表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/248

228.狂う闇

『紅。マキナって何処にいるんですか?』


「ん? ……ああ、マキナか」


 そういえば話してなかったな。


「あいつは何処にもいねえよ」


『……は?』


「あいつは場所よりも時間を守るんだよ。だから、探したとこで何処にもいねえんだ」


 月島雪音の死が時間で決定されてたように、マキナは自身の出現時間を決めている。

 だから、見つかるはずもない。


「今は他の皆と合流目指しながら敵を倒して減らしていくしかねえ」


『……それはまた面倒な』


「まあな」


 逆に言えば、その時間まではマキナと遭遇することも無いというわけだ。


『で、皆がどこにいるかわかるんですか』


「変な事を聞くなパズズ。そんなんわかるわけねえだろ」


『……聞いておいてよかったです。索敵するので止まってください』


「おお、助かる」


『黙って力を貸してください』


「そんな言い方」


『黙れ』


「うぃっす」


 たまにパズズが怖い。

 風の操作をパズズに委ねて、俺は氣を使い風を強める。


『__凪』


 風が止んだ。

 静止した風の中で、流れを乱す物だけを情報として取り入れる。


『いました』


「さすが。一番近いのは」


『そうですね。八柱会全滅は全滅したようですね。付近の戦闘はほぼ収束しています。その中で動いている味方は千真奈孤、赤木弾、日差太陽です』


「あいつらか。ならそっちに合流を」


『っ!? 待ってください!』


「なんだ!」


 切迫したパズズの声。急になんだ!


『もう一人います! これは……何ですかこの流れは!』


「パズズ! 何があった。いや、何があるんだ!」


『異質な何かが……! ……嘘』


「パズズ! 何が」


『赤木弾の乱れが……消えました』


「っ!!」


 乱れを感知することで索敵を行う凪。

 乱れが消えたということは……!


「今すぐ向かう! ナビゲート頼む!」


『わかりました!』


 頼むから、死ぬなよ!


 *


「荒れ狂う弾幕!」


「アハハハハハハハ!!! 弱い! 弱いよおおおおおおオオオオオオオオオオオ!!!」


 何なのよこいつは!

 ガラスを引っ掻いたような耳触りな甲高い声。体のラインがわからないぐらい溢れ出る闇。その中でドロドロと光る二つの赤い光点。振るわれる黒い刃。

 魔獣とも人間とも言えない生命体。


「弾! 起きてる!? 弾!!」


「はぁ、はぁ、(パートナー)が」


「奈孤! 逃げろ! こいつは普通じゃない!」


「逃げれたらとっくに……!?」


 後ろから何かがぶつかる。

 ドン! という衝撃とともに私は吹き飛ぶ。


「な、なに」


「ウォォォオオオオオオオオオオオオオオン!!」


 お、狼ぃ!?

 何でこいつが動物を操れるの!?


「アハッ。捕まえた」


 しまっ


烈光破断(バーストエッジ)!」


「オヨ?」


 三日月の形をした光の斬撃が……この何だかよくわからないものに直撃する。

 殺った!?

 と思うと同時に、私の勘が体を動かし、全力で走る。


「弾! さっさと立ちなさい! 逃げるわよ!!」


「ダメだ……猫が抜き取られた」


「はぁ!? あんた何言って……!」


 そこまで言って気付く。

 弾の装備、いや服が普通のものになっていた。契約が解除されている。

 ざっと周りを見てもこいつの猫はいない。


「まさか、ホントに」


「奈孤! 来てる! あれが来てる!」


 後ろを見ると、爆発するかのように闇が放出される。


「まだ」


「ダメかー」


 また戦闘かと思ったら、今度は間の抜けたような声が響く。

 ……は?


「力が足りないかー。うん。他から盗ろう」


「あんた何を」


「また来るね」


 その言葉を残し、爆発音を出しながら空中へとそれは飛んでいった。


「……何だったの」


 謎の存在。

 それだけでも不気味なのに弾から猫を抜き取り、さらに乱入してきた狼。いつの間にか消えてるけど、あれはどう考えても魔獣じゃなくて普通の動物だった。

 普通の動物……あんなタイミングで。操った? でも、動物が操れるなんてそんなのあの立会人ぐらいしか……。名前はたしか大空月……


「まさか」


 嫌な予感だ。

 まさか、あいつは他の奴から……いや猫そのものを吸収でもしてるというの?


「……マキナどうこうって話じゃ無くなってきてるわね。太陽! 弾は任せた!」


「おい!? お前どうすんだ!」


「私はちょっと動物使いの立会人探してくるわ!」


「容姿とかわかんのかよ! おーい!」


 何かがおかしくなってる。

 少しでも情報を集めないといけない。今は大空月を捜さなきゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ