのです。
「なあ、大貫さん」
「はい。どういった戦いをするのか楽しみですね」
「いや、それは良いんだが……とりあえず下がってくれ。本丸が困ってる」
「……あ」
そうでした。私は彼女と100メートルは距離を取らなければならないのでした。こうなるとやはり今後も他パーティとの協力は難しそうですねえ。
【次回予告】
若人たちが挑むは、
未知への探究。
与えられた光は覚醒を促し、
彼らはただ一個の生命となった。
ひとつの戦闘生命体となったのだ。
今はまだ道半ば。
されど、その先は輝く未来に満ちていた。





