35.生命力を力に変換する感じ
「さっさと片付けろ!ゴールデンウイークまで数日だぞ!」
ああ、もう!忙しい!
「荷物はダンボールにまとめたよ!」
「こっちも!」
「よし。問題はどこに身を隠させるか、だが」
「…何をしてるの?」
輝雪登場。
「いや、何って。なあ?」
「そうだね。一つしか無いよ」
「そうだねー」
それではご一緒に。せーの!
『引っ越し作業』
「…は?」
・・・
・・
・
話は長いようで短い。
俺の妹、紅 蒼。長い黒髪で髪型はちょくちょく変えるが、最近はツインテール。目の色は俺と同じ緑。成績優秀スポーツ万能さらに人付き合いも上手い。そんなできた妹だ。
だが、この妹は小学の頃はそうでも無かったのだが、中学に上がり、別々の時間が増えてたから、一気に俺に甘えるようになった。極度のブラコンなのだ。
さらに、我が家には“強きが正義”という家訓があり、よほどやばい内容じゃ無きゃ、強い者が自分より弱い者に命令できるルールがある。そのため、蒼は俺と一緒に寝たり、恋人ごっこしたりなどなどの甘えをするために、俺が中学に上がってから一気に実力を伸ばし、家での序列は
母>蒼>父>俺
となっていた。
さらに、その極度のブラコンは周りにも影響する。
晶はともかく、焔が今でも俺と付き合いがあるのは、俺が本気で頼み込んだからだ。恋愛感情は皆無だが、俺にとっては大事な親友だ。そいつと離れろとか、苦行か。
ほかにも、俺が近づいた女子、及び女性は全員蒼から一回は接触がある。多分、最初は優しく、脈ありそうだったら釘を刺す、という感じかもしれない。…しれない、と言うのは、助けた中にもまた接触した人もいるのだが、その人は決まって逃げ出す。さらに、俺が誰かを(というか女を)助けた日は、決まって次の日は蒼の帰りは遅くなるため、焔に推理して(推理と言っても単なる予想だが)もらい、それが上記のものだ。そのため、確信は無い。…後者は絶対に無いと思うが。
その強力なブラコンと、思い込みの激しさは本当に酷い。そのため、晶と焔も苦手意識を覚えてしまった。そして、俺も。
今回も素行調査で部屋に来て、一緒に暮らしてるとばれてみろ。晶は男だし、ギリギリ許されるかもしれないが、焔は…危険過ぎる。
とにかく、ゴールデンウイークからは、しばらく二人には出て行ってもらうしかないのだ。
…という感じのことを輝雪に説明した。
「…大変ねー」
「本当にな」
「紅ー。とりあえず下着とか衣類は全部詰めたよー」
「よーし。ちゃんと確認しろよー。蒼はお前の下着、服は全部覚えてる可能性がある」
「何で!?」
俺が知るか。
「でも、蒼ちゃんは火渡さんと晶くんは紅くんと同じアパートにいると思ってるんじゃない?」
「…あ」
「焔ー!こっちに下着落ちてるー!」
「あ、ごめーん!」
それについては考えてなかった。
「…どうすっか」
「方法はあるわ」
「マジか!」
「うわああああ!?晶!Gが!黒い悪魔が!f|;>^{<'€+$>|.>#|"|{_]"?<>+^<.<"?,^!?!?!?」
「落ち着いて焔!?」
そんな方法があるのか!?
「この階にはね、まだ2部屋、残ってるのよ。舞さんに許可をもらえば使えるはずよ」
「おお!」
「悪霊たいさーーーん!!!」
「落ち着いて!もう退治したから!というか僕を襲わないで!?」
そんな方法が!
「ありがてえ!早速交渉だ!」
「今はやめた方がいいわ」
「何でだよ!」
「ううー、怖かったよー」
「よしよし。僕の方が怖かったけどね」
何でいまやっちゃダメなんだ?
「今、平日の朝よ?」
『…………』
現時刻AM8:07
『しまった!気づかなかった!』
「ええ!?」
「くそ!夜通し片付けてたからわからなかった!」
「通りでかなり片付いてるわけねえ!?」
「ああ!まだ髪の毛の処理や換気及び消臭もできてないよ!」
「そこまでやるの!?」
「僕たちが使った所、物はもはや新品の如く磨かなきゃ!」
「徹底的過ぎて逆に怖いわよ!?」
『そこまでやらなきゃ誤魔化せない!」
「どんな人物なの!?」
くそ!今から大急ぎで準備しなければ!
「というか、そこまで凄いんだったら掃除したらその人の“何か”が残って逆に気づかれるんじゃ」
……あ。
『そうだったあああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!』
「ええ!?本当に!?」
「くそ!最初から掃除し直しだ!」
「そこまで!?」
「居間はともかく、洗濯機や風呂場、キッチンとかに僕たちがいた痕跡が残るといろいろ厄介なんだよ!」
「理由は!?」
「居間は私たちが遊びにきてる事を想定して。でもそれ以外は“私と晶が遅くまでいる”という証拠になって危ないの!」
「あ、私はそろそろ学校に行くわ」
『命を燃やせえええええーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「凄い気合!?」
ああ、何で平日の朝からこんな忙しいんだ。
こんなの、平和じゃ無え。
…ゴールデンウイーク来なきゃいいのに。
風紀委員の仕事もあるし。
……はぁぁぁーーー。
-第四章・学校での日常〈了〉-
次回は風紀委員編




