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62.モラン家

===== Kota =====


 セグンダという中心から2番目の壁を越えると、そこは王宮でした。王宮の外に馬を繋ぎ、自転車を置いて、僕とロラは王宮に入る事になったんだけど……


 ドドドドドドッ!


 大きな足音が遠くから響いてきて、白いゆったりとした服を着ている3人の男の人が僕たちの前に現れた。


「わわわ、何? 何?」

「コータ、大きい人です!」


 思わずびっくりした僕とミントだったけど、ロラだけは落ち着いていた。


「父上! 大兄上おおあにうえ小兄上ちいあにうえ! ただいま戻りました」


 3人の大きい人……僕たち家族からすると大きいロラが、小さく見えるほどの巨人3人の男は、キキーっと音を立てるような感じで、僕たちの前で止まった。


「ロ、ロラ! ……おかえりなさい」


 顔にシワが多いので、多分、ロラのお父さん。この人が最初にロラに話しかけ、


「ロラ! よく戻った!」

「ロラ! 変わりは無いか?」


 ロラのお兄さんと思われる二人も口々にロラが帰ってきた事を喜んでいる。


「して……その子か……ふむ、ここじゃ話しにくい。まずは、うちに帰るぞ!」

「えっ?」


 僕とミントはロラのお父さんに抱き上げられ、ロラは二人のお兄さんに持ち上げられ……もの凄いスピードで元来た道を走る。ロラのお父さんは僕を怖がらせないよう、優しく抱えてくれてはいたんだけど、とにかく高い。


「怖い! 怖いです! ヒィィー」

「コータ……お世話になりました……ガクッ」

「兄上、恥ずかしいです。おろしてくださ……」


 ガンッ!


「い、いたーい!」


 僕とミントは騒ぎながら、ロラはどこかにぶつかりながら、僕らは知らない屋敷まで連れて行かれた。


----------


「「「おかえり、我が家へ」」」


 あっという間にロラの家まで連れて行かれてしまった。ロラは大きく溜息をつくと、


「もっとのんびりと帰宅させて欲しいものなんだが……」

「だが、そんな事を言っていると、ロラはいつも家に寄らずに出発しちゃうじゃないか」

「俺も久ぶりにロラと遊びたいんだよ!」

「兄上は2年前に遊んだだろ……次は俺の番だ!」


「「「それに!」」」


 そこで3人が声を揃えて……


「「「ロラに子供が出来たって聞いて居ても立ってもいられなくなったんだ!」」」


 あ、あー。僕が余計な事を言ったのが伝わったのかな?


「ロラ、その子が……その子がわしの孫なのか……」

「伯父さんと呼んでくれないか」

小伯父ちいおじさんと、俺の事は呼んでくれ!」


 ロラのお父さんとお兄さん達が僕に迫ってくる。怖い……


ガン! ガン! ガン!


 ロラが拳骨で殴りつけた。


「いい加減にしてください。こんな大きな子供がいるわけ無いじゃないですか!」

「そ、そうなのか? 俺の孫だから、すぐ大きくなったかと……」

「なるか! コータは12歳ですよ! 私が9歳の頃に産んだとでも?」


 ようやく、そこでロラのお父さんも理解してくれたようだ。よかった。


「す、すまん。マルティナが王宮に駆け込んできて、『ロラが子供を連れてきた!』と騒いだのでな……てっきり」

「冷静に考えれば分かるはずです」

「「「すみません」」」


 やっとみんな落ち着いた。


「変な騒ぎになってゴメンなさい。僕はタナカ・コータです。こいつはミントです」


 ミントもぺこりと頭を下げる。


「ロラの父、セリノ・モランだ。この二人がわしの息子だ」


 そう言って、セリノさんがロラのお兄さんも紹介してくれた。


「さっき、僕がロラの事をふざけてお母さんって呼んじゃったんです。でも、こんなに大きいおじいちゃんや伯父さんがいたら面白かったな」


 日本のおじいちゃん、おばあちゃん……元気かな。伯父さん《にぃにぃ》や、従兄弟たちにも会いたいな。僕は家の事を思い出して鼻の奥がツンとしてきたんだけど、


「お、おじいちゃん……」

「お、おじ……」


 僕の様子には気がつかず、セリノさんと二人のお兄さんは顔が真っ赤になり、フニャフニャな表情になってしまった。


「い、いいぞ。ここにいる間は、わしの事をおじいちゃんと呼んでくれても! この際、モラン家の子供になるか? モラン家の財産、すべてやっても良いぞ!」

「お、伯父さんともう1回呼んでくれ! モラン家の財産なんて、ほとんど無いが、俺の分もやる!」

「兄上だけズルい! 俺も、俺もおじさんと呼んでくれ! 俺の小遣いだったら、全部やるから!」


 なんか、ロラによく似た家族でした。


----------


「よし、わかった! 問題ない、コータはロラの子供で、わしの孫じゃ。このまま一緒に王宮に向かおう!」


 どう説明するか悩んだんだけど、ロラが大丈夫だ、任せておけって、そのまま僕たち家族の話をしてしまった。セリノさんは、それを聞いて、僕とロラを王宮まで連れて行く事になった。


 ちなみに、その話の間、僕はセリノさんの膝の上でずっと座らせられていた。


「お前たちもいいな。俺たちモラン家は王位に就く気持ちなんかサラサラないが、コリーノ家の出来損ないを王位に就ける訳もいかん。この国のため、そしてわし達の可愛い家族のため、全力をもって協力しよう!」

「問題ありません父上!」

「はい!」


 セリノさん……どうやら、僕はセリノさんの孫という事に成ったので、セリノおじいちゃんと呼ぶ事にしたんだけど……セリノおじいちゃんは、リリィが王様になるのは嫌じゃないみたいだ。


 という事で、僕は改めてセグンダの内側に入って王宮の中へ入りました。


「ああ、久しぶり……ん? さっきあったか。まぁよい。ほれ……この子は可愛いだろう。わしの孫じゃ!」


 セリノおじいちゃんは、会う人会う人に僕を紹介してくれた。みんなニコニコしながら挨拶をしてくれる。でも正直、止めて欲しい。


「もうすぐ王宮の中にある聖地ヒドロシノ神殿だ。王宮の中なので、そんなに大きくは無いが……」


 そう言いながら歩い行くと前から、男の人が歩いてきた。


「此れは此れはモラン殿下。ロラ殿下。ご無沙汰をしております。今日は……神殿にご用ですか?」

「これはカニ殿、いや、わしの孫が王宮を見学したいと言っての。いろいろ見せて回っているんじゃよ」

「ほう」

「ほれ、コータ。挨拶しろ。司教のカニ殿だ」


 孫として挨拶しろって事なんだろうな。


「こんにちは! コータです。祖父と母がいつもお世話になっています」

「聡明そうなお子さんですね。この先はヒドロシノの神殿しか無いのですが……聖地もご覧になっていきますか?」

「是非、そうしようと思っていた所なんじゃよ」


 真っ赤な顔をしていたセリノおじいちゃんはすぐ表情を戻して、カニさんに返事をした。


「そうですか……」


 カニさんは少し考え、


「待機していた王族も、救世主様発見のご連絡を受け戻られましたし、今は誰もいないと思いますが、誰か呼んできましょうか? あと、コータ殿下、その……犬は可愛いのですが……できるだけ見つからないように」

「どうかお構いなく、わしらも少し見てすぐ戻るから」

「ごめんなさい、ちゃんと抱っこしておくので、ご迷惑はお掛けしません」


「そうですか。それでは……はて、モラン家のお孫さんとは……?」


 カニさんは頭を下げ首を傾げならが、歩いて行った。


「あいつはマシアス商会側の人間だから、コータも注意しろよ」

「はい」


 カニさんが見えなくなった後、おじいちゃんが厳しい顔で僕に教えてくれた。そんなに悪い人には見えなかったんだけど、人は見かけによらないって事なのかな。カニさんて変な名前だ。


 僕たちはそのまま神殿の中に入り、奥にある光のカーテンの前まで来た。


「おじいちゃん、ありがとう」

「すぐ戻ってくるんじゃろ。必要な事があれば何でも言ってくれ。そうだな……そこの……」


 そう言って、光のカーテンのすぐ横に机にある壺を指差す。


「壺の中にでも手紙でも入れておいてくれれば、わしに届くよう手配しておこう」

「ありがとうございます!」

「何、可愛い孫のためじゃ。ロラはコータや、コータのご家族に最後まで付き合ってやれ」

「もとより、そのつもりです」

「そうだろうな。お前にとっても可愛い息子だろ」

「父上……」


 ロラが顔を真っ赤にしている。


「落ち着いたら、コータの父君、母君、姉君にも会いたいものだ。是非、みんなで遊びに来てくれ」

「はい!」


 こうして僕とミント、そしてロラは一緒に光のカーテンの中へ入った。

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