第22話
毎日暑いですね。夜冷房をつけました。皆様も身体に気を付けてください。少しだけ時間ができたので続だけ更新しました。
ラナが呑気にお菓子をクマなおじさんと食べてる頃、ラナが居なくなった事に、気付いた殿下が慌てて捜していました。
ラナに付けている鈴を発動させたが近くに居なかった。初めはその辺に抜け出したと思っていた。
どうも、情報を集めるとラナが攫われたのが確実になった。
私の側が嫌なのか?お菓子が気に入らなかったのか?殿下は自分の考えに死にそうになってます。
チーリス時代も、気に入らないと不意に行方不明になった。
だからそうだと勘違いしていた自分のミスだ。
行方不明になると、心配で夜も眠れなかった。
唯一の癒し、自分の心臓だと思うチーリスのラナ。
亡くした時には絶望を感じた。チーリスのラナの元に行きたかった。
それも許されず、何も興味が持てず灰色に染まった世界で、淡々と暮らしていた日々。
ラナに会えた瞬間に世界に色が戻った。2度と失いたくない!
ラナは私の命だ!失ったら……生きていけない。
段々、暗い表情になっていく殿下に周りが心配しています。
チーリスのラナは、暑苦しい殿下の構いたがりに嫌気がさして抜け出していたのだが、その事実を本人は知らない。
殿下は気付いていなかったが、チーリスのラナは殿下以外からも食べ物をもらっていた。
食べ物に関してだけは、賢くなるチーリスのラナだった。可愛い仕草で、他の人達からよく餌をゲットしていた。
脳みその少ないチーリスのラナは、お腹が減ったり殿下にべったりされると逃亡していた。餌を求めて彷徨っては、他所からもらっていたのだ。もらえる人が見つからないと、それを忘れて殿下にねだりに戻って来ていたので、気付けなかったようだ。
「ラナを無事に連れ戻すんだ!私からラナを奪うとは許せない!ラナに付けた鈴で早く捜せ!」
殿下の言葉に攫われたラナ様を、早く助けなければと、殿下付きの者達の心がひとつになった。
実際、ラナが執務室小部屋暮らしになって、仕事の効率が格段と上がり、周りの者達の評価はうなぎ登りに上がりつつある。もうひとつは殿下の無表情だった顔が穏やかになって、見た者全員が安堵したことだろう。
「はい!殿下!急いで足取りを追っています。今少しお待ちください」
騎士が、ラナを捜しに駆け出して行った。アルフォンス殿下の護衛に残った数人の殿下付きの騎士が、顔色の悪い殿下を心配していた。
チーリスのラナを亡くした時から、結婚する気も、王位さえも要らないと拒絶していた。
無表情の無関心を貫いてきた殿下が、ラナを拾ったその瞬間から、楽しそうな声と笑顔が戻ったからだ。
「……ラナ、無事でいてくれ。前みたいに消えないでくれ」
殿下の、握り締めた手に血が滲んでいた。
「……殿下」
アルフォンス殿下の悲痛な声を聞いた皆は、早くラナが無事に帰ってくる事を願った。
あの、チーリスのラナを亡くした時のアルフォンス殿下を見たくないと。
チーリスのラナにだけは、幸せそうに微笑んでいたあの殿下に戻って欲しいと!
「殿下!場所が特定出来ました。地下牢に反応があります!」
駆け込んで来た、騎士の言葉に驚いていた。
「見慣れない者達が、地下牢の入り口に出入りしているのが判明しました!入り口が開いています」
騎士達の報告に、アルフォンス殿下の顔が険しくなりました。
普段は閉まっています。秘密の地下牢を使う事の出来る人間も限られているからです。
王族か、宰相、大臣数人しか場所を知りません。
それに、地下牢が使われた話をここ数年聞いていない。
報告が行われていないのです。
「犯人を捕まえたいが、それよりもラナの救出が先だ!慎重に行け!私も行く」
「「「はい!殿下!」」」
数人の騎士達が、ラナの救出に向かいました。
「しかし、殿下、一体誰がラナ様を地下牢に?」
「今、入り口の鍵を持っているのは私を含めて5人だ」
「私は今から地下牢に向かう。これを使って鍵の使用を誰がしたか調べてくれ」
そう、入り口には、王族しか知らない魔道水晶が置いてある。特別な鍵を使い、誰が通ったか記録してあるのだ。
「はい、殿下お任せください」
「今から助けに行く、ラナ無事でいてくれ!」
アルフォンス殿下が、ラナを助けに地下牢に向かいました。心配で押し潰されそうな殿下とは対称的に、呑気にお菓子自慢をしている、小動物令嬢ラナなのでした。




