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【書籍2巻1/15発売】収納おじさん【修羅】 〜再就職で夢の探索者生活。ペットボトルサイズの収納スキルでダンジョンを爆速で攻略する〜  作者: 紫炎
第六章 迷宮災害編

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メイズハザード04

 鴻巣市に到着しました。

 ラキくんに乗って道路を全速力移動するのはダンジョン内とはまた違う爽快感がありますね。やはり舗装された道路というものは偉大です。ラキくんがまるで風のようでした。素晴らしい。

 これもユーリさんが私に緊急時における特別探索者権限を与えてくれたおかげです。平時でラキくんを乗り回していたら即逮捕になります。いつかラキくんが自由に走り回れる時代になってほしいものですね。

 ともあれ鴻巣市に到着したわけですが、市内にはやはり魔獣がおりまして、遭遇したのはランクEクラスのソードアントという、蟻の形をした魔獣でした。

 基本的に虫も植物も魔獣に分類されるのですよね。そして、ソードアントの強さですが……


「ふーむ。思ったほどではないですね」


 近づいてきたソードアンドを空気弾で仕留めましたが、普通に甲殻を砕けましたし、それほど厄介な相手ではないようです。

 先ほどの道路の渋滞最後尾に襲いかかろうとしていた個体もラキくんが走りながら蹴散らしましたし、ここに来るまでにもいくらかのソードアントを潰して回ってもいます。

 シーカーデバイスのカメラはいつも通りに録画していますので、後ほど功績に準じて報酬も出るはずですが……このソードアントというのはやはり一体一体はそれほどの強さではありません。


「ゼンジューロー。それはゼンジューローがあの甲殻を砕く手段を持っているから言えることよ。そこそこ硬いから普通に戦ったら結構苦労しそうなのよね?」

「ああ、なるほど。確かにそうかもしれません」


 私も素手でこれを倒せと言われても無理でしょう。剣や槍でもやはり難しそうですね。ラキくんやフォーハンズに押さえてもらってハンマーで叩きつければ、どうにか……と考えれば確かに脅威かもしれません。こうした相手は一般人では対処が難しいでしょう。

 ふむ。慣れた頃が一番危ないのは、どのお仕事でも同じです。油断はしないように致しましょう。


「それよりもゼンジューロー。あっち、ちょっと不味いかもしれないわ」


 そう言って、ティーナさんが指差した方角にあるのは、私も昔いったことがある施設でした。


「あちらにあるのは……免許センターですね。確か要塞化して緊急の避難所にもなっているという話ですが」

「うん。今サーチドローンで上空から確認したんだけど、一塊になった群れが向かってるみたい。多分だけど、あの場所でソードアントを殺し過ぎたせいじゃないかと思うわ。あの魔獣は死ぬと臭いを発して仲間を呼ぶから」

「そういう性質を持っているのですね」


 倒すと仲間が呼ばれるならすぐに移動すれば良いわけですが、免許センターを守るためにはあの場に留まって戦い続けているのであれば、性質を知っていたところで対処できるものではありませんか。


「であれば……ラキくん。ひとまずはあちらに向かってください」

「キュルッ」


 私の指示に従ってラキくんが方角を変えて走り出します。フォーハンズもバッタのように飛び跳ねて追走してきます。


「シーカーデバイスの通知だと国防軍がいるみたいよ。まあ、一般市民を守るのは彼らの役割だし、探索者は外に広がるように散った魔獣を追って距離が離れてるから増援は無理そうかな。ほら、こんな感じ」


 ティーナさんが専用の小型デバイスを操作して私のメガネ型デバイスにも現在の戦況を表示してくれました。私は難しいことは分からないのでティーナさんにお任せしていますが、小型デバイスもメガネ型デバイスもシーカーデバイスを経由して繋がっているそうです。

 そうして表示されたのは確認された魔獣の動きと、この地域にいる探索者の配置ですね。名前までは分かりませんが、国防軍や警察などの所属も出ています。


「さて、進行方向に沿ってはおりますし、ひとまずは向かうことにしましたが、国防軍の方たちだけで撃退はできますかね?」

「できるかもしれないけど、できなかった場合は後ろの避難所が危ないかな」


 確かにティーナさんのいう通り、あの場に避難している数千人の方達が魔獣に襲われることになりますか。見えてきましたね。


「うーん。やっぱり数が多いわ。100体以上はいるんじゃないかしら。防衛側は30人くらいしかいないわね。うまく捌ければ良いけど、群れに呑まれたら厳しいと思うわよ?」


 国防軍の探索者ですか。

 覚醒施術を受ければ必ずしもスキル持ちになるわけではありませんし、スキルを所有していても遠距離攻撃や範囲攻撃に特化したスキル持ちは少ないそうです。

 そもそも有用なスキル持ちなら公務よりも普通に探索者として活動した方が儲かりますし、軍に残ったとしても特殊部隊に引き抜かれます……と、先週見た国防軍24時で説明されておりました。

 なのであの場にいる方々の実力がそれほど高いとは思えません。


「そうですか。なら、横取りになるかもしれませんが、こちらから手を出させていただきますか」


 ユーリさんのところに向かうのが遅れますが、人命優先ということで後で謝罪しておきましょう。さっさと片付ければそれほどタイムロスにはならないでしょうしね。

【次回予告】

 蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲。

 蟲がいる。蟲が蠢いている。

 それらが向かう先は餌の蔵。

 同胞を殺した敵の根城。

 同胞の死臭を辿り、蟲たちは進群する。

 彼らの内に感情はなく、ただ己の行動のみがその発露であった。

 同胞を殺した餌を喰らい、その腹に収める。

 それこそが彼らの怒りの体現であり、

 本能に根ざす生存のための流儀であるのだ。

 故に向かう。殺すために。喰らうために。滅ぼすために。


 そして、その光景を男は視ていた。

 まるで虫ケラを見るかのような冷たい眼差しで、

 ただ、じっと視ていたのであった。

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収納おじさん【修羅】の書籍版2巻はアース・スターノベル様から2026年1月15日に発売です。
WEB版ともどもよろしくお願いします。

収納おじさん書影

【収納おじさん2巻特集ページはこちら】
【収納おじさん1巻特集ページはこちら】
キャラクター紹介や試し読みが見れます。
― 新着の感想 ―
多分銃器を使ってるだろうから事前に連絡して位置を調整しないと背中から撃たれそう。
増援に文句を言うような奴は流石にいないでしょうな ただレッサーパンダに乗ったおじさんが助けに来るのは流石に驚くでしょうがw
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