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『俺にラブコメはまだ早かった!!~運命に振り回された俺の青春を返してくれ~』  作者: ミタラリアット


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五十話『誰も触れない 二人だけの国』

 

 暫くサユリと遊んだり話したりしていると、「カガミ~。サユリちゃん~ご飯よ~」と母さんが呼びに来る。「はーい」サユリは答えながらゲームを片付ける。俺もサユリの片付けを手伝っていると、既にいい匂いが二階の俺の部屋まで充満する。片付けが終われば、二人でリビングまで行く。「今日はレバニラ炒め~。」ニコニコする母さん。サユリも「うっわぁ~♡」と目の前の食事に嬉しそうな表情を浮かべる。ぼーっとサユリを眺める俺。「カガミ、食べないの?」母さんに言われて、「ああ…」とようやく食事に手をつける。「サユリちゃん眺めてた?」と母さんに問われては、「ゲッホ……」と後ろを向いて咳き込む。「カガミってわかりやすいよね」サユリに言われては、俺は「ちがッ…!」と反論しようとするが言い返せない。頬を赤らめると、サユリと母さんが「はははッ、」と笑う。「二人して俺を揶揄うな」ちまちま食べながら言っては、「だってあまりにも可愛らしいものだから」とさらにからかうように微笑みながら、母さんは箸を片手にこちらを見つめた。サユリも、「ほんっと。カガミって可愛い♡」と満面の笑みを俺に向ける。俺はサユリの笑みに、可愛いのはどっちだよ、と心の中だけでツッコむ。「料理も美味し~」もぐもぐ頬張って食べるサユリ。俺は食べるよりサユリを眺めていたいのが本音だが、人間に栄養は必要なので食べるしかない。「…ごちそうさまでした」しばらくして食べ終われば、サユリも母さんもほぼ同時に食べ終わる。皿を台所に置いては、サユリが先に俺の部屋に戻る。皿を洗っていると母さんが「カガミ、私がやるからあなたはサユリちゃんと遊んで来なさい」と静止する。「…」俺が固まっていると、「いいから行きなさい」と言われ、サユリの後ろから階段を上っていく。なんだよ、母さんの謎の気遣いは。全てわかってますよ。みたいな謎のスマイルは。そんなに俺は分かりやすいか。なんて愚痴りつつ、自分の部屋まで戻る。


 「カガミ~!」抱き着かれる俺。そして急に思い出す俺。「っていうかサユリ、サユリの母さんの施設が決まったって言ってたよな?ってことはお前は一人暮らしになる…」俺が呟くと、サユリは「そういう事」と答える。「ずっと苦しかったから…」サユリは俯きながら言うと、俺を抱きしめる。「これでカガミともっと一緒にいられるね??」サユリの優しい声が、笑顔が、俺の心を刺激する。心拍数が急激に上がる。嗚呼、なるほど。分かりやすいってそういう事か。「俺…サユリと…ずっと一緒に…」俺が声を震わせながら言うと、サユリは俺を見つめる。「知ってるよ。私もおなじ」何故だ…何故サユリはいつも…いつも…俺をこうやって悶えさせるような言葉を使うんだ、いつも俺を刺激する言葉を的確に…!!感情を読まれている、俺の思考パターンを全て把握しているのか!?「カガミ、好き、大好き、」何回も言われてしまえば、身体がだんだん熱くなる。頭を抱える俺。「…ぅう…」またペタっと女の子座りをしては、上目遣いでサユリを見つめる。「どうしたの???」首を傾げるサユリ。「サユリずるい…サユリには勝てないよ…」悔しくなりサユリに言っては、サユリは「勝たなくていいよ、私がカガミを幸せにしてあげるから、」と自信満々に答えた。日に日にサユリへの"好き"が増していく。自分でも抑えなきゃいけないって思っているのに、そんな俺を嘲笑うかのように次々と都合のいい言葉をかけられる。


 「…」気づけばまた泣いていた。サユリは「ちょ、カガミ!?」とサユリは驚く。「好きぃ…」サユリを抱き締めてわんわん泣いてしまう俺。恥ずかしいし、かっこ悪い。でも、俺はこの女が大好きだ。誰に何を言われようが、サユリが裏で何をしていようが、サユリを嫌いになんてなれるはずがない。サユリに背中を摩られる。サユリと、二人になれたらいいのに…。魂までサユリと一体化出来ればいいのに。泣き疲れた俺はベッドに転がる。サユリも「カガミ、本当に最近どうしたの???」と俺を心配しながらベッドに入ってくる。「ちょっと滅入ってるだけだ、」サユリと反対を向きながら答えると、「じゃあ癒しが必要だね」とサユリは俺の肩を揉む。「ひゃッ!?!?」サユリの手の冷たさに変な声を上げてしまえば、「辞めろサユリ…!!!」とサユリの胸に顔を埋めながら恥じらう。「よしよし、」サユリは子供を宥めるように俺の頭を優しく撫でる。そして適当に話しながらサユリにくっついたまま過ごしていると、あっという間に夕方になっていた。


 俺とサユリはベッドから立ち上がる。「カガミ、今日も生きてくれてありがとう」サユリはそう言うと、俺にキスをした。無条件に生存が認められた事に対し、俺は込み上げるような快感を覚える。このまま二人だけ、本当に二人だけの世界に閉じこもることが出来たらいいのに。「サユリ………」「ん?」サユリは俺を見つめる。「サユリに生きていて欲しいのは俺のほうだ。サユリ、お前は俺がお前の前からいなくなっても生きててくれ。」俺が言うとサユリは、「いなくなるなんて言わないで…」と寂しげな表情を浮かべる。「私、決めた…。」サユリはまっすぐな目をこちらに向ける。「何があってもカガミを支える、カガミを守る、カガミのそばにいる!!!カガミが辛い時、一番近くにいる、カガミの辛い事も、苦しい事も、私が…私が背負う!私はカガミの一部になりたい!」決意を固めたサユリに圧倒され、「ぁッ…」と言葉が詰まる俺。「カガミにどう扱われたって構わない、どんな言葉をかけられたって、何をされたって構わない、ただ私は…。カガミのそばにいたい」そう言うとサユリは、「私も…カガミと同じだから」と呟いた。


 「…」俺はサユリを見つめる。「どういうことだ」俺がサユリに問いかけると、サユリは「あの日、カガミが女の子に襲われてたら、私もきっとカガミを助けに走ってた。あの後、あの女の子と何かがあったんだよね?だからカガミはいま辛い思いをしてる。そうでしょ?」と首を傾げる。「多分…多分だよ。"殺しをしろ"とか言われたんじゃないかって、私は推測してる。カガミを信じたいけど、そうやって仮定すれば全部の辻褄が合うんだもん。それにカガミ、ちょっと前に私に言いかけたでしょ?"殺しなんてしたくない"って。その事、ずっと考えてたんだ」サユリはそう言うと、「どれだけ倫理観がないって言われたって、どれだけカガミが殺した人から恨まれたって、私はカガミを肯定する。全部!」と俺の目を見ながら続けた。「だから、本当の事…」とサユリに言われては、俺は俯きながら、「……そうだ。全部…俺だ…」震える声が部屋に響く。サユリは、ここまで言わせておきながら、「え…」と固まる。「サユリに嘘はつきたくなかった、でも…」と俺が言うとサユリは片手で口を抑えた。「やっぱりカガミは私の恋人…!!!カガミは私と同じ…!!」人を殺していた事に対して引くどころか、歓喜するような言葉を綴る。そんなサユリの狂気に、俺は「サユ…リ…?」と動揺する。「カガミ…!カガミ!カガミ!」何回も俺の名前を呼ぶサユリ。「はッ……」俺は言葉を失う。目を見開いて瞳を震わせていると、サユリは俺の前髪を引っ張って「カガミ、人殺しって事、世間に晒されたく無かったら私の言う事全部聞いてくれる?」と口角を上げた。サユリの言葉には従うしか選択肢がない俺は、「…嗚呼…」と静かに頷く。なんだなんだ、一体なにが起きている。なにがなんだか俺にはさっぱりわからない。でも…サユリの表情が以前と明らかに違うのはわかる。これは…一体…

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― 新着の感想 ―
壊れているのはサユリの方だったのか!?もう僕には何も分からないよ(*‘ω‘ *)
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