ナイトキングダム03
「問題なさそうよゼンジューロー。念の為、解析解除で確認してくれる?」
「はい。確認いたしました。最初に入った時と同じように装飾華美な通路に通じているようですし、恐らくは遺跡のフロント側に戻れると思います」
「じゃあ行くわよ。転移」
おお、一瞬で視界が変わりました。
出た先はあの宮殿内のような通路でした。どうやら戻ってこられたようですね。
ラキくんも、まだ動けないフォーハンズや四脚台も一緒です。
「流石ですねティーナさん」
「まーねー。けど、ようやく抜け出せた。一時はどうなることかと……」
あのまま閉じ込められて、あの仏様のお仲間入りの可能性もありましたからね。なかなかのピンチでした。
「それで、これからどうするゼンジューロー?」
「そうですね。この先に進みたいところですが、さすがに疲れましたし。一度戻った方が良さそうです」
「……確かに、それがいいかもしれないわね」
一応ここまでに何か凄そうな王笏に、フォーハンズの強化パーツも手に入りました。後はティーナさんが確保している宝石ですね。
また、お金になりそうなめぼしい調度品もチェックをしておりますので、それらを持ち帰れば初回の探索の成果としては十分なものになると思います。
ですが今の罠といい、遺跡の広さといい、個人で探索を行うには少々規模が大き過ぎます。正直に言って、探索するならもっと人数を増やして、ちゃんとやった方が良いと思うのですよね。ただ、それはこの第二遺跡の完全な独占を失うということでもあるわけで……
「どうしたのゼンジューロー。難しい顔をしているわよ?」
「あ、はい。そのですね。今後の探索についてなのですが、先ほど話した通りに専門の人や、後は探索する人数を増やした方が良いのでは……と思ったのです。まあ結局はユーリさんに相談をして、オーガニックに協力をお願いする形になるでしょうが」
「んーー」
「駄目でしょうか?」
ティーナさんが眉をひそめています。
「いや、さっきは私もそう考えていたし、ユーリは信頼できるからね。最終的には良いと思うわよ」
「最終的には……ですか」
「そうね。遺跡探索の専門家を呼ぶのはありだと思うのよ。ただクランに頼むとなるとやっぱり主体はクランの側になっちゃうでしょ。まずは守秘義務契約をしてフーカ辺りを借りた上で私たちで何度か探索をして、ある程度のめぼしいものを回収した後で協力してもらう感じの方が良いかなーと」
「なるほど」
そうですね。ティーナさんの指摘はもっともです。今あるアドバンテージを放棄するような考えは最高の探索者を目指す者らしくありません。
罠や不意打ちが続いて、私も少々怖気付いていたのでしょう。ふふふ。まったく、私は自分で思っていた以上に弱い人間なのかもしれませんね。
「それとゼンジューロー、今後のことの前に、直近の問題がひとつあるわ」
「なんでしょう?」
「入り口が閉まっていて帰れないわよね。アレって開けられるのかしら?」
確かに、この第二遺跡の入り口は閉じられていましたね。
「そうですね。一応出る方法は考えていますよ。それに先ほどの壁の穴を見る限り、ソーラービームでもいけるかもしれません」
想像以上の火力でしたので、扉も同じように穴を開けることは可能でしょう。そうして空間が繋がれば脱出もできるはずです。
「でも、もう撃っちゃったわよね? アレって吸引で集めたものだから予備もないでしょ?」
「はい。ですが、光ならばここにもありますので」
「光って……太陽光じゃないけどいけるの?」
ふむ。確かに光量を考えれば厳しそうですが……一応試してみましょうかね。
「まあ、お試しということで、とりあえずやってみましょうか。吸引『光』」
吸引先を指定を口にするのは絶対に必要なものではありませんが、声に出した方がしっかりと認識できる気がします。そしてこの場の光を吸い込み始めたのですが……
「おや、急に暗くなりました?」
「ちょっと、ゼンジューロー見えない!?」
「フーーーーッ」
おやおや、何が起きているのでしょうか。
そう思っているうちに再び通路の灯りが点きました。それに十秒と経たずに収納空間の中がいっぱいになったようです。
「い、今のって光を吸い込んだからよね? ゼンジューロー、光溜まったの?」
「キュル?」
ティーナさんの問いに、私は戸惑いながらも首を横に振るしかありませんでした。
太陽光ほどの威力の光が集まるとは思っていませんでしたが、結果は私の想像とはまったく異なるものとなったようです。
何しろ、吸引収納空間に貯まったものは光ではなく……
「ゼンジューロー、避けて!?」
「はい?」
直後、私の視界に大きな刃が映りました。
【次回予告】
憎悪の種は再度芽吹き、善十郎へと襲いかかった。
それは叛逆の騎士にして裏切りの機士。
血すら通わぬ冷たい体の彼らは何を望み、
砲身から放たれる黒き牙は何を穿つのか。
そして、地の底より災厄の覚醒が始まる。





