第22話 噂再び
ごめん、今日模試で忙しかった。
明日からまた1日3話上げます。
はい、こちら学年の二大美少女と登校した佐々木瑛太です。
現在周りの視線が俺を射殺さんと鋭く向けられているので非常に怖いです。
「帰りたいなぁ」
そう溢すも、当たり前だが誰も言葉を返さない。
いつもなら柚が『ん、馬鹿なこと言ってないで行く』と言って小馬鹿に———
「———いや、全然いつもじゃないよ。何ならまだ1、2週間の付き合いだよ」
俺は自分で思ったことに自分でツッコむ。
ただ、こうも当たり前と感じてしまうのは、最近は柚と姫野さんとしか話していないせいかもしれない。
徐々に脳が2人に侵されてることに危機感を覚えながら、コソコソとなるべく注目を集めない様に存在感を消して歩く。
しかし俺にそんな忍者の様な芸当は出来ないので、当たり前に注目を集める。
正しく有名人にでもなった気分だ。
有名人って大変だなぁ。
「お前ら見たか? アイツ今度は姶良さんだけじゃなくて芽衣ちゃんとも一緒に登校してたんだぞ。しかも2人に挟まれて!」
「マジかよ!? なんて羨ま———けしからんことを朝っぱらからしているんだ!」
いや、羨ましいかもしれんが、けしからんことは全くしてねぇよ。
逆にあんなに近くに美少女が居て襲わない俺のメンタルを褒めて欲しいね。
俺が誰にも届くことのない叫びを内心呟いていると、俺の耳が衝撃的な言葉をキャッチした。
「そう言えば———昨日3人が集まっていたって噂知ってる?」
「ええっ!? そうなの!? 一体誰がそんなこと言っているの?」
全く君と同じ意見だよ。
何で昨日あれほど遠回りして尾行にも気を付けて行ったのにそんな噂が立つんだよ。
俺は新たな噂(事実)の出現に頬を引き攣らせる。
ただの噂も此処までしっかりと正確に把握されているとなると普通に怖い。
「これは少し……何とかしないとな……」
取り敢えずファンクラブの実態からだ。
俺はファンクラブについて男子達に訊くために早足で教室へと向かった。
———教室に着くと、まず男子に取り囲まれて噂の真偽について問い詰められた。
そのあまりの迫力に若干腰を抜かしかけたが、何とかのらりくらりと質問を躱して逃げ切った。
しかし———今度はクラスの女子からの詰問である。
「———で、あの噂は本当なのかしら? 芽衣ちゃんのファンクラブが言っているのだけれど」
「……西園寺か……別にお前には関係ないよな? お前は俺なんかに構わず和樹とイチャイチャしてろってんだ」
「アンタね……あまり調子に乗るのも大概にしておいた方がいいわよ……?」
若干キレ気味に額に青筋を浮かばせて問い掛ける西園寺。
俺は少し相手にするのが面倒だったので、コイツの保護者の和樹を呼ぼうとして———何処にも居ないことに気付く。
そう言えば……前回突っかかって来た時も和樹の姿が無かったような……もしかしてコイツ———!?
「お前……彼氏が居ない時に限って俺に突っかかって来るんだろ? つまり和樹は今のお前の姿を知らないってわけだ」
「……っ、な、何が言いたいわけ?」
「ん? いやぁ……もしこれ以上言うなら和樹に動画でも送ろうかなって思っただけだよぉ〜」
「ぐ……この屑が……」
「おぉー怖い怖い。あ、間違えて開いちゃったなぁ?」
俺がこれ見よがしに和樹のL◯NEアカウントを見せびらかして悪どい笑みを浮かべると、西園寺は苦虫を噛み潰したかの様な顔で立ち去った。
正直久し振りに誰かに言い返したから気持ちよかったな。
俺は心が少しスッキリするのを自覚しながら自分の席に座った。
———昼休憩。
弁当を食べていると、ふと柚が思い出したかの様に言った。
「ん、えーたが女子を脅してるって」
「そ、そうなのですか……?」
「いや何でそれが噂になるんだよ! 確かに事実だけど! 事実だけど相手が全面的に悪いじゃん! 何もしてないのに突っかかって来たんだもん!」
俺が言い訳というか当時のそのままを伝えると、柚が口角と親指を上げる。
「ん、ナイス。私、あのクラスの女子嫌い」
「えっと……私は佐々木君が良い人だと知っていますので、気にしなくても大丈夫ですよ?」
「……2人とも天使か何かかな?」
「ん、間違いない」
「て、天使だなんて……言い過ぎですよっ」
俺は目の前で自信げに胸を張る柚と、恥ずかしそうに頬を染めて手をブンブンふる姫野さんを見ながら、取り敢えず2人を拝んでおくことにした。
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