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199.修行組

プロローグいれての計200話目です。

ここまで見てくださった読者の皆様、ありがとうございます。

ついに最終章へと入ったこの物語。まあ、やりたいこともいっぱいあるんで、本編終わっても本当の終わりとは言えませんが(ーー;)

それでは、今後も執筆の方頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。

「あー! ギリギリ修得出来た!」


「紅くんが一番遅かったんだからね!!」


「うっせえ! 悪かったよ!」


 どこか知らん山奥。

 俺たち魔狩り高校組は半ば強制的に晶指導の元の山籠りを決行する事になった。

 よくは知らないが氷野家の土地らしく特に問題は無かった。“問題自体は無かった”。

 問題の変わりに食事の面や氣の修得に関する修行がとても大変だった。長くなるから割愛するが。


「ふぇ〜! 待ってくださ〜い!」


「急げ。(ルナ)


「ファイト」


 あと、途中から大空も合流した。舞さんに連れて来られてA(アニマル)・ネットワークならぬ監視システムを使い俺たちを見つけ出して来たらしい。秘匿の山だったらしくそれを見つけ出すとか有能過ぎるだろ。

 そして流れ込むように修行に参加。新たな犠牲者がふえた。

 まあ、修行が始まると大空がこれでもかとサバイバル能力を発揮し驚いた。氣を修得するのも途中参加のはずの大空が一番早く、一番覚えなきゃならない俺が一番遅かった。何この理不尽。才能怖い。

 戦争直後までやった結果、修得が終わってすぐに空間制御系の能力を持つ魔狩りが来てエルボスへ連れて行くと言い出す。休む暇もなくエルボスへ送られた。

 そして現在。

 俺たちはとにかく走っていた。


「というかここから戦場までどのくらいあるんだ?」


「知らん」


「どんくらいで着く?」


「わからないわよ」


「というか間に合うのか?」


「無理」


「絶体絶命じゃねえか!」


「ふぇ〜! すいません!」


 良心をガリガリ削られたところで冷静に考える。


「パズズ。なんか方法は」


『考えるなら考えてから物言いなさい』


「考えたっつーの! 冷静になって状況整理して考えたっつーの!」


『で、答えは』


「難しいからパス」


『だれかこのバカを殺って私を解放してください』


 何物騒なこと言ってんだ。

 それ以上言うなら俺のDO・GE・ZAが炸裂するぞ。


『紅が修行期間中に凄く情けなくなってる気がします……』


「気のせいだ」


 どっちかって言うとこっちの方が素だ。

 その時、輝雪が何かを思い付き声をあげる。


「あ、ねえ月。動物に乗れないの?」


「の、乗れなくも無いけどこの人数を乗せてかつ速いのって私持ってないし、個人を載せるにも数が足りないよ」


「具体的には何匹?」


「に、二匹」


「なら問題は解決よ」


『は?』


 何言ってんだ。

 ここにいるのは俺、輝雪、和也、九陰先輩の高校組に大空を加えた計五人。

 二匹じゃ全然足りない。


「私とお兄ちゃんが乗るのよ」


「それでどうなる」


「私とお兄ちゃんが楽になる」


「大気圏まで吹っ飛ばすぞこの野郎」


「冗談よ」


 ……真面目に吹っ飛ばしてやろうかこいつ。


「お兄ちゃんが月を、私が九陰先輩を抱っこすれば四人が乗れるわ」


「ゆ、ユキ姉。二人乗りは無理」


「誤差の範囲よ」


「いやだから無」


「誤差の範囲よ」


 輝雪は笑顔を崩さずに言い放つ。

 無言の威圧感に大空も涙目。和也が堪らず助け舟を出す。


「はぁ。俺と輝雪がそれぞれ影の能力で軽くしてやればいい。それで問題解決だろう」


「ナイスよお兄ちゃん! 氣は能力にも作用するから、今の私たちならそれこそ空をプカプカ浮かべれるぐらいに軽く出来るわ!」


『それはない(です)』


「ちぇっ」


 まあ、輝雪と和也の方法を使えばたしかに四人分はカバー出来……


「つかぬ事をお伺いしますが輝雪さん。その場合、俺はどうなる」


「……気合」


「うぉい!?」


「大丈夫よ! 昔から古今東西のRPGで風属性の使い手と言えばパワーよりもスピードよ!」


「必ずしもそうじゃないだろうが! 少なくとも俺はパワータイプだぞ!」


「氣を修得出来た紅くんなら余裕だって!」


「いやだからってお前……おい待て。大空、なに動物召喚してんだ。本気で置いてくつもり!?」


「紅くん。さっさと行った方がいいわよ」


「クソがあああああああ!」


 後方の奴らが動物を召喚し乗り込む間に出来るだけ距離を……て、速え!?


「もう来た!?」


「先に行く」


 和也、大空ペアが颯爽と俺の横を駆け抜けて行く。

 そして、二組目もすぐに迫る。

 そして追い越し……て行くと思ったら、俺の横で並走する。

 九陰先輩が話しかけてきた。


「紅」


「九陰先輩。なんすか」


「補助。脚部特化(レッグフォース)


「ん? ……ぉお?」


 九陰先輩が闇を出し、俺の足へ染み込ませるように纏わせる。すると、俺の足は羽のように軽くなった。


「これで何とかして」


「あ、はい」


  「じゃ」


「頑張ってね紅くん!」


 すぐに加速する獣を見送った後で、俺は感覚を確かめるように少し走ってから、力を足へと集中させる。


「っし! 行くか!」


『キリキリ動いてください』


「うっせえ!」


 地面を砕くほどの力で踏み込み、大空の召喚した動物に勝るとも劣らない速度で疾走する。


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