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現代っ子鎌久さん

 いろいろあった一日を何とか乗り越え、俺は自宅へと帰宅している。


 今日は本当にいろいろ大変だった。朝から話しかけてきた河野さんのおかげでいろいろ質問されるわ噂されるはで結構な心労を負った。


 しかし前日に徹夜したわりには疲労がたまっているわけではない。というか、身体は全く疲労していない。もうずっと起きているわけで健康にはよくないと思うんだけどな。


 鎌久さんは大丈夫だろうか。多分大丈夫だとは思うのだけれど、一応急いで帰ろう。


 そういうわけで、急いで帰宅、自室に向かうと、鎌久さんがパソコンで何かゲームをしていた。あれは、ちょっと前に有名になったFPSゲーじゃないか?


 しかし、鎌久さんの動きが普通じゃない。まるでプロかというほど精密な動きで次々と敵を打ち抜いていく。


 俺もこのゲームはやっていたことがあるが、あまりうまくはなれなかった。2か月やったにも関わらずだ。


 鎌久さん、まだうちにきて一日目だよな。信じられない成長速度だ。……本当に人間か?


 昔風にいうならいと信じがたしってやつだ。


 部屋に入ってきた俺にも気づかないくらいに集中しているようだ。邪魔しないように見守ろう。


 鎌久さんは、判断はまだ未熟なところがあるとは言えども、圧倒的な技術で敵を圧倒。100人の試合中、1人で40人以上を倒し、トップとなった。すると、鎌久さんは振り向いてこちらを見る。どうやら気が付いていたらしい。


「お帰りだ、奏多殿。このゲームというものはなかなかに面白いな! 爽快感満載だ!」


 多分、それはあなただけですよとは言うまい。一人でバトルロイヤルのプレイヤー4割を打ち取っていたらそりゃ爽快に決まってる。普通はそんなことできないけどな。


「よかったじゃないか。どうだ、現代の利器は」


「聞き及んではいたが、素晴らしい世界になったものだ。何としても、天使共から守らねばならない文明だと感じたぞ」


 天使、な。文明を滅ぼそうとする天使。まだ実感がわかない。それよりも、目先の危機だ。


 迷宮氾濫。そして世界最悪の犯罪組織。これから日本、そして世界を守らねばならない。強く、ならないとな。


「そうだ、奏多殿、迷宮に入るには探索者の登録が必要なのだろう? 登録したぞ」


「……どうやって?」


 申請どうやって通したんだ? 住所とかいろいろ書かなきゃいけないことがあったはずだが。


「お母様に頼んだ」


「えぇ……」


 いや、それで出来たら苦労しないし、他人の家の子なんだから申請するなよ。……まぁ実際違うが、母さんはそう思ってるはずだ。


 後で何をやったのか聞いてみるか……。


「と、いうわけだ。今から迷宮に行こう」


「今から?」


「そうだ」


 すると、鎌久さんがこちらに手を伸ばしてくる。そして、鎌久さんの手が俺の肩に触れたその瞬間。


「『刻圧』」


 視界が切り替わり、どこかのダンジョンの改札の前にいた。


「ここは?」


「詳しい地名は知らないが、氾濫を起こす迷宮だ。今日はここの魔物の対策をしよう」


 どうやら地名は知らないらしい。後で調べることに……。いや、鑑定様の出番だな。


【博多ダンジョン】

・攻略されたダンジョン

・ダンジョンは遺跡タイプ

・F~Aクラスの魔物が出現

・出現する魔物 スライム【F】、ゴブリン【F】、ビックワーム【E】、ジャイアントモスキート【D】、ジャイアントマンティス【C】、ダークスパイダー【B】、ジャイアントキラービー【B】、デスマンティス【A】


 博多。博多ね。なんか暑いなと思ったら九州かここ。どうりで。で、帰りどうすんの?


 というかこのダンジョン、そういう系のダンジョンなのか。虫系、鎌久さんは大丈夫なのか? ちょっと聞いてみようか。


「ここは虫系のダンジョンらしいけど大丈夫なのか?」


「対策のためにここに来たということはどういうことか、わかってほしい」


 鎌久さんは目をそらしながらそう言った。ふぅん。つまり苦手ってことね。


「まぁいいか。今週末の試験のためにレベル上げもしたいし。行こうか、鎌久さん」


「わかったぞ」


 鎌久さんと一緒に俺は博多ダンジョンの中に入る。出てくる魔物が違うだけで、雰囲気は秋田ダンジョンにものすごく近いな。同じ遺跡系のダンジョンだし、それもそうか。


「最初の方は拙者に任せろ」


「後半虫が出てきたら戦えってことか?」


 鎌久さんはそっぽを向いた。見てるだけでなんの対策になるっていうんだ。


「……ともかくスライムは拙者が」


「スライムなんて全スルーだな。下りるぞ」


「えぇ!?」


 正直スライムとかいう雑魚を倒しても何にもならんからなぁ。今は試験前だし、せっかくならできるだけ下りて強い魔物と戦って経験値を積みたい。虫が苦手という鎌久さんには少々悪い気もするけどな。


 そういうわけで一気に階層を下り、Bクラスあたりが出るくらいまで下りてきた。途中でかい蚊を見たときの鎌久さんの絶叫でさすがにもうしわけなくなったが聖剣を使用し瞬殺してここまで下りてきた。うん、鎌久さんが泣きそうな顔してるし、狩りは早めに切り上げよう。


 しかし、こんなに苦手ならなんでここを選んだんだ。それだけが謎である。

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