女の子になった……?
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俺がほっぺを触ると鏡の中のロゼリア似の美少女もほっぺを触る。
「これが、俺?」
声も今までのようなTHE普通な声でなく、透き通った声になっている。
「さっき飲んだ薬って女体化の薬?」
彩佳が質問をしてくる。
「いや、そんなことはないよ。メモ取ってあるからこれを見てほしい」
俺は小さく、そしてきめ細かになった手で鞄からメモを取り出す。
彩佳と目線が変わらない……というより少し小さいってなんか新鮮だな。前までは頭一つ分ほど俺の方が背が高かったのだが。
立っていて思うが、服が少し落ちてしまいそうだ。要するにぶかぶかだ。どうしよう何とか元の姿に戻れないだろうか。
『なるほど、びっくりポーションの一種じゃな』
メモを見ていたロゼリアがつぶやく。
「びっくりポーション?」
オウム返しで俺がロゼリアに尋ねる。これもしかして使う前に聞いておいた方がよかったのでは?
『特定の効果を持たないポーションの事じゃな。適当な素材で作られておるから再現も不可能じゃ』
なるほど、それでランダム要素が強いために宝箱で星一つ判定だったのか。ってちょっと待て、ポーションって作れるのか?
「というか切り替えれるらしいし元の姿には戻れるんじゃない?」
彩佳も冷静に効果から推測してくれる。ありがたい人達だ。
『待つのじゃ』
元の姿に戻ろうと試していたところ、ロゼリアになぜか止められた。
『これからその姿の時は、一人称は妾、しゃべり方は儂と同じで、儂の事はロゼと呼んでくれぬか? 亡き母様を思い出せるのじゃ……』
ロゼリアの母は亡くなっていたのか。……まだ十分に吹っ切れていないようだ。思い出させてあげるくらいなら、構わないだろう。
演技に自信はないが、やってみよう。
「妾はこう話せばよいのかのう?」
『そうなのじゃ! 亡きお母様はそのような話方をされておった。ありがとう、奏多』
「なんだかロゼリアが増えたみたい」
彩佳がそう言って微笑む。確かにそうだな。似てるし。
『なんだか少しだけ厄介者扱いされているような気がするのじゃ』
ロゼリアは気に障ったのか、少しふくれっ面になる。
「まぁまぁロゼ、落ち着くのじゃ」
『お母様……!』
ロゼリア、お母さんっ子だったんだな。
『そういえばじゃ、先ほどの効果を見て試してみたいことがあるんじゃ』
ふとロゼリアがそんなことを言う。
『奏多、少し体を借りられるかの?』
「一向にかまわないのじゃ」
体を借りる……? 適当に返事をしてしまったが何かの比喩だろうか。
するとその時、ロゼリアが俺の体に触れた。
精神体のロゼリアが触れることができる? そして俺もその感触、ロゼリアの掌の感触が分かる。
『借りるのじゃ』
俺の精神がロゼリアの精神に包まれたような感覚に陥る。体が、自由に動かない?
「できたのじゃ!」
俺の口が勝手に動く。……いや違う、俺の体の主導権を持ったロゼリアが動かしているんだ!
「ロゼリア?」
「そうじゃよ」
きっと彩佳には見た目も変わって見えているんだろうな。まぁ服の違和感とかは消えてないから少し不便なんだが。
彩佳は少しずつ、俺……というかロゼリアに近付く。そしてその肩に触れた。
「ロゼリアに触れる……!」
そういった彩佳は抱き着いてきた。俺じゃなくてロゼリアにだけど。
「奏多がいる限りは儂とも触れ合えるのじゃぞ」
「奏多とは一生つながってるから」
そう言って彩佳が俺の渡した腕輪を見る。言い方……。
そうしてしばらくは彩佳と俺の体の主導権を持ったロゼリアのふれあいを眺めていた。
◆◆◆
「そろそろ体を返すのじゃ」
俺の体からロゼリアが出ていく。
「戻ったのじゃ」
この姿でいる時はこの口調の方がいいな。元の俺要素を残すのは少し恥ずかしい。
『お母様が生き返ったようじゃのう本当に。いや、奏多なのはわかっておるのじゃが』
それだけ見た目が似ているってことなんだろうな。
「ところで奏多、服そのままでいるつもり?」
彩佳がこのぶかぶかの服を指摘する。まぁ身長170cmの男が来ていた服を大体155cmくらいの女子が着るのはな……。
「いや、それはじゃな……」
どうしよう。とりあえず元の姿に一度戻ってみよう。どうやって戻るのだろうか。
そういえばこの状態、一旦鑑定してみるか。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
名前:瀬戸 奏多 (変身ON☆/OFF)
レベル:31
ステータス:攻撃力 783 (1567)
守備力 765 (1531)
魔力 2340 (1556)
知力 2328 (1562)
精神力 760 (1521)
速度 2362 (1601)
スキル:<鑑定_Lv.5>
<成長補正>
<剣聖>
<ランダムブレス>
<キープマジック>
<??? (Lv.50) >
<??? (Lv.100) >
<??? (Lv.255) >
状態:変身(魂胆同化)
絆のつながり【三並 彩佳】
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
かなり情報量が多いな……。ステータスが魔法系に寄ってるし、新項目が多い。
いや、魔法系に寄ってると思ったら耐久が酷い。魔法も耐えられないのか。しかしなぜ速度?
「奏多?」
黙ってステータスを見ていると、彩佳にせっつかれた。いや、少しだけ待ってほしい。
「ちょ、ちょっと待つのじゃ」
「うん」
とりあえずこの変身ON/OFFのところ触ったりしたら戻れないか? いや、ステータスのこのウィンドウに触れるのかは知らないんだが。
手をだしてOFFにあたる位置を押してみる。あ、ちゃんと感触がある。
すると、俺の周りを黒い何かが包み込んだ。瞬間体に感じる違和感。
「よし、戻った」
俺の姿は元のそこら辺に居そうな男子高校生のものに戻った。服もジャストサイズ。
しかしだ。魔法主体の俺にとって、あのステータスは惜しい。どうにか活用できないだろうか。
「お、戻った。切り替えできそう?」
「多分切り替えできるな。しかもステータスも変わるし、あっちの方が優秀だ」
剣聖スキルが腐るけどな。
「そう。それじゃあ相談なんだけど」
「どうした?」
「今日は探索をいったんやめて、あの姿用の服とか、買いに行かない? かわいいし」
確かにあの姿の用のまともな服を買えば俺的に変身して戦うことに問題はないな。紙装甲は速さで攻撃にあたらなければいいだけだし。
「いいぞ。使えたら絶対強いからな」
ランダムブレスの威力が上がる。
『儂もあの姿でいてくれるのはうれしいぞ。奏多本来の姿ももちろん良いんじゃがな』
このお母さんっ子は……。
「そういうことなら行くか」
「はーい」
なんのために秋田に来たんだろうか……。
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