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【書籍2巻1/15発売】収納おじさん【修羅】 〜再就職で夢の探索者生活。ペットボトルサイズの収納スキルでダンジョンを爆速で攻略する〜  作者: 紫炎
第六章 迷宮災害編

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メイズハザード01

「というわけで明日にでも遺跡探索に向かうとしましょう」

「乗り気ねゼンジューロー」

「元々遺跡は探索予定でしたし。それがグランドウィンドドレイクとの戦闘で延期になっているだけでしたからね。実際には予定通りではありますよ」


 あの様子では他の探索者に横取りされる可能性は低いと思いますが、邪魔が入る前に探索しておきたいのですよね。


「まあ、確かに。それじゃあ明日にでも……うん?」


 BYYYYYY


 おや。話している途中でシーカーデバイスのアラームが鳴っています。これはアレですね。Mアラート。迷宮災害が発生する際に鳴らされるものです。


「フーーーーッ」

「大丈夫ですよラキくん。このアラームの音ならここらで発生しているものではありません。それにしても迷宮災害発生ですか」


 この迷宮災害とは今より二十年ほど前から起こるようになったもので、要するにあちらの世界に通じるゲートが発生する災害です。発生原因を取り除かないとゲートが定着して閉じなくなります。私が通っている秩父ゲートや川越ゲートなども例外なくそのように生まれているわけですね。

 また発生した際には、多くの場合はゲート先から魔獣の群れが押し寄せてきます。私の前職であった会社は、そうした迷宮災害の被害を受けてダンジョンに拒絶反応を持つ方々の受け皿の面がありました。なので社内ではダンジョンに関しての話題が厳禁だったのですね。

 私は普通に先輩のコネで入社しただけで、特に迷宮災害に遭遇したわけではありませんが。

 また場合によってはランクAを超える危険な魔獣がやってくることもあります。

 日本国内では厄災級、国際的にはランクDi(ディザスター)と指定されているランクの魔獣は世界を捻じ曲げ、自身に適応した環境に周囲を変容させる能力があるそうです。

 これはあちらの世界を地球上に再現させてしまうもので、ある意味では現在地球は異世界に侵略され続けていると言っても過言ではないのかもしれません。

 まあ日本は国内全ての地域の発生を常時感知可能ですし、発生してもこのようにMアラートが鳴って注意を促してくれます。また探索者や国防軍が即座に動くスキームも確立していますので現在では被害は最小限に抑えられてもおりますね。


「ゼンジューロー、兵庫と秋田と青森に同時発生だってニュースでやってるよ」

「そうですか。やはり近場ではないのですね」


 迷宮災害は予兆もなく、常に複数箇所同時に発生するのが厄介なところです。それは日本国内だけではなく、世界中でほぼ一斉に数十から百近くも発生するのです。

 また対処可能な上級探索者は災害対応への参加義務があり、それは発生地点に近い探索者も同様となっています。ダンジョンに潜っていたり、入院していたりでもしない限り、最悪はライセンス剥奪の可能性もあるそうです。

 これが人間兵器のような探索者が大手を振るって国内を自由に動ける理由のひとつでもありますね。ある程度の戦力を分散配置させておかないと対処が遅れてしまうのですよ。とはいえ……


「埼玉県内に発生はないようですね。まあ、あっても私にお呼びがかかることはないのでしょうが」


 発生したのが近隣でなければ、探索者に迷宮災害への対応義務はありません。ましてや私のような探索者になって半年未満の新人は一般人と同じ扱いになるので、近隣で発生したとしてもそもそも参加できません。

 免許取得半年後に実地試験を受けて若葉マークが取れることでようやく本採用となり、それから参加許可が下りるのですね。


「こうなるとユーリさんは今日帰ってこないでしょうね」

「上級クランだと県を跨いでも参加しなくちゃいけないものね。ま、ユーリなら大丈夫でしょう」


 ティーナさんの言う通り、ユーリさん率いるオーガニックは上級クラン。今回発生したどこかの迷宮災害に参加することになっているはずです。

 まあ、彼女たちは上級クランの中でも上澄みですので心配はありません。数日後には元気な姿で帰ってきてくれることでしょう。


 ……などと思って私が呑気に明日の準備をしていると、Mアラートから一時間ほど経ってシーカーデバイスにコールがありました。


「ゼンジューロー、電話ー。ユーリからみたいよー」

「ふむ。今夜は帰ってこれないとの連絡でしょうか。ユーリさんも律儀ですね。それどころではないでしょうに。はい、もしもし。大貫ですが」

『あ、おじさん。良かった。繋がった。今家にいる?』


 おや? ユーリさん、お慌てのようです。

 まあダンジョンに潜ってるのでもなければ、基本スマホもシーカーデバイスも普通に通話はできますけどね。

 ちなみにシーカーデバイスはダンジョン探索中はAIの判断で音が出るか、バイブレーションか、また音量なども状況に応じて判断してくれます。便利な時代になったものです。

 ともあれ、ユーリさんが慌てています。何かあったのでしょうか。


「はい、ホテルにおりますよ。忙しないようですが、どうかしましたかユーリさん?」

『うん。おじさんも今、迷宮災害が発生してるのは知ってるよね?』

「もちろんです」


 日本国民どころか世界中に知れ渡っていることでしょう。しかしユーリさんの慌てようからして今日は帰れないとかそういう話のようではなさそうですね。だとすると、これは……


『だったらおじさん、悪いけど手伝ってほしいことがあるんだー』


 やはり、トラブルの予感ですね。

【次回予告】

 わずかなズレ。意図せぬ遅延。

 ただそれだけで万全のはずの盤上は児戯のソレに貶められた。

 ただそれだけで絶望は広がり、阿鼻叫喚たる地獄が生まれた。

 故に人の道を歩まんとする犬は立ち上がる。

 悲しみを祓うために、嘆きを笑顔に変えるために、

 赤き悪魔に跨がり、大地を闊歩せんと男は立ち上がった。

 その口元に獰猛な笑みを浮かべながら。

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収納おじさん【修羅】の書籍版2巻はアース・スターノベル様から2026年1月15日に発売です。
WEB版ともどもよろしくお願いします。

収納おじさん書影

【収納おじさん2巻特集ページはこちら】
【収納おじさん1巻特集ページはこちら】
キャラクター紹介や試し読みが見れます。
― 新着の感想 ―
東北のほうかな?秋田と青森は近いし高ランクのクランが分散されて人手不足とかかな。いや雪で交通がマヒしてるとか?
おや、遺跡探索はまたしても延期なようで おじさんにも救援を求めるほどとは結構ヤバいか?
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